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世界か、愛か、欲望か。『ワンダーウーマン 1984』
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『ワンダーウーマン 1984』
(”Wonder Woman 1984”)
あらすじ
時は1984年。”ワンダーウーマン”ことダイアナ・プリンスは、博物館の職員として働く傍ら、日々ヒーロー活動を送っていた。
ある日、同じ博物館で働く同僚であるバーバラ・ミネルヴァが、発掘物の中からある不思議な石を発見する。
石には「手にした者の願いを何でも叶えられる」と刻まれており、ダイアナとバーバラは半信半疑になりつつも、試しに石を手に願いを唱えてみることに。
バーバラはダイアナのような”強い人”になりたいと、そしてダイアナは今は亡き最愛の人、スティーブに会いたいとそれぞれ願う。
だが驚くことに、石の力は本物だった。バーバラは願い通り人望と超人の如き力を手に入れ、ダイアナは現代に蘇ったスティーブと再会を果たすこととなる。
無限大の可能性を持つ、魔法の「石」。冴えない実業家のマックス・ロードは、自身が人々の願いを叶える石そのものになり、世界を掌握せんと暴走を始める。
新たなる悪の出現に、再び「ワンダーウーマン」として立ち向かうダイアナ。だが彼女の叶えた願いには、ある重要な「代償」が伴っていた………
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作品解説
DC最強の女性ヒーロー、ワンダーウーマンの活躍を描いた続編。タイトルは『ワンダーウーマン 1984』となるが、実質『ワンダーウーマン2』に該当する作品。
何気にDCEUでは初の、ヒーロー単独作の続編となる。
ダイアナ・プリンス/ワンダーウーマンを演じるガル・ガドット、スティーブ役のクリス・パイン、そして前作の監督であるパティ・ジェンキンスらは続投。
新キャストには新たにペドロ・パスカルらが登用された。中にはドラマ版『ワンダーウーマン』のワンダーウーマン役を演じたリンダ・カーターの名も。
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荒んだ空気感が立ち込めていた前作からは一転、冷戦真っ只中ではあれど文化的発展により先進国として繁栄を遂げる80年代アメリカが今作の舞台。
そんな今作のキーワードとなるのは即ち「欲望」。あらすじにもあるように、今作のヴィランもまた、人々の「欲望」そのものを掌握せんと画策しようとする。
どんな願いでも、すぐに叶えることのできる力………非常に魅力的な力ではあるが、その力を行使するからには必然的にリスクも伴ってくる。
この「リスク」という名の代償に、ダイアナやミネルヴァ、そしてヴィランのマックスでさえも翻弄させられることとなる。
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物語終盤、マックスの暴走によっていよいよ爆発寸前にまで膨れ上がった「欲望」。このままでは、世界は滅亡の一途を辿ってしまう………
そうしてワンダーウーマンは世界のために立ち上がるのだが………彼女もまた「今は亡き恋人と再会する」という「欲望」を叶えてしまった1人なのである。
ワンダーウーマンとしての力を失う、という代償を得てしまったダイアナ。世界を救うためには、スティーブと永遠の別れを告げなければならない。
欲望と愛、それは人にとって決して欠かせないもの。スーパーヒーローにとっても例外なく、ごく普遍的なものだ。
堪えきれないほどの喪失を経験しても尚、人は前へ進まねばならない………欲望を暴走させる人類に向けて、ダイアナはそう語る。
数十年前に戦争を単身で終わらせたのと同様に、今回もまたダイアナは世界へ光明をもたらすこととなったのである。実に輝かしい、純然たるヒーロー映画と言えるだろう。
神話、再誕。『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』
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『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』
(”Zack Snyder's Justice League")
あらすじ
基本的なあらすじは《前編》にて紹介した『ジャスティス・リーグ』と同様。
作品解説
2017年に公開された『ジャスティス・リーグ』、そのディレクターズ・カット版にあたるのが今作『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』だ。
元々はオリジナルver.の『ジャスティス・リーグ』をザック・スナイダーが監督する予定だったが、彼の娘が他界してしまったことにより降板。
やがて『アベンジャーズ』のジョス・ウェドンが監督を引き継いだが、ワーナー・ブラザースの指示もあり当初の作風からかけ離れた作品となった。
今作はザック・スナイダーが降板する前に考案していた構想をもとに再撮影・再編集したもの。U-NEXT独占配信として公開された。
新たなるシーンの追加、各キャラクターの掘り下げなど、本編と比べ追加要素が多く、それに伴い上映時間も242分(約4時間)と非常に長い。
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『マン・オブ・スティール』に『バットマンvsスーパーマン〜』と、DCEU独特の作風を決定づけたと言ってもいい、シリアスかつ重厚な世界観が特徴の「スナイダー節」。
この『〜スナイダーカット』も、監督の初期案をベースに再構築された作品であるためか、これでもかと言わんばかりにスナイダー節が全開。
決して万人受けではないこの作風で、約4時間という超・長尺。これはまたもやブーイングを呼び寄せる結果となってしまうのではないか………
と思いきや、多くの映画レビューサイトにて高評価を獲得。オリジナル版の不評っぷりがまるで嘘かのようだ。
最初からこういった丁寧な作りにしていれば、DCEUの未来も明るかったろうに………と常々思うが、これで不本意の降板を余儀なくされたザックやキャスト陣も、多少は報われたことだろう。
ちなみに現在では、今作を軸にユニバースを展開していく流れ(通称”スナイダーバース”)を、
ジェームズ・ガン主導のDCUとは別のプロジェクトとして進めて欲しい、という要望が世界中から寄せられているそう。
現に、Xでは「#RestoreTheSnyderVerse」というハッシュタグをつけ、スナイダーバースを復活させて欲しいという運動が盛んに行われている。
これは確かに、筆者としても非常に気になるところだ。できれば現実になって欲しいところだが………
残虐かつ非道かつ過激に、世界を救え!!『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』
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『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』
(”The Suicide Squad")
あらすじ
様々な特殊能力を持った終身刑の極悪犯罪者たちが、減刑を条件に政府非公認の極秘&超危険ミッションに挑む決死部隊、スーサイド・スクワッド。
とある南米の島にて繰り広げられている内戦を阻止すべく、今日も新たなチームが結成される。
多種多様な武器を使いこなすブラッドスポート、ゴッサムの犯罪王子ことジョーカーの元カノであるハーレイ・クイン、
平和の為なら女も子供もブッ殺すピースメイカー、圧倒的な殺傷力を誇る水玉を持つポルカドットマン、
有象無象のネズミを操ることができるラットキャッチャー2………そして喋るサメ、ナナウエ。
一癖も二癖もあるなんて言葉じゃ到底まとまらない、癖の強すぎるチームに課された極秘ミッション。しかし事態は、徐々に思わぬ方向へと傾いてきて………??
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作品解説
2016年に公開された、デヴィッド・エアー監督作『スーサイド・スクワッド』の続編にしてリブート作品。
MCUを代表するシリーズの一つ、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(以降『GotG』)シリーズを手がけたジェームズ・ガンが監督を務めた。
知っての通り、ジェームズ・ガンは現在、製作進行中のDCU(DCユニバース)のCEOを担当中。今のDC映画の要のような存在だ。
ハーレイ・クイン役でお馴染みマーゴット・ロビーをはじめ、イドリス・エルバ、ジョン・シナ、シルヴェスター・スタローンら豪華俳優陣が集結した。
「ヴィランたちが主人公なのに、作りが凡庸すぎる」と批判されてきたデヴィッド・エアー版『スーサイド・スクワッド』。
それを踏まえてか、今作は実にバイオレンスかつクレイジーな作りとなっている。ゴア描写も容赦無く描かれており、映倫ではR15に指定されている。
そうした演出的な魅力もさることながら、主要人物が揃いも揃って曲者揃いな為にアクションも実に多彩。ヴィランらしく、的確かつ残虐に敵を仕留めにかかっているのも特徴的だ。
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………と、ここまで聞いて「『モータルコンバット』かよ」と思うかもしれないが、今作は実にヒーロー映画的な特色をも併せ持っている。
己の使命のためには、善人を殺めることだって厭わない………そんな彼らは確かに正義に仇なす「悪」だが、どうも絶対悪的存在とは言い難い。
悪役だって、愛する家族がいるし、超えてはならない一線を持っているし、どうしても譲れない使命を持っているし、純粋に友達が欲しいヤツだっている。
そんなどこか憎めないヴィラン………影に潜むもの、嫌われ者たち、ネズミたちに立ちはだかるのは、世界に仇なす「モンスター」という、純然たる「悪」。
「正義を成す」………そんなもの、彼らにとってはただの笑えないジョークであり、実際には有り得ないことだ………この時までは。
不条理に満ちたクソッタレな世界を救う為に、「悪」が「正義」に立ち替わる………その瞬間の美しさたるや。
荒くれ者たちが、世界の為にヒーローへと回帰する………『GotG』を手がけたジェームズ・ガンだからこそ描くことのできたストーリーといえよう。
筆者的にはDCEUを超え、ヒーロー映画で一番好きな作品だったりする。今度また、レビューとしてしっかりと語っていきたいなぁと。
地獄送り、ブラック参上!!『ブラックアダム』
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『ブラックアダム』
(”Black Adam”)
あらすじ
今より5000年前、カーンダック王国。愛する息子を殺されたテス・アダムは、大いなる魔術の力を授かり、これを復讐のために使用。
誤ったことに魔術を使った魔術師たちはテス・アダムを封印。魔術師たちは、魔術は善なる人々に授けることを決意した。
時は流れ、5000年後の現代………カーンダック王国は侵略者によって支配されており、人々はそんな彼らを退ける「勇者」の到来を待ち望んでいた。
そんな最中、とある考古学者が復活の呪文を唱えたことにより、テス・アダムは復活。敵を容赦無く殲滅していく彼の姿に、カーンダックの人々は「救世主が現れた」と歓喜に打ちひしがれていた。
その一方で、超人が殺人を受けたという知らせを聞いた米国政府の高官アマンダ・ウォラーは、直属のヒーローチームであるJSA(ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ)を出動させる。
果たしてこの男は「悪」なのか、或いは「正義」なのか。時空を超えた、空前絶後の死闘が今、始まる。
https://eiga.com/movie/92528/gallery/3/
作品解説
原作ではシャザムのライバルにして宿敵に当たるダークヒーロー「ブラックアダム」の単独作が登場。
監督には『エスター』『ジャングル・クルーズ』のジャウム・コレット=セラが就任した他、肝心のブラックアダム役には、あの「ロック様」ことドウェイン・ジョンソンが抜擢された。
『ワイスピ』シリーズをはじめ、数々のアクション映画で活躍しているロック様が、今度は魔法で大暴れ。「鬼に金棒」ならぬ「ロックに魔法」である。
ダークヒーローらしく、敵を一切の容赦無く葬っていく、そんなブラックアダムの織り成すアクションは必見。
同じ力を持つヒーローであるシャザムとは異なり、怪力や魔法の力をフルパワーに発揮しているのもまた特徴的。
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そして今作はそれに加えて、JSAなるジャスティス・リーグに次ぐスーパーヒーロー・チームが登場する。
卓越した統率力と飛行能力を持つリーダーのホークマン。未来を見通す力を持つ魔術師ドクター・フェイト。
自身の体の大きさを変化させて戦うアトム・スマッシャー。超音波を伴う風を操ることができるサイクロン。
どれもブラックアダムに勝るとも劣らない、個性的な能力を持った面々。そんな四人がブラックアダムと対峙するとなれば、凄まじい戦いになるのは一目瞭然だろう。
またただの堅物ではなく、意外なちょっとしたユーモアさも持ち合わせているのも彼の魅力。
最終的には守るべきものを守るためにヒーローとして覚醒するなど、ただのダークヒーローでは到底収まり切らない魅力を秘めた男………それがブラックアダムだ。
家族の愛は、神々をも超える。『シャザム!〜神々の怒り〜』
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『シャザム!〜神々の怒り〜』
("Shazam! Fury of the Gods")
あらすじ
大いなる魔術師によって選ばれ、神々の力を手に入れたビリー・バットソン。魔術師の名を唱えると、大人の姿に変身。スーパーヒーロー・シャザムとして戦うことができるのだ。
かつてビリーの力目当てに家族を襲ったサデウスとの戦いの最中、ビリーだけでなく他の義兄弟たちも同様のスーパーパワーを取得。
かくしてビリーたちは、その大いなる力を使って里親に内緒でヒーロー活動に勤しんでいた………
が、いつも街を破壊してしまうことで、ニュース番組等で取り上げられても「フィラデルフィアの恥」として度々罵られる始末。
そんな最中、突如としてこちらの世界に神々の娘たち、通称「アトラスの娘」が来訪する。
かつて魔術師に奪われた神々の力を取り戻すため、アトラスの娘たちはビリーへ戦いを挑むことに。
スーパーヒーローの力によって結束された家族のもとに訪れた、かつてない脅威。果たしてビリーたちは、この困難を乗り越えることができるのか………!?
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作品解説
2019年公開『シャザム!』の続編。監督のデヴィッド・S・サンドバーグ、主演のザッカリー・リーヴァイは前作に引き続き続投している。
前作にて強調されていたコメディチックな作風はそのままに、CGをド派手に盛り込んだことでアクションが大幅に進化。
また義兄弟たち全員がシャザムと同様の姿に変身できるようになったことで、さながらスーパー戦隊のような色鮮やかさも生まれている。
惜しくも戦隊モノっぽいシーンは序盤のみだが………
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またヴィランが正真正銘、純度100%の「神様たち」なのもまた特徴的だ。ヴィランのスケールだけで言ったら、もしかすると歴代最高かもしれない。
神々の娘たちという、歴代最高峰のスケールの敵に挑むは、神々の力を宿しつつもヒーローとしては半人前な一つの「家族」。
前作において強調されていた「家族」というテーマが、今作でも強く見受けられる。
兎にも角にも、ヒーロー映画の純粋な「続編」としては、今作は正解と言えるだろう………正統派な進化こそが、続編ものの真髄なのだから。















