シリーズ解説

幾千年もの時を経た邂逅。『ジュラシック・パーク/ワールド』シリーズを一挙解説!!

2025年9月20日

『ジュラシックパーク/ワールド』シリーズとは?

かつて地球を支配していた「恐竜」という名の種族。その巨躯は大地を踏み鳴らし、他の生物を圧倒するほどの繁栄を遂げていた。

そして数万年もの時が経った今現在、人間は進化を得て地球を支配するに至った。しかし仮に現代に恐竜たちが蘇った場合、恐竜と人間、果たしてどちらが「地球の支配者」足り得る存在となるのだろうか?

この『ジュラシック・パーク/ワールド』シリーズは、そんな現代に恐竜たちが復活を遂げた世界を描くSFモンスターパニックシリーズだ。

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『ジョーズ』『E.T.』スティーヴン・スピルバーグ監督が、マイケル・クライトン原作の同名小説を映画化し、1993年に公開された。

当時としては破格の世界的大ヒットを記録し、当時の歴代全世界興行収入ランキングにて1位に躍り出た他、90年代を代表する名作として今も語り継がれている。

その後2015年に十数年ぶりの続編として『ジュラシック・ワールド』が公開され、これも空前の大ヒットを記録。今でも全世界興行収入ランキングにてTOP10にランクインし続けている。

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本シリーズの目玉といえば、やはり恐竜たち。アニマトロニクスCGを駆使して描かれる、恐竜たちの生き生きとした姿はいつの時代も観客の目を魅了してきた。

登場する恐竜たちの種類も非常に多彩であり、ティラノサウルスラプトルといった有名どころからマイナーなものまで、果てには複数の遺伝子を組み合わせて造られたハイブリッド恐竜など、数多くの個体がこれまでのシリーズで登場してきた。

またそういった恐竜の獰猛さ、恐ろしさだけでなく、恐竜という種族そのものの「雄大さ」もまた見所と言えるかもしれない。

かつて地球を支配していた種族が現代に蘇り、こうして今の地球に降り立っている………蘇らせたのは人間だが、そんな彼らが大地を闊歩する姿はまさしく「大自然」そのものだ。

あるはずのなかった「人間」と「恐竜」の、幾万年を超えた先での邂逅。地球は今、新たなる白亜紀を迎えたと言っても過言ではないかもしれない。

大いなる復活。『ジュラシック・パーク』

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『ジュラシック・パーク』

("Jurassic Park")

あらすじ

バイオシン社のCEO、ジョン・ハモンドは、化石の採掘を行っていたアラン・グラントエリー・サトラーの元を訪れる。ハモンドは2人に、バイオシンが開発したある「島」へ招待したいと語る。

アランとエリーは、カオス理論を専門とする数学者であるイアン・マルコムと共にハモンドの言う「島」へ向かうことに。そこで彼らが目にしたのは、草原を歩く一匹の巨大な首長竜の姿だった。

その「島」とは、バイオシンのテクノロジーによって蘇った恐竜たちが住まう島だった。驚愕する一同の元へ、ハモンドはこう告げる………「ようこそ、ジュラシック・パークへ」

一方時を同じくして、パーク内で働くセキュリティー担当の職員であるネドリーは、恐竜たちの胚珠を盗み出し外部に売りつけようと企んでいた。

パーク内の全警備システムを管理しているネドリーは、全セキュリティシステムを一時的に遮断。その間に胚珠を盗み出し、パークから脱走しようと画策する。

だがパーク内の電気システムが切れてしまったことにより、恐竜たちを閉じ込めていた電気網が機能停止。かくして一部の恐竜たちが脱走してしまうという緊急事態に。

パーク内のツアーが止まってしまったことに困惑する一同の元へ現れたのは、「史上最強の恐竜」として知られるティラノサウルスだった。

「恐竜たちのテーマパーク」であったはずのジュラシック・パークは、地球の覇者たるものたちの住まう地へと変貌。アランたちはどうにかして、島からの脱出を試みるが………

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作品概要

シリーズ1作目。スティーヴン・スピルバーグが監督を務め、デヴィッド・コープと原作者ことマイケル・クライトンが脚本を執筆した。

サム・ニールローラ・ダーンジェフ・ゴールドブラムが主演を務め、リチャード・アッテンボローサミュエル・L・ジャクソンと共演している。

恐竜たちは当時あまり発達していなかったCGや、恐竜の形をしたロボットを使用したアニマトロニクスを利用して表現された。当時としては革新的な映像表現であり、アカデミー視覚効果賞を受賞するに至った。

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恐竜が映画で登場し人間たちを襲うという展開は、既に『ロスト・ワールド』(1925年)や『キング・コング』(1933年)で取り入れられていたが、こちらはウィリス・オブライエンによるストップモーションが主流だった。

だがストップモーションでは生き生きとした恐竜たちの姿を描写するのは難しい。そうして今作にて組み込まれたのが、前述した通りアニマトロニクスとCGだ。

今ではCGが発達し、美麗な映像美で動く恐竜たちを目にすることは当たり前となったが、当時としては非常に革新的であり観客たちの心を鷲掴みにした。

大地を闊歩するブラキオサウルス、豪雨の中森林から現れるティラノサウルス、草原を疾走するガリミムス、閉鎖空間で主人公たちを追跡するヴェロキラプトル………そのどれもが名シーンと呼べるものばかり。

獰猛な恐竜たちが牙を剥くシーンも当然見所と言えるものだが、本シリーズ(特に今作)ではそれに加えて恐竜たちが自然に生きる姿も同じく魅力的となっている。

現在まで多くの続編が制作されてきたが、この恐竜たちの自然な姿を忠実に描いているという点では今作が随一と言っても過言ではないかもしれない。

総じて1作目にしてシリーズ最高傑作、まさに「原点にして頂点」たる存在感を放っている至高の一本だ。

雄大なる恐怖の地、再び。『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』

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『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』

("The Lost World: Jurassic Park")

あらすじ

ジュラシック・パークでの悲劇から数年後。事件の当事者であるイアン・マルコムは、インジェン社の元CEOにしてパークの創立者であるジョン・ハモンドに呼び出される。

ジュラシック・パーク計画が失墜し地位を失ったハモンドは、過去の償いと名誉挽回のために「ある計画」を企てる。それは、野生の環境で生息している恐竜たちを調査することだった。

現地を案内するために、調査隊と共に再び島へ向かってほしいとイアンに頼み込むハモンド。だがイアンはすっかり恐竜を危険視するようになっており、ハモンドの提案を断る。

だがハモンドの口から飛び出したのは、彼にとって衝撃的な言葉だった………古生物学者にしてイアンの恋人であるサラ・ハーディングが、既に島へ向かったというのだ。

「調査」のためではなく、彼女の「救助」のために島へ再び向かうことを決意するイアン。そうして降り立ったのは、恐竜たちを自然な環境で放し飼いしていた地区である「サイトB」だった。

サラは恐竜愛護主義から既に恐竜たちの調査に乗り出しており、更にイアンの娘であるケリーがこっそり島についてきてしまったことも判明。

頭を悩ませるイアンはサラとケリーを連れ出そうと島からの脱出を図るが、時を同じくして別のチームがサイトBにやってきたことが判明。

やってきたのは凄腕のハンターたちと、インジェン社現CEOでありハモンドのであるルドロー。彼らの目的とは恐竜たちの捕獲であり、本土のサンディエゴに新たなる「ジュラシック・パーク」を作る計画を企てていた。

数多くの恐竜たちを捕獲し、本土に連れて帰ろうとする恐竜ハンターたち。囚われた恐竜たちを解放するべく、サラは独断で動き出すが………

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作品概要

シリーズ2作目。前作と同様、スティーヴン・スピルバーグが監督を務める。主演は前作にも主要人物として登場したジェフ・ゴールドブラム

今作もマイケル・クライトンの同名小説を原作としているが、その内容は小説とは大きく異なる。その理由とは映画版と小説版を同時並行で制作していたからであり、クライトン自身も「映画は自由にしていい」と述べていたという。

前作『ジュラシック・パーク』はアカデミー視覚効果賞を受賞し、また当時の全世界興行収入ランキングにて1位に躍り出るなど歴史的快挙を遂げた。

その続編ということで今作も強い期待が寄せられていた………が、結果は酷評の嵐。期待が高まりすぎたせいか、或いは反動のせいか駄作として語り継がれることなり、遂にはラジー賞にも選ばれてしまった。

とはいえ、そこまで悪いところばかりな映画というわけでもない。むしろ「恐竜パニック映画」としては、かなりの進化を遂げていると言えるだろう。

前作の大目玉だったティラノサウルスは物語全編を通して登場し、更にそれが2頭になって人間たちを襲うなどスリル満点な展開が用意されている。

加えて「恐竜ハンター」という組織も登場し、人間が自然に歯向かうことの愚かさもより強調されている。こうして人間が調子に乗り、最終的に痛い目を見るのはシリーズの恒例行事。

そして何よりも今作、登場人物たちが軒並みアホだらけなのである。特にヒロインのサラは輪をかけて酷く、恐竜たちを助けたいという一心で後先考えず恐竜たちを解放してしまう。

終いにはティラノサウルスの赤子を連れ去り治療するという暴挙に出る。当然ながら親のティラノサウルスは赤子を取り返しに戻り、結果としてチーム内で多数の犠牲者を出してしまっている。

パニック映画として新たなる一歩を踏み出した作品である一方で、前作の偉大さをこれでもかと感じさせられる、そんなシリーズ2作目であった。

新たなる脅威たち。『ジュラシック・パークIII』

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『ジュラシック・パークIII』

("Jurassic Park III")

あらすじ

ジュラシック・パークからの生還者の1人、アラン・グラント博士は今日も発掘業に勤しんでいたが、相変わらず資金難に陥っていた。

現代の最新テクノロジーによって恐竜たちが当時の姿のまま蘇ったことで、果たして恐竜の化石とは今の時代必要とされているのか。その質問に対し、アランは「あれはただの人工的な生物に過ぎない」と一蹴していた。

そんなある日、アランの採掘現場に「自称」カービー・エンタープライズの社長であるポール・カービーと、その妻であるアマンダが訪れる。

結婚記念日を間近に控えた2人は、「サイトB」ことイスラ・ソルナ島の上空を飛行機で旋回するツアーを計画しており、アランにそのガイドを頼もうとしていた。

過去の事件から二度とあそこには戻らないと提案を断るアランだったが、絶対に島には上陸しないこと、発掘現場の資金援助を条件として同行することになる。

助手のビリーを連れて、飛行機に乗り込むアラン。だが突如として、一同の乗る飛行機は着陸準備に入り始める。当初の約束と違うと止めようとするアランだったが、ポールの部下に殴られて気絶してしまう。

彼が目を覚ますころには、飛行機は既に島に着陸しており、しばらくすると森の中からティラノサウルスが出現。一目散に逃げだす一同だったが、そこへもう一体の肉食恐竜が現れる。

その恐竜とは、ティラノサウルスよりも巨大な巨躯と、長く強靭な顎を持つスピノサウルス。偶然鉢合わせたティラノサウルスと縄張り争いを始め、戦いの末にティラノサウルスの首をへし折り勝利を収める。

何とか逃げおおせたアランは、ポールに事態の真相を問い詰め、実はポールは一企業の社長なんかではなくタイル塗装店を営む男であること、そしてカービー夫妻の真の目的とは島で失踪した息子エリックの捜索であることが明かされる。

だがアランは「サイトB」に降り立った経験がなく、丸腰で島に入り込むこととは即ちを意味する。2人を見限ったアランは島からの脱出を提案するが、カービー夫妻は息子を見つけ出すまで島から出ないと主張し出し………

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作品概要

シリーズ3作目。『ジュマンジ』『遠い空の向こうに』ジョー・ジョンストンが監督を務め、前作及び前々作で監督を務めたスピルバーグは製作総指揮に回った。

シリーズ1作目にて主人公であるアラン・グラント博士を演じたサム・ニールが、再び主演として再演。彼としても思い入れのある役だったらしい。

同様に、1作目におけるヒロインであるエリー・サトラーを演じたローラ・ダーンも同役で再演している。結婚を機に姓がデグラーとなったが今でもアランとの友情は続いており、島での冒険には参加しないものの物語終盤にて思わぬ活躍を見せる。

「原点回帰」をモチーフとした今作であるが、同時にこれまでのシリーズにおける「定石」を覆した異例の作品でもある。その最たる例こそが「スピノサウルス」の登場だ。

前作、前々作と圧倒的な存在感を放ってきたティラノサウルス。今作でも物語序盤から登場し、再び主人公一行を追い回すのかと思わせておいて、そこへスピノサウルスが乱入してくる。

そして激闘の末、なんとティラノサウルスの首をへし折りスピノサウルスが勝利。これまでのシリーズで無敵とされてきたティラノサウルスが敗れたことで、本シリーズにおけるパワーバランスは一気に崩壊を遂げた。

現にシリーズお馴染みとなっていたロゴマークはティラノサウルスのものからスピノサウルスへと変更されており、ティラノサウルスに次ぐ「新たなる脅威」として強調されている。

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またティラノサウルスの次に存在感を放ってきた恐竜とはやはりヴェロキラプトルである。1作目にてアランがラプトルがどれだけ恐ろしい恐竜か語っていたように、多くの登場人物たちの命を屠ってきた。

今作でももれなくラプトルは登場するが、それはかなり終盤の話。今作では、世界的にも非常に有名な「翼竜」ことプテラノドンが登場する。

中盤では主人公一行がプテラノドンの巣に入り込んでしまい、群れに襲われるという描写がある。その高い空中機動力と長いを用いて、ましてや集団で襲い掛かってくるとなると、ラプトル以上に恐ろしいのは言うまでもない。

と、このようにかなりの変更が為されており、公開から25年ほど経つ現在でも異色の作品として語り継がれている。特段評価が高いというわけではないが、シリーズのマンネリ化を防ぐためと考えれば妥当ではある。

1作目『ジュラシック・パーク』が公開されてから約10年。今作を以てしてシリーズは一旦の幕引きを迎え、その14年後、人類と恐竜は新たなる「世界」へと進み始める………

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