↓《前編》の記事はこちら↓
世界か、愛か、欲望か。『ワンダーウーマン 1984』
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『ワンダーウーマン 1984』
(”Wonder Woman 1984”)
あらすじ
時は1984年。”ワンダーウーマン”ことダイアナ・プリンスは、博物館の職員として働く傍ら、日々ヒーロー活動を送っていた。
ある日、同じ博物館で働く同僚であるバーバラ・ミネルヴァが、発掘物の中からある不思議な石を発見する。
石には「手にした者の願いを何でも叶えられる」と刻まれており、ダイアナとバーバラは半信半疑になりつつも、試しに石を手に願いを唱えてみることに。
バーバラはダイアナのような”強い人”になりたいと、そしてダイアナは今は亡き最愛の人、スティーブに会いたいとそれぞれ願う。
だが驚くことに、石の力は本物だった。バーバラは願い通り人望と超人の如き力を手に入れ、ダイアナは現代に蘇ったスティーブと再会を果たすこととなる。
無限大の可能性を持つ、魔法の「石」。冴えない実業家のマックス・ロードは、自身が人々の願いを叶える石そのものになり、世界を掌握せんと暴走を始める。
新たなる悪の出現に、再び「ワンダーウーマン」として立ち向かうダイアナ。だが彼女の叶えた願いには、ある重要な「代償」が伴っていた………
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作品解説
DC最強の女性ヒーロー、ワンダーウーマンの活躍を描いた続編。タイトルは『ワンダーウーマン 1984』となるが、実質『ワンダーウーマン2』に該当する作品。
何気にDCEUでは初の、ヒーロー単独作の続編となる。
ダイアナ・プリンス/ワンダーウーマンを演じるガル・ガドット、スティーブ役のクリス・パイン、そして前作の監督であるパティ・ジェンキンスらは続投。
新キャストには新たにペドロ・パスカルらが登用された。中にはドラマ版『ワンダーウーマン』のワンダーウーマン役を演じたリンダ・カーターの名も。
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荒んだ空気感が立ち込めていた前作からは一転、冷戦真っ只中ではあれど文化的発展により先進国として繁栄を遂げる80年代アメリカが今作の舞台。
そんな今作のキーワードとなるのは即ち「欲望」。あらすじにもあるように、今作のヴィランもまた、人々の「欲望」そのものを掌握せんと画策しようとする。
どんな願いでも、すぐに叶えることのできる力………非常に魅力的な力ではあるが、その力を行使するからには必然的にリスクも伴ってくる。
この「リスク」という名の代償に、ダイアナやミネルヴァ、そしてヴィランのマックスでさえも翻弄させられることとなる。
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物語終盤、マックスの暴走によっていよいよ爆発寸前にまで膨れ上がった「欲望」。このままでは、世界は滅亡の一途を辿ってしまう………
そうしてワンダーウーマンは世界のために立ち上がるのだが………彼女もまた「今は亡き恋人と再会する」という「欲望」を叶えてしまった1人なのである。
ワンダーウーマンとしての力を失う、という代償を得てしまったダイアナ。世界を救うためには、スティーブと永遠の別れを告げなければならない。
欲望と愛、それは人にとって決して欠かせないもの。スーパーヒーローにとっても例外なく、ごく普遍的なものだ。
堪えきれないほどの喪失を経験しても尚、人は前へ進まねばならない………欲望を暴走させる人類に向けて、ダイアナはそう語る。
数十年前に戦争を単身で終わらせたのと同様に、今回もまたダイアナは世界へ光明をもたらすこととなったのである。実に輝かしい、純然たるヒーロー映画と言えるだろう。
神話、再誕。『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』
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『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』
(”Zack Snyder's Justice League")
あらすじ
基本的なあらすじは《前編》にて紹介した『ジャスティス・リーグ』と同様。
作品解説
2017年に公開された『ジャスティス・リーグ』、そのディレクターズ・カット版にあたるのが今作『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』だ。
元々はオリジナルver.の『ジャスティス・リーグ』をザック・スナイダーが監督する予定だったが、彼の娘が他界してしまったことにより降板。
やがて『アベンジャーズ』のジョス・ウェドンが監督を引き継いだが、ワーナー・ブラザースの指示もあり当初の作風からかけ離れた作品となった。
今作はザック・スナイダーが降板する前に考案していた構想をもとに再撮影・再編集したもの。U-NEXT独占配信として公開された。
新たなるシーンの追加、各キャラクターの掘り下げなど、本編と比べ追加要素が多く、それに伴い上映時間も242分(約4時間)と非常に長い。
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『マン・オブ・スティール』に『バットマンvsスーパーマン〜』と、DCEU独特の作風を決定づけたと言ってもいい、シリアスかつ重厚な世界観が特徴の「スナイダー節」。
この『〜スナイダーカット』も、監督の初期案をベースに再構築された作品であるためか、これでもかと言わんばかりにスナイダー節が全開。
決して万人受けではないこの作風で、約4時間という超・長尺。これはまたもやブーイングを呼び寄せる結果となってしまうのではないか………
と思いきや、多くの映画レビューサイトにて高評価を獲得。オリジナル版の不評っぷりがまるで嘘かのようだ。
最初からこういった丁寧な作りにしていれば、DCEUの未来も明るかったろうに………と常々思うが、これで不本意の降板を余儀なくされたザックやキャスト陣も、多少は報われたことだろう。
ちなみに現在では、今作を軸にユニバースを展開していく流れ(通称”スナイダーバース”)を、
ジェームズ・ガン主導のDCUとは別のプロジェクトとして進めて欲しい、という要望が世界中から寄せられているそう。
現に、Xでは「#RestoreTheSnyderVerse」というハッシュタグをつけ、スナイダーバースを復活させて欲しいという運動が盛んに行われている。
これは確かに、筆者としても非常に気になるところだ。できれば現実になって欲しいところだが………
残虐かつ非道かつ過激に、世界を救え!!『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』
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『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』
(”The Suicide Squad")
あらすじ
様々な特殊能力を持った終身刑の極悪犯罪者たちが、減刑を条件に政府非公認の極秘&超危険ミッションに挑む決死部隊、スーサイド・スクワッド。
とある南米の島にて繰り広げられている内戦を阻止すべく、今日も新たなチームが結成される。
多種多様な武器を使いこなすブラッドスポート、ゴッサムの犯罪王子ことジョーカーの元カノであるハーレイ・クイン、
平和の為なら女も子供もブッ殺すピースメイカー、圧倒的な殺傷力を誇る水玉を持つポルカドットマン、
有象無象のネズミを操ることができるラットキャッチャー2………そして喋るサメ、ナナウエ。
一癖も二癖もあるなんて言葉じゃ到底まとまらない、癖の強すぎるチームに課された極秘ミッション。しかし事態は、徐々に思わぬ方向へと傾いてきて………??
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作品解説
2016年に公開された、デヴィッド・エアー監督作『スーサイド・スクワッド』の続編にしてリブート作品。
MCUを代表するシリーズの一つ、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(以降『GotG』)シリーズを手がけたジェームズ・ガンが監督を務めた。
知っての通り、ジェームズ・ガンは現在、製作進行中のDCU(DCユニバース)のCEOを担当中。今のDC映画の要のような存在だ。
ハーレイ・クイン役でお馴染みマーゴット・ロビーをはじめ、イドリス・エルバ、ジョン・シナ、シルヴェスター・スタローンら豪華俳優陣が集結した。
「ヴィランたちが主人公なのに、作りが凡庸すぎる」と批判されてきたデヴィッド・エアー版『スーサイド・スクワッド』。
それを踏まえてか、今作は実にバイオレンスかつクレイジーな作りとなっている。ゴア描写も容赦無く描かれており、映倫ではR15に指定されている。
そうした演出的な魅力もさることながら、主要人物が揃いも揃って曲者揃いな為にアクションも実に多彩。ヴィランらしく、的確かつ残虐に敵を仕留めにかかっているのも特徴的だ。
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………と、ここまで聞いて「『モータルコンバット』かよ」と思うかもしれないが、今作は実にヒーロー映画的な特色をも併せ持っている。
己の使命のためには、善人を殺めることだって厭わない………そんな彼らは確かに正義に仇なす「悪」だが、どうも絶対悪的存在とは言い難い。
悪役だって、愛する家族がいるし、超えてはならない一線を持っているし、どうしても譲れない使命を持っているし、純粋に友達が欲しいヤツだっている。
そんなどこか憎めないヴィラン………影に潜むもの、嫌われ者たち、ネズミたちに立ちはだかるのは、世界に仇なす「モンスター」という、純然たる「悪」。
「正義を成す」………そんなもの、彼らにとってはただの笑えないジョークであり、実際には有り得ないことだ………この時までは。
不条理に満ちたクソッタレな世界を救う為に、「悪」が「正義」に立ち替わる………その瞬間の美しさたるや。
荒くれ者たちが、世界の為にヒーローへと回帰する………『GotG』を手がけたジェームズ・ガンだからこそ描くことのできたストーリーといえよう。
筆者的にはDCEUを超え、ヒーロー映画で一番好きな作品だったりする。今度また、レビューとしてしっかりと語っていきたいなぁと。
地獄送り、ブラック参上!!『ブラックアダム』
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『ブラックアダム』
(”Black Adam”)
あらすじ
今より5000年前、カーンダック王国。愛する息子を殺されたテス・アダムは、大いなる魔術の力を授かり、これを復讐のために使用。
誤ったことに魔術を使った魔術師たちはテス・アダムを封印。魔術師たちは、魔術は善なる人々に授けることを決意した。
時は流れ、5000年後の現代………カーンダック王国は侵略者によって支配されており、人々はそんな彼らを退ける「勇者」の到来を待ち望んでいた。
そんな最中、とある考古学者が復活の呪文を唱えたことにより、テス・アダムは復活。敵を容赦無く殲滅していく彼の姿に、カーンダックの人々は「救世主が現れた」と歓喜に打ちひしがれていた。
その一方で、超人が殺人を受けたという知らせを聞いた米国政府の高官アマンダ・ウォラーは、直属のヒーローチームであるJSA(ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ)を出動させる。
果たしてこの男は「悪」なのか、或いは「正義」なのか。時空を超えた、空前絶後の死闘が今、始まる。
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作品解説
原作ではシャザムのライバルにして宿敵に当たるダークヒーロー「ブラックアダム」の単独作が登場。
監督には『エスター』『ジャングル・クルーズ』のジャウム・コレット=セラが就任した他、肝心のブラックアダム役には、あの「ロック様」ことドウェイン・ジョンソンが抜擢された。
『ワイスピ』シリーズをはじめ、数々のアクション映画で活躍しているロック様が、今度は魔法で大暴れ。「鬼に金棒」ならぬ「ロックに魔法」である。
ダークヒーローらしく、敵を一切の容赦無く葬っていく、そんなブラックアダムの織り成すアクションは必見。
同じ力を持つヒーローであるシャザムとは異なり、怪力や魔法の力をフルパワーに発揮しているのもまた特徴的。
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そして今作はそれに加えて、JSAなるジャスティス・リーグに次ぐスーパーヒーロー・チームが登場する。
卓越した統率力と飛行能力を持つリーダーのホークマン。未来を見通す力を持つ魔術師ドクター・フェイト。
自身の体の大きさを変化させて戦うアトム・スマッシャー。超音波を伴う風を操ることができるサイクロン。
どれもブラックアダムに勝るとも劣らない、個性的な能力を持った面々。そんな四人がブラックアダムと対峙するとなれば、凄まじい戦いになるのは一目瞭然だろう。
またただの堅物ではなく、意外なちょっとしたユーモアさも持ち合わせているのも彼の魅力。
最終的には守るべきものを守るためにヒーローとして覚醒するなど、ただのダークヒーローでは到底収まり切らない魅力を秘めた男………それがブラックアダムだ。
家族の愛は、神々をも超える。『シャザム!〜神々の怒り〜』
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『シャザム!〜神々の怒り〜』
("Shazam! Fury of the Gods")
あらすじ
大いなる魔術師によって選ばれ、神々の力を手に入れたビリー・バットソン。魔術師の名を唱えると、大人の姿に変身。スーパーヒーロー・シャザムとして戦うことができるのだ。
かつてビリーの力目当てに家族を襲ったサデウスとの戦いの最中、ビリーだけでなく他の義兄弟たちも同様のスーパーパワーを取得。
かくしてビリーたちは、その大いなる力を使って里親に内緒でヒーロー活動に勤しんでいた………
が、いつも街を破壊してしまうことで、ニュース番組等で取り上げられても「フィラデルフィアの恥」として度々罵られる始末。
そんな最中、突如としてこちらの世界に神々の娘たち、通称「アトラスの娘」が来訪する。
かつて魔術師に奪われた神々の力を取り戻すため、アトラスの娘たちはビリーへ戦いを挑むことに。
スーパーヒーローの力によって結束された家族のもとに訪れた、かつてない脅威。果たしてビリーたちは、この困難を乗り越えることができるのか………!?
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作品解説
2019年公開『シャザム!』の続編。監督のデヴィッド・S・サンドバーグ、主演のザッカリー・リーヴァイは前作に引き続き続投している。
前作にて強調されていたコメディチックな作風はそのままに、CGをド派手に盛り込んだことでアクションが大幅に進化。
また義兄弟たち全員がシャザムと同様の姿に変身できるようになったことで、さながらスーパー戦隊のような色鮮やかさも生まれている。
惜しくも戦隊モノっぽいシーンは序盤のみだが………
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またヴィランが正真正銘、純度100%の「神様たち」なのもまた特徴的だ。ヴィランのスケールだけで言ったら、もしかすると歴代最高かもしれない。
神々の娘たちという、歴代最高峰のスケールの敵に挑むは、神々の力を宿しつつもヒーローとしては半人前な一つの「家族」。
前作において強調されていた「家族」というテーマが、今作でも強く見受けられる。
兎にも角にも、ヒーロー映画の純粋な「続編」としては、今作は正解と言えるだろう………正統派な進化こそが、続編ものの真髄なのだから。
神速、コウモリ、スパゲッティ、そして愛。『ザ・フラッシュ』
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『ザ・フラッシュ』
(”The Flash”)
あらすじ
光をも超える速さで移動することのできるスーパーヒーロー、「フラッシュ」ことバリー・アレン。
「ジャスティス・リーグ」のメンバーとしてヒーロー活動に勤しむ傍ら、捜査官として父の冤罪を晴らそうと日々研究に打ち込んでいた。
しかしどれだけ時間が経っても、父の無罪を証明する証拠は見つからないまま………ヒーロー活動も思うように上手くいかず、漫然とした日々を送っていた。
無我夢中で街を疾走するバリー。そこへ突如として、バリーの持つ「スピードフォース」の能力が覚醒した。
ステッペンウルフとの戦いで一時的に発動した「時間を巻き戻す力」を自在に扱えるようになったバリーは、父が投獄された理由………母の死を無かったことにするべく、過去へタイムスリップ。
結果的に未来を変えることに成功したバリー。だが元いた時間に戻る最中で謎の人物から妨害を喰らい、18歳のバリーが存在する時間軸に弾き出されてしまう。
そこは確かに、バリーの母親が生存し父親と共に暮らしている世界………だがその世界には、スーパーマンなどのスーパーヒーローたちがいない世界だった。
更に時を同じくして、クリプトン星からの侵略者であるゾッド将軍が地球に襲来。世界は今、未曾有の危機に晒されている状態だった。
なんとか侵略を食い止めなければと、あの手この手を使ってスーパーヒーローたちを探し出そうと奔走するバリー。
そんな最中、唯一バットマンは実在するという情報を耳にする。そこでバリーは早速、ブルース・ウェインの住む豪邸へ足を運ぶが………
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作品解説
2017年公開『ジャスティス・リーグ』にて初登場した、世界最速のヒーロー「フラッシュ」の単独映画が満を持して登場。
監督を『IT/イット〜』シリーズのアンディ・ムスキエティが担当。当然、フラッシュ役を務めるエズラ・ミラーも続投する。
だが今作、何よりもキャスト陣が超豪華。まさにDC映画の総集編と呼ぶべき、荘厳なラインナップとなっている。
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まずは何と言っても、あのマイケル・キートン扮するバットマンだ。キートンがバットマンを演じるのは1992年公開『バットマン リターンズ』以来。
齢70を超えても尚、あの伝説のバットマンを再びこの場で演じてくれたことには感謝しかない。あの特徴的な黄色いロゴを見て、懐かしさを覚えた人も少なくないのではなかろうか。
ちなみに今作にはベン・アフレック扮するバットマンも出演。残念ながら二人が同時にスクリーンに映ることはないが、史上初のダブル・バットマン出演である。
他にもマイケル・シャノンがゾッド将軍を10年ぶりに演じるなど、今作はとにかくキャスト陣の力の入れ込みっぷりが半端じゃない。
また新キャストとして、新鋭のサッシャ・カジェがスーパーガールを演じた。
スーパーガールで言うとメリッサ・ベノイストによるドラマ版の記憶が新しいが、こちらのスーパーガールも多くのファンから絶賛され続投を待ち望む声が多い。
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………といった具合に、アメコミ映画史上最大規模の豪華さを持つ今作。
加えてストーリーも最近流行りのマルチバースを全面的に押し出しており、これによって奇跡のサプライズ的演出が可能となっている。
しかしながら、これほどのスケールを持ち合わせていながらも、大まかなストーリーラインは非常にシンプル。
DCEUの歴史を根底から歪めてしまうほどの過去改変をしてしまったフラッシュ。しかしその動機は、全て「亡き母にもう一度会いたい」という純粋な願いからきている。
世界を救う、ジャスティス・リーグの一員たるスーパーヒーロー・フラッシュ。そんな彼が願うは「母からの愛」というありふれたモノ。
DCコミックス史上、最も壮大にして、最も愛に満ち溢れた作品。「DC映画史上最高傑作」と称される理由も、確かに納得だ。
本作のレビュー記事はこちら。
ビートル………変身!!『ブルービートル』
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『ブルービートル』
(”Blue Beetle”)
あらすじ
ゴッサム法科大学を卒業し、実家へと戻ってきたラテン系アメリカ人の青年、ハイメ・レイエス。
家族には「レイエス一家初の大卒」として暖かく迎え入れられるが、仕事はうまくいかず将来に思い悩んでいた。
そんなある日、自身が務める企業の社長の娘であるビクトリアから、変わった形のスカラベを渡される。
青く輝く、クワガタをモチーフにしたようなスカラベ。試しに家族の前で手に取ってみると、突如としてスカラベがハイメの体内に入り込んでしまう。
スカラベの力によって、徐々に身体が人ならざるものへと変身していくハイメ。実はそのスカラベは地球外生命体のものであり、ハイメはそれに寄生されてしまったのである。
そのスカラベは、企業にとっては最大の機密事項。社長らは総力を上げて、ハイメからスカラベのパワーを取り出すべく家族を襲い始める。
ハイメは、スカラベの力を自在に操り戦うヒーロー………「ブルービートル」として、家族を守るために戦いへ身を投じることとなる。
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作品解説
空高く飛び、腕を剣や銃に変形させながら戦う………という、男のロマンをこれでもかと詰め込んだスーパーヒーロー、ブルービートルの単独映画。
アメコミ史上初のラテン系アメリカ人が主人公ということで、監督や主演も全員ラテン系となっている。
本国では公開されて初登場1位を記録し、多くのレビューサイトでは高評価を獲得した。
ここまでの大ヒットを記録したならば、そのうち日本公開も告知されるだろう………かと思いきや、まさかの今時では異例の配信スルー。
予算削減が主な理由だろうが、お察しの通りファンたちからの苦情が殺到した。
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内容自体は実にシンプルなヒーロー映画。マルチバースなどの複雑な設定が主流となり「ヒーロー映画疲れ」という単語をよく耳にするこの時代。
なのでむしろ、こうした単純明快なヒーロー映画は珍しい傾向にある。それでいてちゃんと面白いのだから、本国でのヒットも納得である。
加えて、主役のブルービートルがメチャクチャカッコイイのはもちろんのこと、ハイメの家族たちにもしっかりとフォーカスが当たっている点もポイントが高い。
こういう大家族が主役の映画、だいたいお婆ちゃんが強キャラになりがち。今作でもとっっっても濃い足跡を残していた。
昆虫の姿を象り、平和のために悪と戦うヒーロー………その様はさながら『仮面ライダー』のよう。いつかライダーキックならぬビートルキックをブチ込む姿を拝んでみたいものである。
ハイスピードで、クレイジーな、フィナーレ。『アクアマン/失われた王国』
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『アクアマン/失われた王国』
(”Aquaman and the Lost Kingdom”)
あらすじ
オーシャンマスターの暴走を食い止め、アトランティス王国の新たなる王として君臨することとなったアーサー・カリー/アクアマン。
妻であるメラとの間に子供をもうけた彼は、育児に国の統治に毎日大忙し。しかし一人の王様、或いは父親として充実した日々を送っていた。
しかしそんな彼の元に、不穏な影が忍び寄っていた………アクアマンとの戦いに敗れ日々恨みを募らせていたデイビッド・ケイン/ブラックマンタは、
氷河に眠っていたとある古代遺跡から、古代の呪われし武器・ブラックトライデントを発掘する。
次第に闇の力に魅了され、アトランティス王国、ひいては世界そのものを脅威に陥れようとするブラックマンタ。
このままでは、世界は滅ぼされてしまう………そこでアーサーは、とある妙案を思いつく。
それは砂海王国に幽閉されている、仇敵にして実の弟であるオームを救い出し、協力してもらうことだった。
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作品解説
ジェームズ・ワン監督、ジェイソン・モモア主演のヒーロー映画『アクアマン』の続編が登場。
監督、主演はもちろんのこと、アンバー・ハードやパトリック・ウィルソン、ニコール・キッドマンにヤヒヤ・アブドゥル=マティーン2世など、数多くのキャスト陣が前作から続投。
アーサーとメラが、世界各地を探検しながら、伝説の武器「トライデント」を探し出す旅に出る………
さながら海版『インディ・ジョーンズ』のような前作だったが、今作もまたアドベンチャーに満ち溢れた作品となっている。
しかも今回の相方は、かつて互いの命を賭け死闘を繰り広げた実の兄弟。アトランティス・ブラザーズによる冒険譚の始まりだ。
ジャングルにて巨大生物が襲いかかる展開から『センター・オブ・ジ・アース』を彷彿とさせる部分も。
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………そして実は、今作がDCEUラストの作品となる。
今作を最後に、DCEUは完全にその幕を下ろすこととなる………すなわちジェイソン・モモアのアクアマンも、これで見納めとなってしまう(かもしれない)のだ。
波瀾万丈の10年間を過ごしたDCEU、その最後の作品………ともすれば、さぞ厳粛な雰囲気でそのフィナーレを飾ることだろう………
かと思いきや、実はその真逆。前作以上にハッチャケていて、かつギャグもマシマシな、異例の「幕の閉じ方」を見せているのだ。
DC史上最高の大ヒットを叩き出した前作を超える出来か、と言われれば首を縦に振りづらいが………
「………And I'm AQUAMAN!!!!! Fooooo!!!!!!」と、アクアマンもといモモアマンの満面の笑みで、遂に終焉を迎えるDCEU。
創立者たるザック・スナイダー、そして数々の名匠・名優たちの手によって紡がれた、アメコミ史に残る「伝説」。
新たなる伝説となるであろうジェームズ・ガンによるDCUに期待を寄せつつ、是非ともその想いを継承して頂きたいと切に思う。
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(おまけ)惜しくも制作・公開されることのなかった作品たち
ここからは、事前に製作が決定・計画されていながらも、DCEU自体の終了など様々な諸事情が重なり、やむなくプロジェクトの中止を余儀なくされてしまった作品たちを紹介。
もし実現できていれば、絶対面白かったであろう作品たちばかりな為、仕方のないこととはいえどやはり残念な気持ちも。一部だけでも、DCUにて製作されることを祈ろう。
『ザ・バットマン』(仮題)
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『バットマンvsスーパーマン〜』にて初登場した、ベン・アフレック演じるバットマンが主役の映画。
当初はベン・アフレックが主演・監督・脚本の全てを担当する予定だった。ベン・アフレックは『アルゴ』など、監督としても優れていることで有名。
他にもJ・K・シモンズ演じるゴードン警部補、そして『ジャスティス・リーグ』にてチラッと出演したデスストロークがヴィランとして登場するはずだった。
関係者からは「バットマン史上最高傑作」とまで称されていた、幻のベンアフ版『バットマン』。
プロジェクト停止のキッカケとなったのは、ベン・アフレックのプロジェクトからの離脱。
だがその元を辿ると、どうも『ジャスティス・リーグ』の撮影現場にてベン・アフレックが受けたパワハラが問題となっているらしい。
ザック・スナイダーが『ジャスティス・リーグ』の監督から降板した後、新たなる監督の座についたのは『アベンジャーズ』を手がけたジョス・ウェドン。
この時のジョス・ウェドンは、ベン・アフレック含むキャスト陣にかなり横柄な態度を取っていたらしく、結果としてパワハラにまで発展してしまったらしい。
これを機にベン・アフレックは「完全に心が折れた。もう二度とバットマンをやらない」と決心。『ザ・バットマン』の計画も頓挫することとなってしまった。
『ザ・フラッシュ』にて少しだけでも出演してくれたのが唯一の救いか。ほんの数分の出演だったが、メチャクチャにカッコ良かったのでファンとしてはもう一度その姿を拝みたい所存………
尚、周知の通り今作は、マット・リーヴス監督・ロバート・パティンソン主演の『THE BATMAN -ザ・バットマン-』として生まれ変わり、2022年に公開された。
ダークナイト三部作に勝るとも劣らないヒットと人気を叩き出した今作。続編・スピンオフのプロジェクトも絶賛進行中とのことなので、是非とも期待していきたい。
『ワンダーウーマン3』(仮題)
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ガル・ガドット主演、パティ・ジェンキンス監督作『ワンダーウーマン』シリーズの第3作目。
第1作、第2作とヒットを記録し続け、第3作も制作されるかと思いきや、こちらも残念ながら計画が頓挫してしまった。
理由としては、ジェンキンスの書いた脚本が今後のDC映画の構想に適合しなかったから、とのこと。
ガル・ガドット自身は『シャザム!〜神々の怒り〜』や『ザ・フラッシュ』にて度々カメオ出演している為、本人はワンダーウーマン役にかなり意欲的だと考えられる。
もう一度だけでいいから、彼女の華麗なる大暴れを劇場で目にしたいものだが………
『バットガール』(仮題)
ゴードン警部補の娘、バーバラ・ゴードンが、バットガールとして活躍する姿を描いた映画。
監督には『バットボーイズ フォー・ライフ』のアディル・エル・アルビとビラル・ファラーのコンビが就任。バットガール役には新鋭のレスリー・グレイスがキャスティングされていた。
他にもJ・K・シモンズ扮するゴードン警部補や、『ザ・フラッシュ』にてカムバックを果たしたマイケル・キートン扮するバットマンが登場予定だった。
劇場映画ではなく、HBO Maxの配信限定作品として公開される予定だった模様。
今作、脚本もしっかりと完成されており撮影も完了済み。ポストプロダクションもほぼ終わり、あとは公開するのみ………
という寸前のところで、まさかのお蔵入り。完成間近まで来て、日の目を見ることなくDC映画の歴史から葬り去られることとなった。
主な理由としてはコスト削減、および劇場映画へリソースを割きたいから、とのこと。本当に余計なことをしてくれる
撮影が未完了のままならまだしも、完成間近でお蔵入りならば、少なくとも我々観客が鑑賞できる状態ではあるはず。
果たしてそんな日が来るのか………とは思うが、いつかこの目で観ることができる日を待つとしよう。
その他、DCEUの終了に伴い、製作中止となってしまった作品たち
数ある製作中止となってしまったプロジェクトの中でも、一番影響を受けたのはやはりDCEU自体のプロジェクト中止だろう。
監督や脚本の担当、およびキャスティングなど、様々な方面でプロジェクトが動いていたが、DCEUの打ち切りと共に全て中止を余儀なくされてしまった。
『ジャスティス・リーグ』の続編、『スーサイド・スクワッド』のデッドショットのスピンオフ、DCを代表するヒーローの一人であるグリーンランタンの単独映画など………
その他にもマイケル・ベイやスティーヴン・スピルバーグといったハリウッドの巨匠たちが製作に携わった作品があったりなど、非常に魅力的なラインナップとなっていた。
いつの日か、全部でなくともDCUにて実現されることを祈ろう。
今後のDCコミックス映画の展開について
DCEUという巨大プロジェクトが終了したDCスタジオ。では今後、どのような作品展開が行われていくのだろうか?
まず一番に注目していきたいのが、ジェームズ・ガン主導のもと目下製作中であるDCU(DCユニバース)である。
現在はユニバース第1の作品となる『スーパーマン』を製作中。登場人物のキャスティングなどが度々報じられており、強い期待が寄せられている。
また、DCEUの一部の作品………『シャザム!〜神々の怒り〜』『ザ・フラッシュ』『ブルービートル』『アクアマン/失われた王国』は、DCUと同様の系列の作品として扱われる模様。
他にも多数の作品(映画・ドラマシリーズ)の製作が予定されており、今後の展開にも注目していきたいところだ。
10年間続いたDCEUをリセットして、新たに制作される新シリーズ………ジェームズ・ガンにのしかかるプレッシャーは相当なものだろう。
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その一方で、DCEUと同時期に製作されていたシリーズ(『THE BATMAN〜』や『ジョーカー』、アローバース等のドラマシリーズなど)は、
DCUとは別のユニバース(通称”DCエルスワールズ”)として扱われるとのこと。
『THE BATMAN -ザ・バットマン-』の系列は「バットバース」と呼称され、ヴィラン・ペンギンのドラマシリーズや『THE BATMAN PART2』(仮題)の制作が計画されている。
https://eiga.com/movie/98960/photo/
一方、トッド・フィリップス監督、ホアキン・フェニックス主演『ジョーカー』に関しては、続編となる『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が2024年10月に公開予定だ。
長らくマーゴット・ロビーが居座っていたハーレイ・クインの座を、『ハウス・オブ・グッチ』のレディー・ガガが引き継ぐこととなった。ホアキンとの共(狂)演が楽しみである。
また他にも、ジェームズ・ガン監督、ジョン・シナ主演のTVドラマシリーズ『ピースメイカー』シーズン2が公開予定だ。
『ザ・スーサイド・スクワッド〜』のスピンオフである為、DCEUと同じユニバースを有しているが、DCEUの終了とは無関係にシリーズの制作を進めていくとのこと。
例えDCEUが終わってしまったとしても、DC映画はまだまだ終わっちゃいない。今後のラインナップに期待大だ。
まとめ(あとがき)
遂にDCEU解説記事、終了でございます。いやぁ長かった………というか時間かけすぎた。
こっちの記事をのんびりと書きすぎて、今の映画界隈のトピックに触れるタイミングを悉く失ってしまっているような。
今年のアカデミー受賞作が発表されたり………『DUNE PART2』を映画館で観たら色々とヤバすぎたり………とにかく色々。追い上げていかねば。
さてさて、DCEUが『アクアマン/失われた王国』を以てして遂にその幕を閉じてしまうとのことで………
私筆者としては、DCEUは中々に思い入れのあるシリーズで。
まだよく映画というものを知らない頃に『バットマンvsスーパーマン』を両親と共に観に行き「なんじゃこれ???」と大いに困惑したり。
或いはネットでたまたま『マン・オブ・スティール』の戦闘シーンを観て、そのあまりのカッコ良さに一目惚れして速攻TSUTAYAにチャリで向かったり。
先述したように『ザ・スーサイド・スクワッド〜』が面白すぎて、ヒーロー映画で一番好きな作品になったり。
DCの方がMARVELよりも好きかもしれない………??とふと思っちゃったりするほどに、DC映画、もといDCEUは私の映画人生に大いに影響を与えた訳です。
そんなわけで、DCEUが終わっちゃうのも勿論寂しくはあるんだけれど、同時に新しく始まるDCUもかな〜り楽しみにしてます。
特にジェームズ・ガンが監督する『スーパーマン』とか絶対楽しいじゃん。いい意味で『マン・オブ・スティール』とは真逆の作品になりそう。
いつかDCがMARVELを超える………とまではいかなくとも、肩を並べるほど盛り返してくれる日を待ち望んでおります。
と、いうわけで今回はこの辺で。前編・後編と合わせて読んでくれた方には最大限の感謝を。そうでなくとも、ここまで目を通してくださりありがとうございました。
それではまた、次の映画にて。