シリーズ解説

【シリーズ解説】Operation: "IMPOSSIBLE"『ミッション:インポッシブル』シリーズを一挙解説!!

『ミッション:インポッシブル』シリーズとは?

アクション映画における最もメジャーなジャンルの一つである「スパイアクション映画」

遂行が極めて困難、あるいはほぼ不可能な任務に挑み、様々な手を駆使して遂行していく。時には不測の事態が発生して緊迫な状況に陥ったり、時には強敵と戦いを繰り広げる………

「ジェームズ・ボンド」が主役の『007』シリーズなどに代表されるジャンルだが、そんなボンドと肩を並べるほどの知名度と人気を誇るシリーズが存在する。それこそが『ミッション:インポッシブル』シリーズだ。

長らく主演を務めているのは、ハリウッドの大スターことトム・クルーズ。IMFのエージェント「イーサン・ハント」として、世界中の「達成不可能」なミッションに挑み続ける。

そして本シリーズは、数多くの著名な巨匠たちが監督を務めている。『アンタッチャブル』ブライアン・デ・パルマ『フェイス/オフ』ジョン・ウー『スタートレック』J・J・エイブラムスなど様々。

1996年に第1作目が公開され、2025年現在までに8作品が制作された。どの作品も概ね高評価を得ており、シリーズ全体で35億ドルもの興行収入を叩き出している。

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また今作の魅力として、トム・クルーズによる生身のスタントアクションが挙げられる。各作品で象徴的に描かれている危険なアクションシーンを、普通はスタントマンに任せるところをトムは彼自身で行ってしまう。

ワイヤー1本で地面スレスレまで接近する、生身でロッククライミング、挙句の果てには飛行機に生身でしがみ付く………彼が行ってきた、文字通り「不可能」なアクションは挙げだしたらキリがない。

だがそれが、本シリーズをただのアクション映画シリーズに留まらない最大の理由ともいえる。命を懸けた撮影だからこそ生まれる臨場感は、決してCGやVFXの合成などでは作り出せない。

国や世界そのものの存亡をかけた、壮大なるミッションに挑む彼らの姿を刮目せよ。

完全予測不可能。『ミッション:インポッシブル』

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『ミッション:インポッシブル』

("Mission: Impossible")

作品概要

CIAの極秘部隊「IMF(Impossible Mission Force)」のエージェントであるジム・フェルプスは、飛行機内でIMFからの極秘指令を受け取る。

CIAに所属する、非公式のエージェントたちの名前が記された名簿「NOCリスト」。このリストを、プラハのアメリカ大使館職員よりも先に奪取するという任務だった。

早速メンバーを招集し、任務を開始するフェルプス。順調に任務は進んでいき、このまま難なく成功する………かのように思われたが、突如として謎の襲撃者が現れ、フェルプスのチームメンバーが次々と殺害されていってしまう。

リーダーのフェルプスも殺害され、ただ1人生き残った若きエージェントであるイーサン・ハントは、今回の任務の監督役であるキトリッジに援助を要請する。

だがキトリッジは、今回の任務の目的とはNOCリストを盗み出すことではなく、IMFに紛れ込んだ裏切り者を炙り出すためだったということをイーサンに告げる。

かくして1人生き残ったが故に裏切り者であると疑いをかけられたイーサンはキトリッジのもとから逃走し、事の真相を暴くべく単独で行動をし始めるが………

あらすじ

シリーズ一作目。今作の時点で既に大ヒットを記録しており、1996年公開映画の興行成績において3位に躍り出た。

監督は『スカーフェイス』『アンタッチャブル』ブライアン・デ・パルマ。トム・クルーズが主演を務める他、プロデューサーも担当。デ・パルマを監督に引き入れたのも彼である。

後にシリーズの常連となるヴィング・レイムスや、『レオン』で主演を務めたジャン・レノも出演している。

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世界的スパイアクション映画シリーズとして花開いていく『M:I』シリーズ。一方今作は、アクション映画というよりはミステリー映画、或いはサスペンス映画の側面が強い、と言えるかもしれない。

任務の裏に隠されていた任務、真の黒幕の存在、他様々な要素が絡み合い、観客は良い意味で混乱する。完璧に「予測不可能」な展開が続く、そんな映画体験を味わうことができるのだ。

だが、後に続く続編のような目新しいアクション要素もまた魅力的。イーサンが地面スレスレまでワイヤーで吊るされるシーンや、列車の上での戦闘シーンは他のタイトルにも負けないほどの緊張感と迫力がある。

総じて、今作はおよそ30年前の作品とは到底思えないほどの完成度を誇っている。シリーズ、もといスパイ映画の最高傑作として、今作を挙げる人も決して少なくないだろう。

「不可能」を駆け抜けろ。『ミッション:インポッシブル2』

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『ミッション:インポッシブル2』

("Mission: Impossible 2")

あらすじ

IMFから許可を得て、しばらく休暇をとっていたイーサンは、またもやIMFからミッションの指令を受ける………

バイオサイト製薬にて作られた「キメラウイルス」は、ひとたび感染すれば死は免れないほどの致死量を持つウイルス。

イーサンに課された任務とは、そんなキメラウイルスを奪い去ったIMFエージェントであるアンブローズから、治療薬「ベレロフォン」と共にウイルスを奪い返せというものだった。

だがアンブローズは、イーサンの替え玉として活躍するなどエージェントとして類稀なる実力を持つ。アンブローズを出し抜くため、IMFは彼の元恋人であるナイアをチームに引き込むことを提案する。

IMF以外の人間をミッションに参加させることを躊躇うイーサンだったが、やむを得ずナイアをアンブローズの元へ送り込み、潜入させることに成功する。

彼の動向を探るうち、アンブローズの目的とはキメラウイルスを街中にばら撒くことでパンデミックを発生させ、バイオサイト製薬と結託し儲けを得ようとしていることが判明した。

これを知ったイーサンはバイオサイト製薬の本社に潜入しキメラウイルスを破壊しようと目論むが、アンブローズに先を読まれたことで失敗。そこでナイアは、窮地に陥ったイーサンを救うためウイルスを自身に投与してしまう。

アンブローズの野望を阻止するため、そしてナイアを救うため、イーサンは再び「達成不可能」の任務へと身を投じることになる。

作品概要

シリーズ二作目。監督はブライアン・デ・パルマから、『フェイス/オフ』などのアクション映画で有名なジョン・ウーに交代した。

主演のトム・クルーズの他、天才ハッカーのルーサー役であるヴィング・レイムスが続投。『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』でトムと共演したダンディ・ニュートンがヒロインとして出演した。

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「ヒッチコックの後継者」ことデ・パルマ監督による、斬新な表現技法が多く用いられたスパイアクション映画として名を轟かせた前作。

しかし今作は打って変わって、バイクチェイス銃撃戦近接格闘など、アクションシーンが多く盛り込まれている。前作同様、監督の味が強く押し出された作品に仕上がった。

その一方で、スパイアクション映画の続編として、スパイ要素をほぼほぼかなぐり捨ててアクション映画に振り切るのはどうなのか………という意見も少なくない。

だがご存じの通り『M:I』シリーズの醍醐味とは、トム自身がスタントを行って撮影されたド迫力のアクションシーンにある。特に近年の作品では、その要素が顕著に強い。

そう考えると、今作もまた『M:I』シリーズにおけるを築いたタイトルの一つと言えるのではなかろうか。デ・パルマなくしてスパイ要素なし、ジョン・ウーなくしてアクション要素なし、である。

愛と使命の間にて。『ミッション:インポッシブル3』

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『ミッション:インポッシブル3』

("Mission: Impossible III")

あらすじ

IMFのエージェントとして数々の困難なミッションをやり遂げてきたイーサンは、現役を退き教官として新人のエージェントを教育する傍ら、妻のジュリアと幸せな日々を送っていた。

そんな中、イーサンの教え子であるリンジーが、武器商人のデイヴィアンを監視する任務中に拉致されたという情報を得る。

再び現場に戻ることを躊躇うイーサンだったが、何とかジュリアを説得し任務に出動。壮絶な戦闘の末にリンジーを救出することに成功するが、彼女の頭の中に小型爆弾が埋め込まれており、解除に間に合わずリンジーは死亡してしまう。

愛する教え子を救えなかったことにイーサンは悲嘆に暮れるが、リンジーが囚われていた廃工場から持ち帰った端末から、デイヴィアンの目的とは「ラビットフット」なる謎の物体であることが判明する。

さらにリンジーがイーサンに託したファイルから、デイヴィアンはIMF局長ブラッセルと結託していたことも判明する。

デイヴィアンの野望を阻止し真相を暴くため、イーサンはチームを結成しバチカンにてデイヴィアンを拉致することに成功するが、彼の護送中に彼の部下が護送車を襲撃し逃亡を許してしまう。

加えてデイヴィアンは、イーサンに妻がいることを見抜きジュリアを拉致。48時間以内にラビットフットを手に入れ渡さなければ、ジュリアを殺すと脅迫する。

平和の最中、突如として訪れたイーサン最大の危機。未だかつてない「遂行不可能」なミッションが幕を開ける。

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作品概要

シリーズ3作目。『アルマゲドン』脚本や、後に『スタートレック』の監督を務めるJ・J・エイブラムスが監督に抜擢された。

トム・クルーズ、ヴィング・レイムスの2人は変わらず続投し、新たにローレンス・フィッシュバーンや、後に常連キャストとなるサイモン・ペッグも出演している。

ストーリー構成が原作である『スパイ大作戦』のようなチームワークを重視したものに変わり、またアクション方面においても高い評価を得たが、1作目及び2作目の興行収入には届かなかった。

1作目では正統派にしてスタイリッシュなスパイ映画、2作目では疾走感溢れるパワフルなアクション映画として、それぞれ強い人気を博していた本シリーズ。

3作目である今作は、愛する妻が危険に晒され、焦りに駆られている上でシリーズ最難関ともいえるミッションに挑む、そんな人間味に溢れたイーサンが活躍する姿が描かれる。

また1作目の醍醐味でもあった、誰が味方で誰が黒幕なのかわからなくなるという展開も今作で復活。これにより作品全体に強い緊迫感が生まれ、文字通り手に汗握る展開が繰り広げられる。

果てなき不可能は、更なる高みへ。『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』

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『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』

("Mission: Impossible - Ghost Protocol")

あらすじ

IMFのエージェントであるハナウェイは、「コバルト」と名乗る人物から秘密ファイルを奪うために任務へついていたが、殺し屋サビーヌの手によって殺害されてしまう。

敵の手にファイルが奪われてしまったことで、IMFはエージェントであるジェーンベンジーに、モスクワの刑務所にて服役していたイーサンを脱獄させる。

イーサンは、最愛の妻であるジュリアが殺され、その復讐で犯人らを殺害したことにより、刑務所に入れられていた。

「コバルト」と名乗る人物が何者なのかを探るため、イーサンらはロシアのクレムリンへと潜入。順調に任務を進めていたイーサンたちだったが、突如クレムリンが大爆発を起こし、イーサンはそれに巻き込まれてしまう。

やがて病院で目を覚ましたイーサンは、病院から脱走しIMFからの救助を求める。しかしながらロシア政府はクレムリン爆破事件をアメリカの手によるものだと断定したことで、アメリカ政府はIMFを解体する指令「ゴースト・プロトコル」を発令していた。

かくしてアメリカ政府およびIMFの援助を一切借りずに任務を遂行することになってしまったイーサンは、ジェーンとベンジー、そしてIMFの分析官兼諜報員であるブラントとチームを組み任務に臨む。

ベンジーらが得た情報によると、「コバルト」の正体とは過激な思想を持つ核戦争論者ヘンドリクスであり、またハナウェイがサビーヌに奪われたファイルとは核ミサイルの発射コードだったことが判明。

ヘンドリクスとサビーヌの2人が、ドバイの超高層ビルであるブルジュ・ハリファにて取引をするという情報をつかんだ一行は、ヘンドリクスとサビーヌの両方になりすまし偽の取引を行わせようと作戦を開始するが………

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作品概要

シリーズ4作目。『アイアン・ジャイアント』『Mr.インクレディブル』などのアニメ映画で有名なブラッド・バードが監督に就任。実写映画の監督を務めるのは、彼のキャリアではとなる。

今作から、ヴィング・レイムス扮するルーサーに代わり、サイモン・ペッグ演じるベンジー・ダンがハッカー担当として作戦に参加。またMCUのホークアイ役として知られるジェレミー・レナーも、IMF諜報員のブラント役として出演した。

新たなるメンバーがチームに参加、そしてイーサンもまた感情の起伏が少なく初代『M:I』を彷彿とさせるなど、シリーズの再出発的な意味合いが強く感じられる今作。

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そして今作から、『M:I』シリーズの十八番とも言えるトム・クルーズ自身が行うスタントアクションが本格的に過激になり出す。

今作最大の見どころである、ブルジュ・ハリファにてイーサンがビルの外壁を伝って直接登るシーン。一見CGを用いて撮影されたかと思いきや、まさかの本当にトムが外壁を登っているのだ。

初代の宙吊りや『2』の高速バイクアクション、『3』のビルから飛び降りるアクションも全てトムが行っており、どれも全て命に関わるほど危険なのだが、今作のものはやはり規模も危険度も桁違いすぎる。

だがしかし、CGを用いずに実際に危険なスタントを敢行して撮影を行う………そこから生まれる迫力リアリティさは、今も昔も変わらない。

もはや伝説的とも言える、トムによる「アクションの極致」は、やがて『M:I』シリーズ最大の醍醐味として変遷を遂げていったのである。

絡み合う陰謀、画策、そして信念。『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』

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『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』

("Mission: Impossible - Rogue Nation")

あらすじ

IMFのベテランエージェントであるイーサン・ハントは、近頃IMFを騒がせている謎の秘密組織「シンジゲート」の情報を得るべくロンドンを訪れる。

指令を受けるためにテープを流すイーサンだったが、突然イーサンの部屋にガスが充満。IMFのロンドン支部は既にシンジゲートの手に落ちており、イーサンは敵に捕らわれてしまう。

情報を吐かせるべく拷問されイーサンは絶体絶命のピンチに陥るが、突如としてシンジゲートに所属する謎の女に助けられ、敵の拠点から脱出することに成功する。

イルサと名乗る女はイギリスの情報機関「MI6」の諜報員であり、シンジゲート内部の情報を得るべく潜入捜査していた。目的が一致したイーサンとイルサは、イーサンの仲間達を招集し調査に取り掛かろうと試みる。

だがIMFは、またもや存続に危機に陥っていた。IMFの法律を度外視した行動を問題視していたCIA長官アランはIMFを解体するという強行手段に走り、CIAに吸収されてしまう。

さらに謎の組織「シンジゲート」はIMFを存続させるための仮想の組織とし、そんな組織を秘密裏に追っているエージェントであるイーサンを国家の反逆者とし、国際指名手配犯と仕立て上げた。

信じられるのはごく僅かな仲間達と、確かなる情報、そして己の腕のみ。再び、イーサンの前に「突破不可能」な任務が立ちはだかるのだった。

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作品概要

シリーズ4作目。『ユージュアル・サスペクツ』など、ブライアン・シンガー監督作品で脚本を務めたクリストファー・マッカリーが監督に抜擢された。

前作では任務に参加していなかったルーサーが、同じく天才ハッカーであるベンジーと共に登場。今作ではこの二人が、イーサンのサポートに徹する。

そしてレベッカ・ファガーソン演じるイルサ・ファウストがヒロインとして初登場。MI6のエージェントとしてイーサンと共闘する。

他にもジェレミー・レナーが前作に引き続き続投し、また今作の悪役としてショーン・ハリスも出演している。

今作では、イーサンたちが所属する組織であるIMFがまさかの解体。今度こそ、イーサンは一切の後ろ盾なく任務を遂行しなければならない状況に。

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そして前作における「ビルの外壁登り」に続いて、今作でもトムによる超突飛なアクションが満載。その代表例が、ポスターにもある飛行機に実際にしがみつくシーンである。

普通ならCGを用いた合成で撮影していくところを、彼は本当に飛行機にしがみついて撮影を行っている………それも手に命綱「のみ」をつけた状態で。

他にも『2』で行ったようなノーヘルでのバイクの運転や、6分間もの間息を止めての水中撮影など、シリーズが続いていくたびに人間離れしていくトム。

過去に『アウトロー』などでトムとタッグを組んだクリストファー・マッカリー、そして無謀ともいえるトムのスタントアクションが組み合わさり、『M:I』シリーズの作風は遂に統一されたと言えるだろう。

絶対的なる「不可能」へ。『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

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『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

("Mission: Impossible - Fallout")

あらすじ

イーサンたちの活躍により、シンジゲートの指導者であるソロモン・レーンを逮捕してから2年後。

シンジゲートの残党は「アポストロル」という組織を結成させ、かつてレーンが成し遂げようとした混沌に満ちた世界を実現させようと画策していた。

彼らの目的とは、核爆弾を起動させるための3つのプルトニウム。彼らより先にプルトニウムを奪取すべく、イーサン、ベンジー、ルーサーは作戦に乗り出す。

彼らが機密に得た情報とは「ホワイト・ウィドウ」という武器商人が、ジョン・ラークという人物にプルトニウムの一つを売ろうとしていること。

ラークに変装しホワイト・ウィドウからプルトニウムを受け取るべく、イーサンはひねくれているが腕の立つエージェントであるオーガスト・ウォーカーと共にパーティー会場へ潜入する。

イーサンとウォーカーの2人はラークと思しき人物と接触することに成功したものの、そんな2人の元へ訪れたのはMI6イルサ・ファウスト

ラークに殺されそうになっていたイーサンをイルサは助けるが、変装は不可能に。仕方なく、イーサンはラーク本人になりすましてホワイト・ウィドウの元へ訪れる。

ホワイト・ウィドウの目的とは、プルトニウムを渡す代わりにレーンの身柄を引き渡すこと。そのためには警察の護送車を襲撃しレーンを強奪する必要があるが、それは同時に警官たちを犠牲にしなければならないことを意味する。

警官を手にかけることを躊躇ったイーサンは、周囲の人間の全てを騙し、ある突拍子もない作戦に打って出る。

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作品概要

シリーズ6作目。前作で監督を務めたクリストファー・マッカリーが再びメガホンを取っている。

レベッカ・ファガーソン、ショーン・ハリスらが前作から続投し、『マン・オブ・スティール』ヘンリー・カヴィル、今夏公開『ファンタスティック・フォー:ファースト・ステップ』ヴァネッサ・カービーが新たに出演した。

今作はシリーズの中でも随一の高評価を得ており、海外の批評家サイト「Rotten Tomatoes」でも、高評価の割合が98%を超えているなど大絶賛を受けている。

ストーリーとしては前作『ローグ・ネイション』から地続きの話となり、前作の悪役だったソロモン・レーンも再び暗躍する。

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そして特筆すべきはやはり、最早シリーズお馴染みとなっているトムの常識外れなスタントアクションである。

今作では早速冒頭から、上空8000m地点からスカイダイビングするシーンが挿入されている。例の如く、トム自身が実際にスカイダイビングを行っているのだ。

他にもヘリコプターのロープにぶら下がるビルとビルの間を飛び移る………などなど、前作の飛行機にしがみつくシーンに勝るとも劣らない衝撃的な展開が盛り沢山なのである。

また今作、アクションシーンの密度がシリーズ随一の詰め込まれ具合なことでも定評がある。

バイクアクション、カーアクション、銃撃戦に近接格闘。2時間20分の中でぎゅっと詰められたアクションシーンたちは、さながらアクションのバーゲンセール状態である。

加えてミッションの緊張感もまたシリーズ随一のものであり、総じて内容の充実度が非常に高い作品となっている。今作をシリーズ最高傑作と呼ぶ人が多いのも頷けるだろう。

全ての過去、その帰結。『ミッション:インポッシブル/デッド・レコニング』

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『ミッション:インポッシブル/デッド・レコニング』

("Mission: Impossible - Dead Reckoning")

あらすじ

IMFの凄腕エージェントであるイーサン・ハントは、達成不可能とされてきた数々のミッションを達成し、幾度となく多くの命を救ってきた伝説の男だ。

ある日イーサンは、元MI6のエージェントであるイルサ・ファウストから「とある鍵を手に入れて欲しい」という知らせを受ける。

その「鍵」とは、二つの鍵を組み合わせることで一つの鍵となるものであり、その用途は不明。目的を明らかにされないまま、イーサンは砂漠へと向かう。

一方ワシントンDCでは、数々の情報機関のリーダーたちが一堂に会し、世界を新たに脅かしている「脅威」について話し合っていた。

その脅威とは、確固たる自我と圧倒的な思考力を持つ超高性能AI、通称「エンティティ」。あらゆるセーフティを潜り抜け、サイバー空間を自在に行き来することができるのだ。

今はまだ実害をもたらしていないが、いつかエンティティは世界を滅ぼすほどの力を得るだろうと予測するCIA長官のキトリッジ

だがもし大国がエンティティをものにできれば、それは世界を掌握するほどの絶大な力がもたらされることを意味する。従って数々の国が、エンティティを手中に収めようと策略を巡らせていた。

憶測が飛び交う中、イーサンは会議室に変装して潜入。イルサがイーサンに依頼した「鍵」とはエンティティを制御するための鍵であり、イーサンは既に片割れの一つを手に入れていた。

もう一つの片割れの鍵を入手し、エンティティを破壊することを決意するイーサン。だがそれは同時に各国の諜報機関、そしてエンティティからの「刺客」に襲われることを意味していた。

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作品概要

シリーズ7作目。公開時のタイトルに『~PART ONE』と記されていることから、シリーズでは初の二部作構成のタイトルとなった。

クリストファー・マッカリーが引き続き監督と脚本を務め、新キャストとしてヘイリー・アトウェルポム・クレメンティエフが出演。

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これまでのシリーズにおいて、様々な悪役がイーサンたちを苦しめてきた。彼らはそれぞれ多種多様な思想を抱いており、確固たる意志で悪行をなそうと試みてきた。

そして来る今作における悪役とは、なんと「AI」。無限に学習し続け、世界を滅ぼし得る力を持つ強大な存在だ。

崇高なる目的もなければ悪意もなく、ただただ己の欲望の向くままに学習し、世界を混乱に陥れる存在。文字通り史上最大の敵と言っても過言ではないだろう。

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また今作では、初代『M:I』を意識したような要素がいくつか散りばめられている。

短髪スーツという衣装は若かりし頃のイーサンとほぼ同じ格好であり、また列車上での戦いは『M:I』のラストシーンを彷彿とさせる。

そうした所謂「原点回帰」的な要素と、シリーズを追うごとに進化していったストーリーの規模感が組み合わさり、唯一無二の魅力を生み出していると言えるだろう。

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そしていつもの如く、今作でもトムによる常識外れなアクションが繰り広げられる。中でも「崖からバイクごと飛び降りる」というアクションは、宣伝等で何度もPRされた。

その他にも、列車を実際に走らせてそのまま崖から落とすという凄まじい規模感のこともやってのけている。その様はまるで、トムの異常なまでのアクションへの執着度に製作陣も感化されているようだ。

例にもれず、今作もオーディエンスからの評価は高い。二部作の1作目という立ち位置ながら、シリーズ最新作として成功を遂げたと言えるだろう。

≪併せてこちらの記事もどうぞ≫

「不可能」を超えた先。『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』

https://eiga.com/movie/102868/gallery/47/

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』

("Mission: Impossible - The Final Reckoning")

あらすじ

エンティティの使途であるガブリエルとの「鍵」の争奪戦に成功したイーサン。それから2か月後、事態はより深刻な状態となっていた。

更なる知識を学習し、今や世界で最も知能の高いAIシステムへと変貌したエンティティは、アメリカや中国といった核保有国の武器庫管理システムに侵入。

もしエンティティが全世界の核システムを支配してしまったら、全ての核ミサイルが発射され世界は一瞬で焦土と化してしまう。

これを阻止するべく、イーサンはガブリエルがいるとされるパーティー会場へ、新たにIMFへ加入したグレースと共に潜入するが、逆にガブリエルの手によって捕らえられてしまう。

「鍵」の奪取に失敗しエンティティから見放されたものの、逆にその「鍵」を以てしてエンティティを支配しようと目論むガブリエル。

エンティティを制御するためには、かつてイーサンが盗み出した「ラビットフット」という名のコア・モジュールが必要となり、それは深海に沈むロシアの潜水艦セヴァストポリにあるという。

その後ベンジーの助けによりガブリエルのもとから逃げることに成功するが、イーサンはアメリカ政府の元へ投降。現アメリカ大統領のスローンのもとへ、コア・モジュールを回収する許可を得ようと試みる。

エンティティのサイバー侵略は今も尚続いており、残された猶予はおよそ72時間。CIA長官のキトリッジの制止を振り切り、イーサンはセヴァストポリの座標まで向かうことに。

国を、世界を、そして愛する仲間たちを救うため、イーサンは挑む………史上最難関、最も「不可能」とされるミッションへ。

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作品概要

シリーズ8作目。前作『~デッド・レコニング』から地続きのストーリーが描かれる。監督と脚本はクリストファー・マッカリー。

基本的にキャスト陣は前作から変わらないが、6作目でCIA長官として登場したスローンがアメリカ大統領になっていたり、前作におけるキトリッジと同様に1作目の「ある登場人物」がカムバックしていたりと、変化が見て取れる。

タイトルにもあるように、今作は30年もの歳月をかけて描かれてきた『M:I』シリーズを締めくくるような作品となる。

超高性能AIであるエンティティが更に進化を遂げ、遂に世界を脅かす存在に。今までは国家の存亡をかけた物語が中心だったが、今作のミッションは訳が違う。

もし間に合わなければ世界各国から核ミサイルが発射され、世界は文字通り「滅亡」する。それを阻止するべく、イーサンたちは史上最大のミッションに挑む。

故に今作における緊張度の度合いはシリーズ随一と言っても過言ではない。約3時間もの上映時間の間、手に汗握る展開が連続するという凄まじい構成だ。

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そしてシリーズ恒例のトムによるトンデモスタントアクションも当然ながら健在。前作では崖からバイクごと生身で飛び降りる、という偉業と呼ぶに等しいことをやってのけた。

その時点で既にとんでもないことを成し遂げているのに、今作ではそれを優に超える………旋回しながら飛行する飛行機に飛び移り、そのまましがみつくというシーンが存在する。

シリーズ最大級のハラハラする展開に度肝を抜きつつ、とうとうこのシリーズもここまで来たのか………とある種の感慨深さを感じられる今作。

仮にこの任務を終えたとしても、イーサンたちは今も尚どこかで「不可能」を乗り越え国を、そして世界を救っているに違いない。

今後のシリーズ展開

シリーズの集大成として描かれた『~ファイナル・レコニング』が今年公開され、その後の続編に関する情報は現時点では公開されていない。

https://eiga.com/movie/97229/gallery/2/

これについて、イーサン・ハント役のトム・クルーズはこう発言している………「80歳までアクション俳優をやっていたい」と。

これが彼の単なるジョークであると思えないのは、やはりトムが今まで成し遂げてきた「偉業」に基づいているのは確かだ。

彼が再び驚天動地のアクションを繰り広げている姿を、スクリーンにて我々の目に焼き付けることができる日を心待ちにするとしよう。

まとめ(あとがき)

どうも水綿です。暑くなってまいりましたね。今日バイト先までチャリを漕いでいた時にセミの鳴き声を耳にしたり、はたまたエレベーターにバカでかい虫がいたりと、何かと夏を感じる瞬間が増えてきたような気がします。

あれやこれやとしているうちに上半期が終了。2025年も遂に半分を切ってしまったと………早い、早すぎる。

早く上半期の映画ランキングについて取り上げねばと焦りを覚える一方、最近色々とゴタゴタが片付いてきてゆっくりしたいという気持ちも………いやぁでも書かなくちゃな。怠けすぎるのは良くないのでね。

最近はSteamでモンハンワールドをよく遊んでいます。あまりここでは書かないけど、映画と同じぐらいゲームも大好きなもので。

そうなると比重って大事ですよね。偏りすぎても圧倒的によくないし。そのバランスが崩れた結果が1か月以上も記事を投稿していないという大惨事が起きるわけですけれども………

そんなわけで色々と精進せねばなぁと痛感する日々でございます。皆様もほどほどに頑張ってくださいね。

と、いうわけで今回はこの辺で。

https://eiga.com/movie/87377/gallery/4/

それではまた、次の映画にて。

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