シリーズ解説

【シリーズ解説】「殺戮」が、始まる。『エイリアン』シリーズを一挙解説!!

『エイリアン』シリーズとは

宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない。- In space, no one can hear you scream.

見るもの全てを殺戮し尽くす、恐怖の生命体「エイリアン」をテーマとしたSF映画シリーズ。

1979年に第1作が『グラディエーター』『オデッセイ』リドリー・スコット監督の元制作され、その後次々と続編が公開。SFホラーの金字塔的作品として後世に名を残すこととなった。

また2004年には、同じく20世紀FOX配給作品である『プレデター』シリーズとのクロスオーバー作品として『エイリアン VS. プレデター』が公開。2007年には続編も公開されている。

さて、歴代シリーズを語っていく前に、まずは簡単にエイリアンの生態について解説するとしよう。

そもそもエイリアンは、成体の姿になる前に複数の段階(幼体)が存在する。エイリアン・エッグ、フェイスハガー、チェストバスター、そして成体のゼノモーフである。

劇中に登場するほぼ全てのエイリアンには生みの親であるクイーン・エイリアンが存在し、そのクイーンがまず卵(エイリアン・エッグ)を産み落とす。

やがて卵が孵化し、サソリのような姿をしたフェイスハガーが誕生する。フェイスハガーは生物を見つけるや否やその生物の顔にしがみつき、生物の体内に自身のDNAを強制的に植え付ける。

フェイスハガーは時間が経てば勝手に顔から離れ絶命するものの、その直後に宿主である生物の胸部を突き破り、チェストバスターが出現する。尚、この時点で宿主となった生物は既に絶命している。

こうして生まれたチェストバスターが急速に成長し、ようやく成体であるゼノモーフへと進化するのだ。

フェイスハガーに捕まったら最後、チェストバスターの宿主として死を遂げることは避けられなく、加えて成体のゼノモーフは異常なまでに攻撃性が高く、見つかった瞬間に襲われが確定する。

また成体であるゼノモーフには、他の生物とは一線を画す様々な生態を持ち合わせている。口内に備えられたもう一つの口「インナーマウス」、そして超強酸性の血液だ。

細身なフォルムにそぐわない怪力や刃物のように鋭利な尻尾など、様々な外敵への対抗手段を持ち合わせているゼノモーフだが、この二つに関しては劇中でも度々使われている。

インナーマウスは金属製であり、凄まじい勢いで口から発射されるため、人間の身体であれば一瞬で貫通してしまう。頭部にそれを食らおうものなら無論、即死だ。

加えて血液は金属をも一瞬で溶かしてしまうほど強酸性であり、迂闊に近接攻撃を仕掛けようものなら逆にこちらが痛手を喰らってしまう。

………とこのように、まさに「絶望」という二文字がそのまま生き物になったかのような、世にも恐ろしい生態を持つエイリアン。

どの作品においても、数々の登場人物がこのエイリアンに殺されており、その様はどれも悲惨極まりないものだ。

絶えず響き渡る慟哭と絶叫、だがその声を聞くものは最早、誰もいない。

誰も、帰れない。『エイリアン』

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『エイリアン』

("Alien")

あらすじ

2112年、多数の貨物を搭載し地球への帰途を辿っていたノストロモ号は、ある惑星から放たれた知的生命体による信号を受信。

若干の胸騒ぎを覚えつつも、会社の方針によりその惑星の調査に乗り出すクルーたち。そこで目にしたのは、惑星に不時着したかと思われる超巨大な宇宙船だった。

船内を探索するうち、クルーたちは謎の生物ののようなものが乱立したエリアに辿り着く。

不穏な空気が立ち込める中、引き続き探索を続行していくクルーたちだったが、突如として卵が孵化し中からサソリのような生物が出現、クルーの顔に飛びつき離れなくなってしまう。

その後何とかノストロモ号に連れ戻すことができたものの、謎の生物の正体は依然として不明のまま。

しばらく時間が経ってから意識を取り戻したクルーだったが、容態が急激に悪化。悶え苦しむクルーの胸から飛び出したのは鮮血と、真っ白い謎の生物だった。

謎の生物は船内のどこかへと逃走し、短時間の間で急速に成長、船内のクルーたちのを次々と奪っていくように。

宇宙船という閉鎖空間に放たれた生命体、その名も「エイリアン」。未だかつてない恐怖が、幕を開ける。

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作品概要

シリーズ1作目、絶望の物語の幕開けである。

後にハリウッドのレジェンドとして語られることとなるリドリー・スコットが監督を、シガニー・ウィーバーが主演を担当、どちらも今作でデビューを飾った。

公開された当時は1979年、まだまだCG等の映像技術もそこまで発達しておらず、今作『エイリアン』もどちらかというと「古典的作品」に位置する。

しかしだからと言って「何だ全然怖くないじゃん!!」と高を括っていると痛い目に遭う。SFホラー映画として、演出もストーリーもしっかりと恐怖感たっぷりに仕上がっているのだ。

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………しかしながら、SFホラーの代表的作品として名を馳せる『エイリアン』シリーズだが、正真正銘のSFホラーとして出来上がっているのは今作のみ………と言えるかもしれない。

後述する続編ではアクション映画に様変わりしていたり、ホラー通り越してモンスターパニック映画になっていたり、ホラーに原点回帰したかと思いきや何か違かったりと、良くも悪くも様々なパターンが存在する。

エイリアンという魅力的なキャラクターを取り扱う以上、様々なジャンルがあっても何らおかしい話ではないが、今一度ガチガチなSFホラー映画としての『エイリアン』を観てみたい、という気持ちもある。

恐怖に、立ち向かえ。『エイリアン2』

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『エイリアン2』

("Aliens")

あらすじ

エイリアンの出現により地獄絵図と化したノストロモ号からただ1人、間一髪で生還したエレン・リプリー

コールドスリープを行い宇宙を漂っていた彼女だったが、地球衛星上の宇宙ステーションで保護されることに。

こうして奇跡の生還を果たしたリプリーだったが、仲間を皆殺しにしたエイリアンは彼女に強烈なトラウマを植え付けていた。

毎晩毎晩エイリアンの幼体チェストバスターが胸から飛び出る夢を見る上、ノストロモ号での惨劇が証拠不足により認可されず、結果精神異常と診断されてしまうリプリー。

深い絶望に囚われる中、かつてリプリーたちが信号を受け取り降り立った惑星LV-426にて、多数の居住者が行方不明になる事件が発生する。

リプリーが眠っている間に植民地として開発されていたLV-426。真相を解明するべく、海兵隊を中心とした部隊が編成されることに。

紛れもなくあのエイリアンの仕業だと踏んだリプリーは、自身のトラウマを克服するべく部隊に加わることに。

静寂に満ちたLV-426に降り立ち、調査を開始する一同。そこで彼らが目にしたのは、夥しい数で迫り来るエイリアンたちだった………

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作品概要

シリーズ2作目。タイトル(英題)にもある通り、前作では単体での出現だったエイリアンが今度は増殖。またとして、人類に耐え難きトラウマを植え付けに来た。

前作にて監督を務めたリドリー・スコットに代わり、今作ではあのジェームズ・キャメロンがメガホンを取ることに。結果として『ターミネーター』に続いて大ヒットを記録することとなった。

古典的SFホラー、ひいてはSFホラーの金字塔として語り継がれることとなった『エイリアン』、その続編ともすれば作風はまたしてもおどろおどろしいホラーか………

と思いきや、大量のエイリアンたちにリプリーらが武器を手に立ち向かう、まさかのアクション映画へと生まれ変わっていた。

一作目ではホラー映画だったものを、続編でアクション映画にしてしまうとは如何程か………と思うや否や、シリーズ最高の興行収入を記録。アカデミーも2部門受賞するなど大成功を収めた。

一人一人を嬲り殺していくホラー映画としても、有象無象の大群として人間と相対するアクション映画としても、どちらも優れている『エイリアン』シリーズ。

仮にリドリー・スコットが1作目にて前者を証明したのであれば、ジェームズ・キャメロンは2作目にて後者を証明してみせたと言えるだろう。

これといい『ターミネーター』といい『ランボー』といい、キャメロンは続編を成功に導くのが相当上手いと見える。

這い寄る、絶望。『エイリアン3』

https://eiga.com/movie/5690/photo/

『エイリアン3』

("Alien 3")

あらすじ

LV-426にてエイリアンの大群との死闘を終え、地球への帰途を辿っていたリプリーたち。

だがその途中、またしても悲劇が起こる。リプリーが己の手で葬ったクイーン・エイリアンのが、リプリーたちの乗る宇宙船にひっそりと産み落とされていたのだ。

コールドスリープ中のリプリーたちはその異変に気づく訳もなく、卵が生まれフェイスハガーが誕生。ポッドは破壊され、宇宙船は惑星フィオリーナ161へと不時着した。

宇宙船が大破したことにより、クルーたちの大半が死亡。またしてもリプリーだけが生き残る結果となった。

深い悲しみに暮れるリプリーだったが、惑星の人々はそんなリプリーを訝しげな視線で見つめる。彼女の不時着した惑星とは、銀河中の犯罪者たちが集まる流刑の惑星だったのだ。

そんな環境の中、案の定エイリアンが出現。に寄生したことで、4本の足と鋭い嗅覚を携え、次々と犯罪者たちを殺し始めるエイリアン。

またしても始まった、閉鎖空間でのエイリアンの「殺戮」。三度の対峙を迎えることとなった、リプリーの下した決断とは………

https://eiga.com/movie/5690/

作品概要

シリーズ3作目。孤独に戦い続けたリプリーも、遂に仲間たちと地球へ帰還できる………かと思われたが、まだまだこの絶望の物語は終わらない模様。

監督は後に『セブン』『ファイト・クラブ』などの名作を手がけるデヴィッド・フィンチャー。主演をシガニー・ウィーバーが続投した。

リプリー含む登場人物全員が坊主頭、という『エイリアン』シリーズ以外の観点から見ても中々に異質なビジュアルを持つ今作。

作風も、前作のようなド派手なアクションムービーから、閉鎖的空間でエイリアンに襲われるSFホラーへと原点回帰

それも1作目のように背後から忍び寄られて殺されるのではなく、四足歩行で高速移動するエイリアンに追い回されるのだから余計に怖い。

しかし先述したように、シリーズで見ると中々に興行的失敗を遂げている今作。制作費もシリーズ最高額が投じられたが、こんな結果となってしまったのは何故なのか。

その答えとはやはり『エイリアン2』での出来事が全て帳消しになってしまったからだろう。リプリーたちが命をかけて繰り広げた死闘も、今作で全てが水の泡となってしまった。

リプリーのエイリアンという名の「恐怖」への克服、といったテーマも前作で達成されたはずなのに、今作でまたエイリアンに慄くこととなってしまってはただの二番煎じとなってしまう。

あの日、ノストロモ号があの惑星に降り立ってしまった以上、リプリーの運命は最早どう足掻いても避けられないものとなってしまったのだろうか。

生まれ、堕ちる。『エイリアン4』

https://eiga.com/movie/42742/photo/

『エイリアン4』

("Alien: Resurrection")

あらすじ

惑星フューリーでの惨劇から200年後、エイリアンと共に溶鉱炉に飛び込み最期を遂げたリプリーは、彼女の血液から再生されたクローン「リプリー8号」として復活を遂げる。

エイリアンを本格的に軍事利用しようと企んだ軍は、実験船「オーリガ」にてエイリアンの繁殖を試みることに。

全てのエイリアンの母体であるクイーン・エイリアンを生み出すため、リプリーは実験体として再生されたのだった。

しかしながら、驕り高ぶる人類を見下すかのように、またしても惨劇は引き起こされてしまう。繁殖させたエイリアンが仲間を殺し、その酸性の血液で施設に穴を開けることで逃亡してしまったのだ。

研究者や軍人たちを次々と殺し、一瞬で血の海と化してしまったオーリガ。そしてそれに加え、船内に捕縛されていた、子宮を体内に宿したクイーン・エイリアンが、今までにない新たなるエイリアンを産み落とす。

それは人類とエイリアンのハーフ、通称「ニューボーン」。新たなる進化の鼓動に、オーリガは更なる混沌へと巻き込まれてゆく。

自分は果たしてなのか、或いはエイリアンと同じ化け物なのか。この世に生まれ落ちたばかりのリプリー8号は、己の存在意義を求め混沌の渦中へと飛び込む。

作品概要

シリーズ4作目。リプリー、そしてエイリアンの復活、ありとあらゆる意味を込めて英題である"Resurrection"の名がついた。

監督を務めたのは、後に『アメリ』で名を残すジャン・ピエール=ジュネ。およそ20年にわたって主演を務めてきたシガニー・ウィーバーも、今作で『エイリアン』シリーズ出演が最後となる。

ホラー、アクション、再びホラー、と何かと忙しないジャンルの変遷を遂げてきた『エイリアン』シリーズ、今度はモンスターパニック映画として登場。

壁をよじ登り、ダクトを通り、あの手この手で人間らをジェノサイドしまくるエイリアンたち。ホラーとはまた違うが、劇中通してハラハラ感を味わうことが可能。

加えて今作はゴア描写が多いのも特徴的。エイリアンが登場人物を殺める際、今までは直接的な描写が無かったものの、今作はその真逆でかなり目立っている。

と、総じて「包み隠さず」な印象が強い今作。(あくまでも番外編だが)次回作である『エイリアン VS. プレデター』含め、この頃のエイリアンはモンスターとしてのイメージが強かったのかもしれない。

さて、この『エイリアン4』を以てして『エイリアン』シリーズはひとまず幕を下ろすことに。長らくエレン・リプリー役を演じてきたシガニー・ウィーバーも、これにて晴れて卒業だ。

しかしこれだけシリーズを追ってきて、どう考えてもやはり不可解な点が一つある。そもそも、あの「エイリアン」という生き物は何なのだろうか?

圧倒的な攻撃性、身の毛がよだつ生態、それでも尚感じられる「完全なる生命体」としての一種の美しさ。彼らの「起源」とは、果たしてどこから始まったのだろうか。

謎が謎を呼ぶ「エイリアン」の正体、その果てなき問いにアンサーを出したのは、この物語の「始まり」を築き上げた「あの人」だった………。

進化の、起源。『プロメテウス』

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『プロメテウス』

("Prometheus")

あらすじ

人類とは如何にして生まれたのか。仮に人類が誰かの被造物であるとして、その「創造主」とは何者なのか。

2089年、その永遠の謎を解き明かすべく、考古学者エリザベス・ショウをはじめとする調査隊は、宇宙探索船プロメテウス号に乗り込み、LV-223という惑星へ舵を切る。

長きに渡るコールドスリープを経て、遂にLV-223へと辿り着いた一同。着陸地点の眼前に広がっていたのは、一つの巨大な岩山だった。

中へ足を踏み入れるとそこには、人間の顔を模した巨大な彫刻と、謎の筒状の物体が点在していた。

この岩山が人工物であると即座に理解した一同は、そんな謎の遺跡の更に奥へ足を踏み入れようとする。

しかしながら、調査の途中で謎のが発生。調査隊は急いで宇宙船へ帰還するも、数人が遺跡の中に取り残されてしまう。

じっとしていても埒が空かないと探索を続行する2人。やがて彼らは、とても信じ難い、世にも悍ましいものを目にすることとなる………

人類の起源に秘められし「神秘」と、隠された「秘密」。それは決して深掘りしてはならない、禁忌の始まりだった………

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作品概要

シリーズ5作目。1998年『エイリアン4』以来、実に14年ぶりの『エイリアン』シリーズとなる。

シリーズの創始者であるリドリー・スコットが、満を持してシリーズの監督に復帰。約30年ぶりに「巨匠」の手によって、『エイリアン』の世界観が描かれることに。

ノオミ・ラパスマイケル・ファスベンダーイドリス・エルバなどが出演。シガニー・ウィーバー以外が主人公を務めるのは、何気にシリーズで今作が初めて

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さて今作、『エイリアン』シリーズの一つではあるものの、ご覧の通りタイトルに『エイリアン』の文字はない。

その理由とは、今作が『エイリアン』の前日譚的作品であることに由来する。時系列としては『エイリアン』から約30年前の出来事となる。

そう、つまり「人類の誕生」には、同時に「エイリアンの誕生」と関係していたという衝撃的事実が、今作で明らかとなるのだ。

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またシリーズでは珍しく、SFホラーではなくシンプルなSF映画としてのジャンルを取っている。ただのSF映画なら、ホラーが苦手な人でも楽しめるんじゃないか………

と油断させておいて、しっかりとエグ味のあるシーンをぶち込んでくるのが『エイリアン』シリーズ。思わず顔を顰めてしまうようなパートも当然ながら存在する。

20年にわたって続いてきた、エイリアンの恐怖の物語。ではその恐怖の根源とは?人を超えるほどの完全生命体へと成り得た、その秘密とは何なのか。

今こそ明かされる「恐怖の誕生」にまつわる神話。秘密に隠されし「絶望」の産声が、宇宙に響き渡る………

絶望が、産まれる。『エイリアン:コヴェナント』

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『エイリアン:コヴェナント』

("Alien: Covenant")

あらすじ

時は2104年。数十名のクルーたちと数千人の人間の胎芽を載せたコヴェナント号は、移住予定の惑星「オリガエ6」へ航行中だった。

しかし突如として謎の衝撃波がコヴェナント号を襲撃、船内は火災に見舞われ、船長はコールドスリープのカプセル内で死亡してしまう。

悲嘆に暮れながらも、航行を続行すべく復旧作業に取り掛かるクルーたち。そんな最中、未知の惑星から謎の信号を受信する。

信号の発信源である惑星を調べてみたところ、目的地のオリガエ6よりも遥かに近く、それでいて人間の居住にも適した環境を有していた。

数名の反対を押し切り、惑星への調査へ向かう一同。そこで目にしたのは巨大な朽ちた宇宙船と、11年前に行方不明となったプロメテウス号の船員、エリザベス・ショウのドッグタグだった。

この星には知られざる秘密があるに違いないと、引き続き探索を続行する一同。しかしその途中、隊員の数名が体調不良を訴えだす。

未知なる感染症に罹患したのではないかと疑い始める一同をよそに、隊員の背中を突き破り謎の生物………「ネオモーフ」が出現する。

続いて他の隊員からも出現し、混乱に陥るクルーたち。だがそこへ、かつてエリザベスと共にプロメテウス号に搭乗していたアンドロイドデヴィッドが助けに入る。

この惑星とは何なのか、人に寄生することで誕生するあの異生物の正体とは何なのか、そしてエリザベスとデヴィッドはこの惑星で何をしていたのか。

後に続く「絶望の物語」、その真の序章が今、幕をあける。

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作品概要

シリーズ6作目。1999年公開『エイリアン4』以来の、「エイリアン」というタイトルがついた作品となる。

前作『プロメテウス』に引き続き、シリーズの創始者であるリドリー・スコットが監督を務める。キャストとしてはマイケル・ファスベンダーが続投した。

実に30年近くもの時を経て、再び始まるエイリアンによる恐怖と絶望の物語。

前作『プロメテウス』と同じ前日譚とはいえどその絶望感は凄まじく、エイリアンに蹂躙されていくクルーたちの姿は実に恐ろしく、哀れ。

ストーリーの形式は大きく異なるものの、まさしくリドリー・スコットがかつて手がけた初代『エイリアン』、その再来である。やはり『エイリアン』はこうでなくては。

加えてCG技術の発達により、今までは特撮を用いて表現されていたエイリアンが、超美麗な姿を提げてスクリーンに降臨。

よりリアルな造形・質感を以てして、クルーたちを虐殺していく姿は文字通り「恐怖」そのもの、そして我らの求めるエイリアンの姿がそこにあった。

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「宇宙船に侵入したエイリアンが、次々とクルーを殺していく」。SFホラーの殿堂入りとまで称された初代『エイリアン』だが、その大まかなストーリーは非常にシンプル

こうした『エイリアン』のごくシンプルなコンセプトは『エイリアン4』まで引き継がれ、やがて2004年にはクロスオーバー作品として、同じく20世紀FOX出身であるプレデターと対決。

他にも格闘ゲームにDLCキャラクターとして参戦するなど、この「エイリアン」というキャラクターはハリウッドを代表するクリーチャーとして語り継がれることとなった。

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だがそんな定石を見事にぶっ壊したのが『プロメテウス』、及び今作『エイリアン:コヴェナント』と言っても過言ではない。

リドリー・スコットは『エイリアン』を、ただのSFパニックホラーではなく「神話」として再構築したのだ。

人間を超えた「完全なる生命体」であるエイリアン、その誕生。捉えようによっては、その姿は最早生命という枠組みを超えた、にすら近しい存在だ。

そんなキャラクターを、ただのSFホラーの舞台装置、及びキャラクターとして消化するのは勿体無いと、おそらくリドリーは考えたのだろう。

恐怖の、再臨。『エイリアン:ロムルス』

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『エイリアン:ロムルス』

("Alien: Romulus")

あらすじ

人類の植民地の一つであるジャクソン星。劣悪な環境の中、人々はユタニ社の管轄の元日々過酷な労働に勤しんでいた。

そんなジャクソン星の鉱山で働くレインは、亡き父から授かったアンドロイドアンディと共に暮らしていた。

人々は疾患により次々と倒れ続け、異動の申請を出すも却下され、先の見えぬ日々を送る2人は、仲間たちとの「ある計画」に乗ることに。

それはジャクソン星の衛星軌道上にある、廃棄された宇宙船にあるコールドスリープ用のポッドを盗み出し、より良い環境の星に移住するという計画だった。

このままいても犬死にするだけだと、微かなる希望を胸にジャクソン星を飛び出す一同。やがて発信源に辿り着くが、そこにあったのは廃棄された宇宙船ではなく、巨大な実験施設だった。

謎の研究施設………通称「ロムルス」に忍び込み、早速ポッドを見つけ出す一同。だがその惑星に辿り着くまでのエネルギーが足りず、一同はロムルスの更にへと忍び込みエネルギー源を探すことに。

より良い未来を夢見て、ありもしない希望を抱く若者たち。その先に、どうしようもなく深い「絶望」が待っているとも知らずに。

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作品概要

シリーズ7作目。前作『エイリアン:コヴェナント』から、実に7年ぶりの新作となる。

前作までメガホンを取っていたリドリー・スコットは製作に回り、監督をあの『ドント・ブリーズ』を手がけたフェデ・アルバレスが担当した。

「閉ざされた宇宙船で、未知の生命体が襲いかかる」………こうした大まかなストーリーラインは、初代『エイリアン』以降そのまま映像化されることは無くなった。

とはいえ一応『エイリアン3』や『エイリアン:コヴェナント』も「SFホラー」というジャンルへの原点回帰を果たしている………が、初代のものとどこか違うのは否定できない。

https://eiga.com/movie/101684/gallery/2/

そして今作『エイリアン:ロムルス』、ここに来て初代『エイリアン』から、約45年ぶりとなる「真の」原点回帰を果たすこととなる。

閉鎖的な宇宙船、エイリアン、そして次々と殺されていくクルーたち。プロットのみならず、所々に初代『エイリアン』のオマージュが見られる辺り、監督のシリーズへの猛烈な愛が見て取れる。

しかしこれだけで終わらないのが今作の恐ろしいところ。なんと『エイリアン2』のようなSFアクション的要素も盛り込んでいるのだ。

また他にも、『エイリアン3』のようなエイリアンから逃げ惑うクルーの姿、『エイリアン4』のように人々を容赦なく惨殺していくストーリー、

挙げ句の果てには『プロメテウス』や『エイリアン:コヴェナント』のような神々しいエイリアンの姿など、過去作の美味しい部分を上手く抽出してみせているのだ。

結果として生まれたこの『エイリアン:ロムルス』、全世界で公開されるや否や興行的にも批評的にも成功し、中には『エイリアン』シリーズ最高傑作と称する人も。

これぞまさしく、長年ファンが求めていた『エイリアン』そのもの。極上の「恐怖」と「絶望」を、是非とも劇場で体感して頂きたい。

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今後のシリーズ展開

最新作である『エイリアン:ロムルス』が公開されて以降、現時点では続編が制作されるという話は特に挙がっていない………が、何人かは続編に関する構想を練っている模様。

リドリー・スコットは『エイリアン:コヴェナント』に引き続き、『エイリアン』の前日譚としてあと2作品、構想を残している模様。

また『〜ロムルス』を監督したフェデ・アルバレスは『エイリアン VS. プレデター』の続編をやってみたいとも発言している。

もし計画が実現したら、『プレデター:ザ・プレイ』の監督、ダン・トラクテンバーグとタッグを組みたいとのこと。もし実現したら是非とも観てみたい作品だ。

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まとめ(あとがき)

最新作公開のついでに書いてみました『エイリアン』シリーズ解説。如何でしたでしょうか。

まずもうね、エイリアンの造形から大好きなんですよワタクシ。スラっとしたフォルムに肥大化した頭部、その他細部に至るまでめちゃくちゃ好きで。もうフィギュア欲しいぐらい。

もし現実にエイリアンがいるんなら殺されても良いぐらい………とは流石に言えないけれど、一生眺めてられるような気がする。

さて本記事を書くにあたって、シリーズの各作品もDisney+で予習して参りました。昔だったらTSUTAYAでレンタルしないとできないようなことですよ。すごい時代になったもんです。

しかし最新作『〜ロムルス』だけはしっかりと映画館で観て参りました。IMAXで観てみようかなぁ………とも一瞬迷いましたが、情けないことに怖気付いてしまいましてね。

感想をごく簡潔に言うともう最高です。エイリアン大好きおじさんからすれば本当に贅沢、まさにミックスグリルのようなご馳走でした。

Filmarksのレビューでも勢い余って星5つけちゃったよ。ひょっとしてもしなくても、人生オールタイムベストランクインかもしれない。

そんなわけで、『エイリアン』がどんな作品なのか気になってる方、或いは私みたくエイリアンを崇拝している方、心の底から『〜ロムルス』を映画館で観ることを推奨いたします。絶対後悔しないから!!

と、いうわけで今回はこの辺で。

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それではまた、次の映画にて。

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