シリーズ解説

【シリーズ解説】アメリカン・ドリームの体現者。『ロッキー』シリーズを一挙解説!!

『ロッキー』シリーズとは

アメリカン・ドリーム………努力と野望によって、実現不能とさえ思われた夢を達成する、独立宣言の条項の一つにもなった言葉だ。

この『ロッキー』という映画もといシリーズは、そんなアメリカン・ドリームそのものを体現した映画と言えるだろう。

70年代のハリウッドを代表する、アカデミー作品賞にも輝いたスポーツ映画の金字塔的作品。

数あるボクシング映画の中でも珠玉の名作とされており、後に続く多くの映画たちのバイブルとなった存在だ。

数多くの賞を獲得し、シリーズ化。2023年現在もスピンオフとしてシリーズが続いている、大人気シリーズとなっている。

そんな『ロッキー』シリーズに欠かせないのが、俳優シルヴェスター・スタローンの存在。

言わずと知れたアクション俳優であり、今作の他に『ランボー』や『エクスペンダブルズ』が代表作として挙げられる。

全シリーズの主演を務めた上、脚本も担当。第1作、第5作以外は監督も兼任している。

「諦めなければ、夢は必ず叶う」………今となっては使い古された言葉ではあるが、

その言葉をまるごと映像にしたかのような今作の熱量は、他の多くの映画よりも大きく勝る。

世界中の人たちに大きな勇気を与えた傑作を、今一度ここで振り返ってみよう。

①伝説の始まり。『ロッキー』

https://eiga.com/movie/32595/photo/

『ロッキー』

(”ROCKY”)

あらすじ

フィラデルフィアに住む、売れないボクサーのロッキー・バルボア

長年ボクシングを続けているが全く芽は出ず、食い扶持を稼ぐ為に借金の取り立てを兼業するも、お人好しな性格のせいで上手くいかない始末。

そんな彼にも生き甲斐はあった………親友ボーリーの妹であるエイドリアンである。非常に内気な性格だが、ロッキーはそんな彼女にベタ惚れしていた。

一方、時を同じくしてボクシング世界チャンピオンのアポロ・クリードは、無名の選手と戦うという提案から「イタリアの種馬」ことロッキーと試合を行うことが決定される。

ずっと影に潜んでいたロッキーからすれば、これは千載一遇のチャンス。仮に勝てずとも、善戦できればボクシング界隈に名を残すことができる。

「ただのゴロツキではない」ということを世界に証明する為、ロッキーはトレーナーであるミッキーの指導のもと、過酷なトレーニングに身を投じることとなる。

作品解説

https://eiga.com/movie/32595/

記念すべき、シリーズ第1作

先述した通り、主演及び脚本をシルヴェスター・スタローンが担当。監督にはジョン・G・アヴィルドセンが抜擢された。

元ネタは、当時スタローンが観戦した「モハメド・アリ対チャック・ウェプナー」。これを元に、スタローンは僅か三日で脚本を書き上げたのだという。

今までどん底に立たされていた男が、自らを鍛え上げることで成り上がっていく。

良くも悪くもありきたりな展開ではあるが、だからこそ「アツい」。今から実に40年以上前の映画ではあるが、その熱量は今も尚強く伝わってくる。

先述したように、今作の主人公ロッキー・バルボアシルヴェスター・スタローン表裏一体の関係性を持つ。

劇中、賭けボクシングをするなどしてボクシングを続けるも、未だ陽の光を浴びることのないボクサーとしてのロッキー。

実は当時のスタローンも同じような境遇を持っており、エキストラやポルノ映画などに出演するなどして俳優としてのキャリアを積んでいた。

しかしロッキーは「世界チャンピオンと戦う」というチャンスを手にし、結果として勝利とまでは至らなかったものの名ボクサーとして名を上げることとなった。

同時にスタローンも、主演・脚本を兼任し結果として大ヒット。アカデミー作品賞を受賞するなどして、映画史にその名を永遠に刻むこととなった。

ロッキーとスタローン、双方共に血も滲むような努力により「アメリカン・ドリーム」を成し遂げた人物なのである。

こうした共通点があったからこそ、大ヒット及び続編制作が決定したと言っても過言ではないだろう。

当時「アメリカン・ニューシネマ」が流行し、陰鬱なバッドエンドが主流となっていたハリウッド。

しかしながら、今作及び『スター・ウォーズ』のヒットによりその時代は終焉を迎えた。以後、ハッピーエンドで幕を閉じる映画が主流となる。

ありとあらゆる映画のパイオニアとなった今作の存在は、まさに「偉大」………この一言に尽きる。

②この拳は愛と誇りの為に。『ロッキー2』

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『ロッキー2』

(”ROCKY Ⅱ”)

あらすじ

世界チャンピオン・アポロとの激闘により、勝利を手にすることは叶わなかったもののその善戦っぷりが評価され人気を博することとなったロッキー・バルボア

しかしながら、激闘の末にロッキーは身体のあちこちを負傷。周囲からの反対も受け、もう二度とリングには上がらないと決意する。

やがてロッキーは、念願であるエイドリアンとの婚約を交わす。新居を構えて子供も作り、リングを降りたロッキーの生活は満ち足りていた。

その一方で、チャンピオンの座を死守したアポロの元に届いたのは賞賛の声ではなく、批判の声だった。

かつての栄光を取り戻そうと奮起するアポロは、ロッキーへ再戦の申し出を正式に行う。

ロッキーは挑戦を辞退しようとするが、CMに出ようとしても字が読めずに失敗し、精肉工場で働こうにも人件費の削減でクビにされてしまう。

食い扶持を稼ぐには、再びリングに上がるしかない。しかしそうすれば、最悪の場合失明してしまう可能性もある。

そんな最中、エイドリアンが持病と妊娠の影響で倒れてしまう。意気消沈するロッキーに、エイドリアンは一言ロッキーに告げる………「勝って!」と。

再び、闘争心に火がついたロッキー。勝利と愛を賭けた究極のリベンジマッチ、その結末とは………

作品解説

https://eiga.com/movie/51011/

前作の大ヒットに伴い制作された続編。ロッキーとアポロの試合が終わった直後からストーリーが始まる。

シルヴェスター・スタローンは主演・脚本に加え監督も兼任。3つもの役職を同時にこなすこととなった。

アポロとの激闘を経て、ロッキーも人間として大きく成長した………かと思いきや、正直あまり変わっていないのが今作の特徴。

試合のファイトマネーで大金を手にしたロッキーは、高級車を買ったりエイドリアンの高額のプレゼントをあげたりとやりたい放題

やがてお金の底が尽きてきて、リングに上がる以外のやり方で金を稼ごうにも中々上手くいかず。

しかし、エイドリアンが放った一言「勝って!」に、再びそのハングリー精神に火がついたロッキー。

前作を遥かに超える過酷なトレーニング。心なしか前作のよりも胸熱に聴こえる『ロッキーのテーマ』。

そうして迎える、ロッキーとアポロの再戦はシリーズ屈指のバトルシーンと言える。

愛する妻の為に負けられないロッキー。同様にアポロも、世界チャンピオンとしてのプライドを取り戻す為に負けられない。

「愛」をかけて拳を振るうロッキー、「誇り」をかけて拳を振るうアポロ。

それぞれ並々ならぬ想いを背負ってリングに上がってきた彼らは、最早前作とは別人となっていた。

双方の信念が拳に込められて交錯する、その瞬間は何よりも「美しい」。

③「虎の目」は再びリングへ返り咲く。『ロッキー3』

https://eiga.com/movie/51012/photo/

『ロッキー3』

(”ROCKY Ⅲ”)

あらすじ

死闘の末、遂に世界チャンピオンの座を手に入れたロッキー・バルボア。

タイトルマッチに10連勝するという快進撃を遂げ、CMや雑誌にも頻繁に出演。

巨額の富を手に入れたロッキーはフィラデルフィアに豪邸を建て、エイドリアンと子供と共に優雅な生活を送っていた。

だがロッキーは家族との幸せを考え、大衆の前で引退を宣言する。しかしそこに現れたのは、新鋭ながらも連勝を重ねているクラバー・ラングだった。

「弱い選手とばかり戦ってチャンピオンを気取っている」「実力を証明したくば俺と戦え」と挑発するクラバーに、ロッキーは激昂

現役最後の戦いとしてクラバーとの試合が決定するが、結果としてロッキーはクラバーに全く歯が立たず僅か2ラウンドでKO負け

失意のどん底に突き落とされたロッキー。そんな彼の元を訪れたのは、かつての宿敵・アポロだった。

作品解説

シリーズ3作目。前作『2』は興行的にあまり振るわなかったものの、今作の公開によってシリーズの人気が確立された。

遂にアポロに勝利を収め、世界チャンピオンとなったロッキー。

ボクサーとしてこの上ない大成功を収めた故に、前作以上に有頂天状態なロッキー。

引退前最後の試合が決まっても真面目にトレーニングに取り組まず、その様子をファンに見せつける始末。

かつては「アポロに一泡吹かせる」という意志のもと、ハングリー精神を尖らせていたロッキー。そんな彼の持つ「虎の目」は、すっかり影を潜めていた。

その結果、世界ランキング1位とはいえど新人であるクラバーに敗北

チャンピオン故の油断や他にも様々な事が起こり、ロッキーは戦えるコンディションを万全に整えられなかったのだ。

そんな意気消沈真っ只中なロッキーを見かねてやってきたのは、かつてリングで拳を交えたあのアポロ・クリード!!

こんな胸熱な展開が、果たして今まであっただろうか。ライバルが主人公に手を差し伸べるのは無条件でアツすぎる。

だがそれでも尚ロッキーの心は未だ沈んだままであり、トレーニングもままならない様子。

そんなロッキーに喝を入れたのは、なんとあのエイドリアン

今までは内気な性格故にロッキーへ心の内を曝け出すことがなかった彼女が、ここで遂にロッキーへ本音をぶつける。

そこからのシリーズ恒例のトレーニングシーンは、思わず目が眩んでしまうほどに輝かしさに溢れていた。

打倒クラバーを決心したロッキーの熱量溢れたトレーニングは勿論のこと、砂浜をアポロと共に走り抜ける姿は最早一種の青春映画と見間違えるほど。

そうして迎えるリベンジマッチ。アポロのユニフォームを纏い、アポロと同じ戦法をとるロッキーの姿は、アポロと一心同体となって戦っているかのよう。

どれだけ相手に打ち込まれても耐え続け、相手がバテてきた頃に怒涛のラッシュを繰り出す。

長きにわたる死闘の末、クラバーがダウン。ロッキーは再び王者へと返り咲いたのだった。

ラストでは、小さなリングでマスコミ抜きの2人だけのリベンジマッチを行うロッキーとアポロの姿が。

ひょんなことから拳を交えることになり、今となってはかけがえのない戦友となった2人。今作はそんな2人の固く結ばれた友情を再確認できる一本となっている。

④拳に宿るは絆の炎。『ロッキー4/炎の友情』

https://eiga.com/movie/51013/gallery/

『ロッキー4/炎の友情』

(”ROCKY Ⅳ”)

あらすじ

世界チャンピオンとして、再び家族と共に幸せな暮らしを送るロッキー・バルボア。

先のクラバー戦により、未だ熱が冷めやらぬボクシング界隈。そこに現れたのは、ソ連からの刺客イワン・ドラゴだった。

ソ連を代表し、ロッキーへ挑戦を申し出るドラゴだったが、元世界チャンピオンでありロッキーの戦友であるアポロがその挑戦を受けることとなる。

しかしながら、ソ連の圧倒的な設備により極限にまで鍛え上げられ、「戦闘マシーン」とさえ呼ばれるドラゴはかなりの強敵

嫌な予感を感じ取ったロッキーはアポロに試合の中止を提案するが、アポロは闘争心を抑えられない。

そして試合当日、アポロは意気揚々とドラゴに挑み掛かるが………

作品解説

シリーズ4作目。物語の舞台及び試合の対戦相手は、遂に海を越え冷戦が終わったばかりのソ連へ。

前作までは辛うじて残っていたロッキーの人間臭さを感じられるシーンはほぼ無くなり、アメリカン・ヒーローとしての側面が強調されるように。

加えて挿入曲がかなり多く取り入れられており、一部では映画という名の皮を被ったミュージック・ビデオと呼ばれている模様。

上映時間も短く、純粋なエンタメ映画に特化した内容となっている。最早初代『ロッキー』とは別物の映画だ。

………と、シリーズ全体で見ればあまり芳しくない評価を受けている今作だが、意外にも後のシリーズ展開等に影響を与えている。

例えばイワン・ドラゴを演じたドルフ・ラングレンは今作で俳優デビューを果たし、後にスピンオフ作品等でスタローンと共演している。

更にそんな「イワン・ドラゴ」というキャラクターに迫る為『ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ』というディレクターズ・カット版が制作されている。

また「映画という名のMV」と中々不名誉な称号を頂いてはいるものの、楽曲はどれもカッコいいので悪しからず。一見ならぬ一聴の価値ありだ。

⑤フィラデルフィアの英雄の、最後の愛の物語。『ロッキー5/最後のドラマ』

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『ロッキー5/最後のドラマ』

(”ROCKY Ⅴ”)

あらすじ

前作におけるイワン・ドラゴとの激闘の直後。辛くも勝利を手にしたロッキーだったが、試合の後に身体中が震え出してしまう。

長年に及ぶダメージが蓄積され、ロッキーの身体が限界を迎えたのだ。もう選手として活動できないと判断したロッキーは、遂に本当の引退を決意する。

しかしそこで、ロッキーの家計を管理していた会計士が不正を働き、破産。ロッキーが今まで積み上げてきた大金は、一夜のうちに全て消え失せてしまった。

結局、ロッキーとその家族たちは故郷であるフィラデルフィアへ戻ることに。ロッキーはそこで、かつてミッキーが経営していたボクシングジムでトレーナーを営むことになる。

やがて新鋭のトミー・ガンがジムを訪れ、ロッキーは彼の育成に夢中になる。ロッキーはトレーナーとしての第二の人生を確信していた。

一方、思春期に差し掛かったロッキーの息子であるロッキー・ジュニアは、家族をほったらかしトミーの育成に傾倒するロッキーに不信感を抱きつつあった………

作品解説

https://eiga.com/movie/32599/gallery/

シリーズ5作目にして『ロッキー』シリーズの(便宜上の)完結編

『ロッキー』から『ロッキー4/炎の友情』までは選手として大活躍を見せてきたロッキーだったが、今作は打って変わってトレーナーとしての活躍を見せる。

故に、ロッキーは今作において一度もリングに上がり戦うことはない。果たしてそれで完結編で良いのかと疑いたくもなるが………

『〜最後のドラマ』というタイトル通り、今作はボクシング・アクションよりもロッキー一家を中心とした人間ドラマがメイン。

ジョン・G・アヴィルドセンが監督としてカムバックしていることから、今作は初代『ロッキー』へ原点回帰するかのようなシーンが多く見受けられる。

黒いハットとジャケットを身につけたロッキーの衣装、寂れたフィラデルフィアの風景。

シリーズも5作品目まで続き、初代『ロッキー』の公開から既に約14年もの歳月が経っている。

かの伝説の面影を、所かしこに感じられる………シリーズを締めくくるには、あまりにも「懐かしさ」に溢れすぎている作品と言えるだろう。

加えてロッキー自身の性格も、まるでに戻ったかのようだ。息子に不器用なりに接する、父親としてのロッキーは今までにない新鮮さがあると言える。

しかしながら今作、評価が非常〜〜〜に低い。前作の不評っぷりを大きく超え、シリーズ最低の興行収入を叩き出すに至っている。

こうした散々な結果を受けてか、数年後に再びスタローンが監督の元、本当の完結編となる続編が制作されることとなった。

⑥伝説の最後。『ロッキー・ザ・ファイナル』

https://eiga.com/movie/1877/photo/

『ロッキー・ザ・ファイナル』

("ROCKY BALBOA")

あらすじ

元ボクシング世界チャンピオン、ロッキー・バルボア。かつては無敵と謳われた彼だったが、今や長い年月が過ぎ老いた姿となっていた。

彼は故郷のフィラデルフィアにて、亡くなった妻エイドリアンを想いながら、小さなイタリアン・レストランを経営していた。

だが、前作では和解していた息子のロバートとは疎遠になり、義兄のポーリーには「過去を引きずるな」と叱責される始末。

その一方で、今も尚盛り上がりを見せているボクシング業界では、世界チャンピオンのメイソン・ディクソンの活躍に湧いていた。

その圧倒的な実力により快進撃を遂げるも、ほとんどの相手をスピードKOで倒してしまう為、観客からは人気を得られなかった。

そんなある日、TV番組のコーナーにてメイソンとロッキーが対戦するというバーチャル試合が組まれることとなる。

試合の結果はロッキーの勝利。評論家もロッキーを支持していたが、別の評論家は「時代遅れの男だ」と逆にロッキーを批判

とうの昔に現役を退き、何十年もの間リングに上がることもなかったロッキー。だがその心の奥底には、かつての闘争心が燻らんとしていた………

作品解説

シリーズ6作目。前作から実に10年以上の時を経て、遂に『ロッキー』シリーズの本当の完結編が登場。

『〜炎の友情』ぶりに、監督・脚本・主演の全てをスタローンが担当。やはり締めはこの男でなければ。

ポーリー役のバート・ヤング、アポロとロッキーのトレーナーを務めたデューク役のトニー・バートンも続投。

スタローン含むこの3人が、シリーズ全6作に出演した唯一のキャストである。

前作からかなりの歳月が経っていることで、スタローンも還暦を迎える年齢に。劇中におけるロッキーも「老い」という存在にとても悩まされることとなる。

その一方で、この「老い」という要素は、今作の魅力に強く絡み付いているのもまた事実。

再び選手としてリングに上がるには歳をとりすぎたと言い決断を渋るロッキー。しかしポーリーやロバートらは言う………「簡単に諦めるな」と。

「諦めない」という言葉は、『ロッキー』シリーズの全タイトルに共通するテーマだ。

世界チャンピオンに挑むことを「諦めない」。愛する者の為に勝つことを「諦めない」。

王者の座を奪還することを「諦めない」。友の仇を討つことを「諦めない」。

ロッキーはいつだって踏ん張ってきた。どれだけ拳を打ち込まれようとも耐えてきた。全てはその先にある「勝利」のために。

今作にて、老いをものともしない姿勢で、戦うことを「諦めない」ロッキーの姿は何よりも勇ましい

また前作では完全になくなってしまっていた試合のシーンが、今作では完全復活

特徴として、従来のバトルシーンと比べ現代版にアップデートされている点が挙げられる。

初代から受け継がれてきた実況はそのままに、TV番組風の演出を取り入れるなど、実際のボクシング中継そっくりの編集が施されている。

初代から今作に至るまで、真摯にロッキーを応援し続けてきたポーリーらロッキー・ファミリーに思わず涙。エイドリアンも天国から見ているのかな………

これにて「イタリアの種馬」ことロッキー・バルボアの戦いの歴史は遂に幕を閉じる

数多の戦いを潜り抜け、ボロボロに擦り剥けたボクシング・グローブ。その意志と戦いの歴史を、果たして誰が受け継ぐのか………。

その後のシリーズ展開

周知の通り、2023年現在は『ロッキー』シリーズのスピンオフが公開され、シリーズ化している。

その名も『クリード』シリーズ。主人公は、あのアポロ・クリードの遺児であるアドニス・クリードだ。

https://eiga.com/movie/89393/gallery/6/

2015年に第1作『クリード チャンプを継ぐ者』、2018年に第2作『クリード 炎の宿敵』、今年2023年に第3作『クリード 過去の逆襲』が公開。

ロッキー役であるスタローンは第1作、第2作にアドニスのトレーナー役で出演している。

『〜炎の友情』の解説にて先述したように、第2作ではドラゴ役のドルフ・ラングレンも出演。こうした形で『〜炎の友情』が取り上げられるのは喜ばしいことだ。

まとめ(あとがき)

うお〜〜〜書いた〜〜〜めちゃくちゃ書いたぞ〜〜〜

恐らく1万字はいったと思われる。当ブログとしては「2023年上半期ランキング」以来か。

全6作品を一つの記事でまとめて解説するのは、やはり些か無謀だったかも?そろそろ読みやすくするような工夫も考えねば………

しばらく「最新映画レビュー」を更新することもないだろうと思い着手してみたが、いやぁやはり時間がかかる

仮に文章を書き上げたとしても、ここから編集なりしていかないといけないのでまたもや時間がかかる。頑張ろう、私。

と、言うわけで今回はこの辺で。

それではまた、次の映画にて

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