「最強の王」は、どっちだ。『ゴジラvsコング』
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『ゴジラvsコング』
("Godzilla vs. Kong")
あらすじ
キングギドラを倒し、遂に地球の真の支配者、怪獣王へと返り咲いたゴジラ。
しかしながら、そんなゴジラにも不倶戴天の宿敵と呼ぶべき存在が地球上にいた。髑髏島の支配者、コングである。
太古の時代から何度も衝突を繰り返してきた両者。その様子は度々古代遺跡の壁画等に記されており、ゴジラもコングもかなりの力をつけてきた今、再び衝突するのは時間の問題だった。
一方その頃、世界有数のサイバーテクノロジー企業であるエイペックス社は、対ゴジラ用兵器を製造するためのエネルギー源を欲していた。
研究の末、そのエネルギーは地球の遥か奥深く、地下空洞の世界に眠っていることが判明した。
地上に出現したタイタンのほとんどが育ってきたという超巨大な空間。髑髏島に住まうコングの祖先もまた、かつては地下空洞にて暮らしていたという。
そんなコングの帰巣本能を利用して地下空洞へ潜入しようと試みる一同は、コングを眠らせ髑髏島から空洞の入り口である南極へ移送しようと試みる。
だがその瞬間、コングが髑髏島を離れたことを察知したゴジラが輸送隊に向かってきていることが判明。
遂に邂逅する「王」と「王」。今、地球の覇者の座を賭けた、壮絶なる「大喧嘩」が始まろうとしていた。
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見所解説
アメリカと日本、怪獣映画そのものを代表する二大怪獣が、遂に激突。
監督には、『サプライズ』などを手がけた新鋭のアダム・ウィンガードが就任した。先述したドハティほどではないが、彼も中々の邦画オタクであるという。
キャストにはアレクサンダー・スカルスカルドやブライアン・タイリー・ヘンリー、レベッカ・ホールらが新たに登場。
カイル・チャンドラーやミリー・ボビー・ブラウンなど、一部のキャストは続投。前作の主人公であるマディソンも成長した姿で登場している。
渡辺謙扮する芹沢博士の息子役として、日本人俳優である小栗旬が出演。まさかのハリウッドデビューを果たすことに。
特撮に詳しい方なら存じているかもしれないが、実はゴジラとコングは過去に一度戦っている。1962年に日本で公開された『キングコング対ゴジラ』だ。
しかしながら、当時の対決は決着がつかず引き分けという結果に。故に「次に彼らが戦う時は、必ず勝敗を明確にする」と宣言された。
厳密にはリブートではないものの、過去作と同じタイトルを持っていることからいくつかオマージュも盛り込まれている。
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前作『〜キング・オブ・モンスターズ』(以下『KoM』)を怪獣たちによる一種の「神話」と称するのならば、
今作は地球そのものを巻き込んだ、豪快すぎる「喧嘩物語」といったところか。
両者が戦闘するシーンでは、戦艦の上で戦ったりその過程で船を何隻かぶっ壊したり、シリーズ恒例の怪獣プロレスによって建物がぶっ壊されまくったりと絵面がとにかく派手になっている。
『KoM』では地球を守るために仕方ないと言えるが、今作に関しては完全に喧嘩の二次被害。そろそろ人類が可哀想になってくる領域に踏み込んできたような気も。
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だがそれに加えて、コングが広大な地下空洞の世界を冒険するアドベンチャー物としての側面も併せ持っているのも特徴的。
自分の本当の故郷へ帰郷したコングが、自身の境遇について知っていく………地下空洞にて新たに登場するモンスターたちもまた魅力的だ。
正直、コングを主人公にしました感が強すぎてゴジラの影が若干薄れ気味のような気もするが………まぁこれもまた良しとしよう。
また今作には『ゴジラ』シリーズを語る上で欠かせない、あの敵怪獣(?)が登場している。もう既に知れ渡っているとは思うが気になる方は今すぐアマプラへGOだ。
………と、前作と同様内容がてんこ盛りな今作。いよいよお祭り要素が強まってきたモンスターバース、その波に乗り遅れることなかれ。
大乱闘スマッシュモンスターズ。『ゴジラ×コング 新たなる帝国』
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『ゴジラ×コング 新たなる帝国』
("Godzilla × Kong: The New Empire")
あらすじ
コングとゴジラの激闘から数年が経過。コングは故郷である地下空洞にて悠々自適に暮らし、ゴジラは地上で「怪獣王」として他のタイタンたちを治めていた。
2人の「王」により、これでしばらくは地球も無事だと思われていた矢先、地下空洞の奥深くにて謎の電波信号が送られてくる。
分析の結果、これは一種のSOSのサインだと判明。真相を確かめるべく、アイリーン、ジア、バーニー一行は地下空洞へ向かうことに。
その一方で、コングは地下空洞の未踏の地を彷徨っていると、遂に念願の同族に出会う………が、喜びも束の間、その同族たちから襲撃に遭ってしまう。
だがコングは、その圧倒的な力を以てして撃退。やがて、群れから逃げ遅れた他の同族と比べ小柄な「スーコ」を発見する。
長年追い求め続けた同族たちは、一体何処へいるのか………真実を解き明かすべく、コングはスーコを案内役に地下空洞の更に奥地へ向かうことになる。
地下空洞深部、そこへ待ち受けていたのは多くの同族………そしてそんな彼らを恐怖で以てして従える「スカーキング」が待ち受けていた。
かつて地上を征服しようと侵略を開始し、ゴジラと死闘を繰り広げた後敗れ去ったスカーキング。その野心は今も尚冷めることはなく、虎視眈々とその機会を狙っていた。
そして時を同じくして、スカーキングの再来を感知したゴジラが覚醒。原子力発電所や他のタイタンのエネルギーを吸収し、更なる力を蓄えた姿「ゴジラ・エヴォルブ」へと進化する。
再び地球にて繰り広げられる、真の覇者を決める究極の戦い。帝国を築き上げ、支配するのは、誰だ。
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見所解説
「王」の名を冠する大怪獣、ゴジラとコングがハリウッドにて再び共演。
前作では(最終決戦を除き)ゴジラとコングの衝突のみに留まっていたが、今作では多種多様なタイタンたちが登場。
コングの弟分であるスーコ、地下空洞にて独裁的な帝国を築くスカーキングをはじめ、
地球を氷河期にしてしまう程の強大な極低温のエネルギーを持つタイタン・シーモ、そして『KoM』にて命を落としたはずの「怪獣の女王」モスラが再登場するなど、
さながら一昔前の東宝版『ゴジラ』の『VSシリーズ』のようなわちゃわちゃ感を楽しむことができる。
舞台が地下空洞メインということで、そこに住まう様々なモンスターたちを拝むことができるのもまた特徴的。
ブライアン・タイリー・ヘンリーやレベッカ・ホール、そして監督のアダム・ヴィンガードなどは前作同様続投している。
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従来のシリーズとは比べ物にならないほど、タイタン含む大量のモンスターたちが登場している今作。その様はまるで「主人公は俺たちだ!!」と豪語しているかのよう。
極め付けには、モンスター同士が会話し始める始末。流石にセリフを喋ることはないが、表情・仕草などでコミュニケーションをとる描写がなされている。
一切言語を発さず、ただ鳴き声を発しているだけなのに、何を喋っているのか全て分かってしまう………このある種のコミカルさもまた印象的だ。
前作では、自身の放射熱線がコングに当たった際にゴジラが浮かべた笑顔にも似た表情が話題となっていたが、今作ではより顕著なものとなっている。
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そして当然、怪獣同士のバトルも迫力満点。前作同様、巨体の割に中々スピーディなタイタンたちの戦いっぷりを拝むことができる。
特筆すべきは市街地での戦い。従来のシリーズでも度々繰り広げられてきたが、建物を派手に壊しながら戦う様は言わずもがな痛快だ。
興行収入としても、前作を大きく超えて大ヒットを記録。『モンスターバース』シリーズ最高の数字を叩き出すに至った。
更に公開当時、全世界で『ゴジラ-1.0』が爆発的なヒットを記録していたことにより、空前の「ゴジラブーム」が巻き起こることに。
東宝版の『ゴジラ』とハリウッド版の『ゴジラ』が劇場で同時公開されているのは何気に世界初。怪獣王が遂に世界を制した歴史的瞬間だ。
今作を機に、映画界隈にドデカい旋風を巻き起こしたモンスターバース、その勢いは未だ止まることを知らない。
偉大なる「モンスターズ」たちの快進撃は、まだまだ続く。
その他の作品展開
今日まで映画作品にてシリーズ展開を行ってきたモンスターバース。だが最近は、映画以外にも様々な媒体でタイトルを公開している。
例えばNetflixでは『キングコング:髑髏島の巨神』から20年後を描いたアニメシリーズ『髑髏島』が公開されているが、
それ以上に話題となったのが、Apple TV+の配信用作品として公開された『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』だ。
『GODZILLA ゴジラ』から1年後を描いた今作では、カート・ラッセルとワイアット・ラッセルら親子が共演。
サンフランシスコでの出来事から、モナークはどのようにして動いていたのか、またゴジラの戦いが人々に如何なる影響を及ぼしていたのかが描かれている。
現時点では全10話が公開され、シーズン2も制作予定。さらに今作からスピンオフも制作されるとのこと。
映画だけでなく、TVシリーズにも勢力を伸ばし続けるモンスターバースの今後に期待大だ。
今後のシリーズ展開
『ゴジラvsコング』および『ゴジラ×コング〜』を手がけたアダム・ヴィンガードによると、このゴジラとコングが共演する映画は三部作を想定しているという。
次回作もゴジラとコングが共闘(或いは対立)する映画になる可能性が非常に高いわけだが、コングではなくゴジラに更なるスポットライトを当てるとのこと。
思い返せば、2作品ともコングを主人公とする構成であった為、ゴジラを単なる舞台装置として扱っていた部分も。故にゴジラファンには何とも嬉しいニュースだ。
これにはゴジラを心から崇拝しているドハティ監督も大喜び………かもしれない。
先述したように、モンスターバースはまだまだ終わらない。偉大なる「巨神」の咆哮は、未だ鳴り止むことを知らない。
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まとめ(あとがき)
最新作『ゴジラ×コング〜』が公開されたということで、ようやく書けましたモンスターバースの解説記事。
元々は最新映画レビューでじっくりと語ろうかなと思ってたけど、シリーズごとまとめて書いちゃった方が手っ取り早いということで。
人生で初めて映画館で観た『ゴジラ』が『GODZILLA ゴジラ』だったり。『〜キング・オブ・モンスターズ』がとにかく最高すぎて思わず感極まって泣きそうになったり。
思えば、私の映画人生に中々密に関わっているモンスターバース。今後も私にドデカい稲妻を落としてくれることを期待したいところ。
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さて現在の映画館では、先述したように『ゴジラ×コング〜』と『ゴジラ-1.0』が同時上映しているという異常事態に陥っているわけだが。
単に『ゴジラ』といっても東宝版とハリウッド版の二つが存在している以上、そう珍しくもないことかと思いきや実はとってもスゴいことだったりするのである。
実は東宝とワーナー・ブラザース&レジェンダリーでは「その年に片方が『ゴジラ』を公開したら、もう片方はその年に『ゴジラ』を公開しない」という取り決めがあるのだ。
例えば2014年に『GODZILLA ゴジラ』が公開されているが、その年に東宝からは『ゴジラ』は公開されていない。
一方、2016年に『シン・ゴジラ』が公開されたが、その年にモンスターバースからは『ゴジラ』は公開されていない………といった具合にだ。
では何故、モンスターバースの『ゴジラ』と東宝の『ゴジラ』が同時期に公開されているのか………周知の通り、その最たる理由は『ゴジラ-1.0』の驚異的なヒットによるものである。
昨年11月に公開され、瞬く間に全国で大ヒット。今年に入ってもその勢いは止まることを知らず、日本アカデミー賞ではほとんどの賞を総ナメ。
そして何より、第96回アカデミー賞にて視覚効果賞を受賞。我らがゴジラが、我らが怪獣王が、遂に世界の頂点へと上り詰めたのだ。
故に全国のほとんどの映画館にて怒涛のロングラン上映が行われ、初のモンスターバース版とのダブル上映が達成された………というわけだ。
「ゴジ×コン」と「マイゴジ」、どちらも世界的に大ヒットを記録しているという点に関しても、とても感慨深い。
東宝版に関しては未だ不明だが、モンスターバースの方では続編が目下製作中。今後の続報が楽しみだ。
と、いうわけで今回はこの辺で。
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それではまた、次の映画にて。