DCEUとは
今やハリウッドにおいて普遍的な存在となった「アメコミ映画」というジャンル。
アメコミ映画、と聞くと真っ先に思い浮かぶのは、やはりMARVELコミックによる「MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)」の存在だ。
であれば、アメコミ映画の礎を築いたのもまたMARVEL………ではなく、MARVELと双璧をなすアメコミ出版社であるDCコミックスである。
1941年に公開された、DCコミックス原作の『キャプテン・マーベルの冒険』が、世界初のアメコミ映画とされている。
今回紹介するDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)は、ワーナー・ブラザース及び『300〈スリーハンドレッド〉』のザック・スナイダーの手によって創立された、
MCUと同じく複数の作品に共通した世界観を有する、クロスオーバーの方式を取るシリーズである。
ヘンリー・カヴィル、ベン・アフレック、ガル・ガドット………他にも多数の著名なキャストたちが、この壮大なるユニバースに参加した。
複数の作品が、やがて一つの作品へと徐々に集結していく…………このDCEUもまた、MCUの爆発的なヒットの流れに則って計画された大規模プロジェクトである。
スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンらDCを代表するヒーローたちが一堂に会する………発表当時、ファンたちは大いに心を躍らせたことだろう。
………がしかし、ことあるたびに人気が低迷し始める、中々不憫なシリーズでもある。理由は主に「雰囲気が暗い」「ストーリーの組み立てが雑」などなど………
現在は『GotG』のジェームズ・ガンの手により「DCユニバース」へリブートされることが決定。DCEUに登場したキャストも一新される予定だ。
ものの10年で、その幕を閉じることとなってしまったシリーズ。しかしながら、アメコミ界隈に与えた影響力は計り知れないのもまた事実。
その壮大なる歴史、もとい神話を、じっくりと遡っていくとしよう。
①その男は神か、悪魔か、救世主か。『マン・オブ・スティール』
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『マン・オブ・スティール』
(”Man of Steel”)
あらすじ
地球から遠く離れた惑星、クリプトン星は、エネルギーの枯渇で滅亡の危機を迎えようとしていた。
ジョー=エルとララ・ロー=ヴァンは、2人の子供であるカル=エルを資源の豊富な地球へと送り出すことに成功する。
だがクリプトン星では、ゾッド将軍らによるクーデターが発生していた。ジョー=エルを殺害したゾッド将軍は、クリプトン星を飛び立ったカル=エルを追うべく、地球に向かわんとしていた。
長き時を経て地球へ到着したカル=エルは、ある片田舎に住む夫婦に拾われ「クラーク・ケント」という人間としての名を授かる。
年月は流れ、健やかに育っていくケント。だがその一方で、己のうちに隠された未知なる力の使い所に戸惑っていた。
そんな中、名付け親のジョナサン・ケントから、自身が乗っていたポッドに入っていたコマンドキーを渡される。
「使命を知る時が来た」………その言葉通りに各地を放浪していたクラークは、やがてクリプトン星の宇宙船へ辿り着く。
意識のみを投影したホログラムとして、クラークと再会したジョーは語る………「お前こそが希望の象徴だ」と。
エル家の紋章である「S」の字、赤と青のスーツ、たなびくマント。クラークは、自身が世界を救う唯一無二の存在だということを知ったのだった。
だがその最中、ゾッド将軍率いるクリプトン星の軍勢が地球に到着。地球を第二のクリプトン星へと改造するべく、侵略に乗り出すゾッド。
己の使命を知ったクラークは、「スーパーマン」として世界を救うべく、飛び立つのだった。
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作品解説
記念すべき第1作を飾ったのは、DCコミックスもといアメコミそのものを代表するスーパーヒーロー、スーパーマンだ。
過去に何度か実写化している『スーパーマン』。今作はDCEUの始動に先駆け、リブート作品として制作された。
監督には、過去にもDCコミック原作の映画である『ウォッチメン』を手がけたザック・スナイダーが抜擢された。DCEUを開設したのも彼である。
そして原案・製作には、あの『ダークナイト』を手がけたクリストファー・ノーランも。心なしか、彼独特の作風が今作にも滲み出ている気がしてならない。
主役となるクラーク・ケント/スーパーマン役を、ヘンリー・カヴィルが担当。『007』のジェームズ・ボンド役のオーディションにて、最終選考まで上り詰めた名優だ。
他にもエイミー・アダムスやラッセル・クロウ、ローレンス・フィッシュバーンやケビン・コスナーらが出演。DCEUの華麗なる門出を、豪華キャスト陣が出迎える形となった。
『スーパーマン』の映画と聞かれ、第一に思い浮かべるのはやはりクリストファー・リーヴ主演の『スーパーマン』(1978)だろう。
ジョン・ウィリアムズによるあのテーマ曲が有名な、ヒーロー映画の金字塔的な作品だ。
ストーリーもまさしく王道であり、「スーパーマン=希望の象徴そのもの」というイメージは、いつしかより強固なものとなっていた。
しかしその一方で、この『マン・オブ・スティール』(以下『MoS』)は打って変わってダークな雰囲気が際立っている。
スーパーマンのスーツはコミック由来の色鮮やかなものからシックな落ち着いた色合いへ。先述したジョン・ウィリアムズによる楽曲も流れず、ハンズ・ジマーによる壮大な音楽が流れるように。
ここまでシリアスな『スーパーマン』を、果たして今まで観たことがあっただろうか………シリーズモノ最初の作品とは到底思えないほどに、その試みは非常に斬新だ。
それが起因してか、今作の評価はやや賛否両論気味。「こんなのスーパーマンじゃない!!」と声を上げた人も多数いた模様。
だがそれは「今まで誰も観たことのない『スーパーマン』の世界観」という裏返しでもある。のちに「スナイダー・バース」と呼ばれた、大いなる神話の始まりだ。
スナイダーとノーランによる、暗いトーンからなる独特の作風、そして圧倒的迫力のCG技術を以てして描かれる、スーパーマンの果てなき死闘。
壮大なる神話の、壮大なる始動の物語。これぞ、ザック・スナイダーによる「新たなるアメコミ神話」の始まりだ。
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②衝突する「正義」と「正義」。『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』
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『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』
("Batman v Superman: Dawn of Justice")
あらすじ
スーパーマンとゾッド将軍の死闘からしばらく経ち、スーパーマンはヒーローとして世界中で活躍していた。
人々はスーパーマンを「救世主」或いは「神」として崇める一方、あまりにも強大すぎる力を持つことから「人類に仇なす存在」として恐れていた。
大富豪にしてゴッサムシティの守護者、ブルース・ウェイン/バットマンは、そんなスーパーマンを危険視。いつか彼が人類に歯牙を向けたその瞬間、世界は滅亡すると疑いを持っていた。
スーパーマンは人類の味方か、或いは敵か。緊張が高まる中、レックス・コープの社長であるレックス・ルーサー・Jrは、クリプトン星からの宇宙船に保管されていた物質「クリプトナイト」を狙っていた。
クリプトナイトはスーパーマンらクリプトン人を弱体化させる効果があり、ブルースはこれをスーパーマンに対する抑止力として活用しようと画策。
スーパーマンを偽りのヒーローとして仕立て上げ、窮地へ陥れようとするレックス。やがてその目論見通り、スーパーマンとバットマンは衝突することに。
正義とは何か、悪とは何か。世界の命運を分ける、世紀の戦いが始まろうとしていた。
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作品解説
「鋼鉄の男」スーパーマン、「闇の騎士」バットマン。DCコミックスを代表する二大ヒーローが、遂に激突。
クラーク・ケントことスーパーマンを演じるヘンリー・カヴィルや、その恋人であるロイス・レイン演じるエイミー・アダムスは続投。
「最も実写化されたスーパーヒーロー」であるバットマン役には、マイケル・キートン、クリスチャン・ベイルに続き、新たにベン・アフレックが担当することとなった。
そのマッチョぶりは歴代No.1。筆者としても初めて映画で見たバットマンな為、とても印象深い。
前作に引き続き、ザック・スナイダーが監督に就任。クリストファー・ノーランもまた、製作総指揮として参加している。
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前作『MoS』にて発揮されていた、ダークネスなヒーロー映画(題して"スナイダー節")スタイルは継続………というより、むしろ倍増していると言える。
ただでさえ元からダークな雰囲気を纏っているバットマンに至っては「長年ヒーロー活動を続けているおかげで精神的に追い詰められている」という設定付き。
肝心の内容も、所謂「ヒーローの正義の是非を問う」という『ウォッチメン』を彷彿とさせる、哲学チックなものとなっている。
刺さる人には刺さるだろうが、ライト層には若干ハードル高めのような気も。「ただヒーロー映画を観に来ただけなのに………」と落胆した人も少なくないハズだ。
上記の理由に加え、ストーリー的に辻褄が合わない部分が多数見受けられたことから、観客からの評価はあまり芳しくない模様。
しかしながら、今作のラスボスポジであるドゥームズデイとの戦いは超ド迫力。前作におけるvsゾッド将軍を更にスケールアップさせた、かなり見応えのあるものとなっている。
敵対していたスーパーマンとバットマンが共闘するという胸熱な展開なのはもちろんのこと、あのワンダーウーマンまでもが参戦しているのだから、往年のファンたちは興奮必至だ。
DCコミックスのBIG3の1人に数えられる女性ヒーロー、ワンダーウーマン。 MCUでいうソーに並ぶ存在だ。演じているのは『ワイスピ』のガル・ガドット。
こうした圧倒的スケールで描かれる戦いは、さながら神話の戦いそのもの。まさしくスナイダー節全開の、渾身の一本だ。
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③世界を救え、クソ野郎共!!『スーサイド・スクワッド』
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『スーサイド・スクワッド』
(”Suicide Squad”)
あらすじ
ドゥームズデイとの死闘の末、スーパーマンが死亡し数ヶ月が経過。世界は希望の象徴を失ったことで、犯罪者はみるみる増加。
このままでは来たる世界の危機に立ち向かえないと判断した米国政府は、刑務所などに収監されている終身刑の犯罪者たちを招集。
集められたのは凄腕の殺し屋、ピエロ女、ブーメラン男、サムライ女、炎の悪魔、ワニ男………などなど、超個性的な面子たち。
立案者であるアマンダ・ウォラーは「タスクフォースX」、通称「スーサイド・スクワッド」を結成。減刑と引き換えに、政府否認の極秘ミッションに挑む、その名の通りの「決死部隊」だ。
果たしてこの荒くれ者たちは、世界を救える存在になれるのか。前代未聞のヒーロー・”クライム”・アクションが今、幕をあける。
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作品解説
MARVELにおけるアベンジャーズ、DCコミックスにおけるジャスティス・リーグのように、ヒーローたちによって結成されたチームは多数存在する。
しかしながら、この「スーサイド・スクワッド」はヒーローとは真逆の存在、ヴィランたちによって結成されたチームだ。
世界を”脅かす側”だった極悪犯罪者たちが、まさかの世界を”救う側”に。もはやDCEUという枠組みを超え、ヒーロー映画そのものの根底を覆すかのようなコンセプトだ。
デッドショットをウィル・スミス、ハーレイ・クインをマーゴット・ロビーが演じるなど、豪華キャスト陣が集結。
『ダークナイト』におけるヒース・レジャーの怪演が有名な、バットマン最大の宿敵ことジョーカーをジャレッド・レトが演じた。
監督には『フューリー』のデヴィッド・エアーが就任。前作まで監督を務めていたザック・スナイダーは、今回は製作総指揮に回っている。
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先述した通り、作品のコンセプトはとても奇抜かつ話題性も十分。前作の公開でいよいよ本格的に危ぶまれてきたDCEUの雲行きも、これで遂に晴れるか………!?
………と思いきや、またもや残念な結果に終わってしまったDCEU。興行的には成功を収めたものの、批評家たちからはボロクソに批判される羽目に。
観客として観ても、やはり感じるのはハッチャケぶりが足りないといったところか。悪役が主人公ってんなら、もっと好き勝手暴れて欲しかった感。
しかしながら、演出等は良い意味で雑味に溢れており、クライム・アクションとしてはかなりの出来となっている。
特にマーゴット・ロビー扮するハーレイ・クインを生み出した功績はデカい。今作に止まらず他作品でも出演したり、スピンオフ映画が制作されるなど、まさに破竹の勢いが如き人気を博している。
④闇を晴らすは、ただ1人の”戦姫”。『ワンダーウーマン』
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『ワンダーウーマン』
(”Wonder Woman”)
あらすじ
人間界とは隔絶された、女性だけが住む島・セミッシラ。女王ヒッポリタの娘であるダイアナ・プリンスは、いつしか島を守る戦士になりたいと強く願っていた。
その大きな願いから、過酷な訓練を積み最強の戦士となったダイアナ。だがそこへ、人間界から迷い込んできた男、スティーヴ・トレバーと出会う。
島より外の世界を未だ見たことがないダイアナは、好奇心に突き動かされるままスティーヴから人間界の様子を聞き出す。
だがこの時、人間界は第一次世界大戦の真っ最中だった。人類における最大の黒歴史を歩んでいる最中であり、平和とは遠くかけ離れた世界だとスティーヴは語る。
予想とはかけ離れた世界に絶望するダイアナ。だが彼女はやがて、この戦乱の元凶は戦争の神・アレスにあると確信を得る。
母の静止を振り切り、スティーヴと共に人間界へ赴くダイアナ。彼女は、気高き戦姫・ワンダーウーマンとして、世界にたちこめる暗雲を晴らすことができるのか。
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作品解説
『バットマンvsスーパーマン〜』(以下『BvS』)にて初登場したヒーロー、ワンダーウーマンの主役映画が遂に登場。
ガル・ガドットがダイアナ役として続投している他、『スター・トレック』のクリス・パインがスティーヴ役として出演。
監督にはパティ・ジェンキンスが担当。今作のヒットにより、女性監督作品としての興行収入の最高記録を更新した。
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今までに制作された3作品すべてがイマイチな結果に終わり、今度こそ存続が危ぶまれつつあるDCEU。
そんなDCEUを、あまりにも劇的に救い出してみせたのが、今作『ワンダーウーマン』である。
従来の作品は暗い作風が際立っていたDCEU。それこそがこのユニバース唯一無二の特徴とも言えるが、人気低迷の原因はやはりここに集約されていると言える。
だが今作はシリアスでありながらも、正統派のヒーロー映画らしく比較的明るい作風となっている。
コメディチックなシーンもあり、アクションも迫力大。ヒーロー映画らしさの溢れた、とても取っ付きやすい作品へと仕上がっている。
ワンダーウーマンのオリジンを描くということで、今までのDCEU作品をおさらいしなくても十分楽しめるという利点もある。
だがその一方で、舞台が第一次世界大戦中ということで当然ながら戦争映画らしい描写も。流石に『プライベート・ライアン』ほど残虐な描写はされていないが………
そしてそんな陰鬱な戦争の描写を、清々しいなまでに切り払っていくのもまたダイアナ・プリンス、通称”ワンダーウーマン”。
敵が大勢潜む廃屋に単身で突っ込み、『BvS』でも流れたあのテーマ曲をバックに無双し始めるシーンはまさに圧巻の一言。
「DCEUの負の連鎖を、ワンダーウーマンが断ち切る」といった具合に、当時のDCEUの人気の隆盛を思わせるような繋がりも。
今作のヒットにより、再び注目が集まったDCEU。MCUには及ばないにしろ、なんやかんや上手くいくだろう………と、この時は誰しもが思っていたことだろう。
⑤”正義”の下に集いし、英雄たち。『ジャスティス・リーグ』
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『ジャスティス・リーグ』
(”Justice League”)
あらすじ
スーパーマンの死後、ブルース・ウェイン/バットマンは地球に迫り来る脅威に対抗すべく、ダイアナ・プリンス/ワンダーウーマンにある計画を持ちかける。
それは世界各地に散らばるスーパーヒーローたちを招集し、一つのチームを結成しようというもの。
メンバーのスカウトに赴いたブルースの元に集ったのは、それぞれが独自の能力を持った超人たち。
超高速で移動することができるバリー・アレン/フラッシュ。海底王国アトランティスの王子アーサー・カリー/アクアマン。超高性能の機械の身体を持つビクター・ストーン/サイボーグ。
それぞれがスーパーマンに勝るとも劣らない、人類の脅威に対抗し得る力を持つ者たちだ。
だが期を同じくして、かつて太古の地球を蹂躙したステッペンウルフが、無数の軍勢を連れて再び地球に襲来。
超人たちを結集したはいいものの、このままでは歯が立たないと事態を危惧するブルース。そこで彼は、ある手段に打って出る………
それはメトロポリスに眠る、クラーク・ケント/スーパーマンを復活させることだった。
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作品解説
DCEUの到達点の一つとも呼べる、MCUのアベンジャーズに並ぶスーパーヒーロー・チームが遂に結成。
ベン・アフレック扮するバットマン、ガル・ガドット扮するワンダーウーマンが続投する他、
『BvS』にてカメオ出演していた、フラッシュ役のエズラ・ミラー、アクアマン役のジェイソン・モモア、サイボーグ役のレイ・フィッシャーが本格的に登場。
特にフラッシュなんかは、グラント・ガスティン主演のドラマシリーズ(DCEUとは別の世界線)で強い人気を博しているヒーロー。
監督にはザック・スナイダーが登用されており、今作も『MoS』『BvS』と同じくシリアスな作風が目立つ………
かと思いきや、途中でザックが降板してしまったことが影響し王道のヒーロー映画らしくポップな作りに。
今作から新しく参戦したヒーロー3人(フラッシュ、アクアマン、サイボーグ)のキャラクターの掘り下げが甘く、それが起因してかストーリーも稚拙。
加えて監督が途中で交代したことにより、作風もチグハグな状態に。
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これが災いしてか、なんとシリーズ最低の興行収入を記録することに。同年公開『ワンダーウーマン』を大きく下回るという散々な結果に。
制作費がめちゃめちゃかかっている為、ワーナー・ブラザースからすればこれは大赤字モノ。
流石のDCEUもこれは効いたようで、作品作りの方針をユニバース重視から単独作重視へ転換(『ワンダーウーマン』の大ヒットが主な理由か)。
さらに2019年には、ザック・スナイダーが降板する以前に用意していた考案を元に制作された、
ディレクターズ・カット版である『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』が公開された(詳しくは後編を参照)。
故に今作は、良くも悪くもDCEUが大きく舵をとった、大きなキッカケとなった。ここからが、DCEUのリスタート地点といっても過言ではないだろう。
⑥海と冒険、そして再出発。『アクアマン』
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『アクアマン』
(”Aquaman”)
あらすじ
その昔、灯台守のトム・カリーは、浜辺に倒れる1人の女性を見つける。
2人は共に暮らしていくうちに惹かれ合い、やがて子供をもうける。2人は子供をアーサーと名付け、育てることに。
だがそんなある日、家族のもとに謎の武装した兵士たちが海より現れる。あの日浜辺に倒れていた女性の正体は、海底王国アトランティスの女王・アトランナだったのだ。
兵士たちはアトランナをアトランティスに連れ去るが、アトランナはトムに「いつの日か、あの桟橋で再び会いにいく」と約束する。
それから月日が流れ、アーサーは父の教えやアトランティスの参謀バルコの指導によりめざましい成長を遂げ、人々を救うヒーローとして活動していた。
一方アトランティスでは、アーサーの弟であるオームが「海の覇王」となるべく、野心を燃やしていた。
隣国の王であるネレウスと結託し「地上の生き物を全て滅ぼす」ことを決意するオーム。
アトランティスの王女であるメラは危機を察知し、地上にいるアーサーに「貴方がアトランティスの王になるしかない」と呼びかける。
決断を渋るアーサーだったが、オームの手により父の命が危機に晒されたことから、アトランティスへ向かうことを決心。
世界の存亡を賭けた、壮大なる海の旅路が今、始まる。
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作品解説
『ジャスティス・リーグ』にて初登場した、ジェイソン・モモア扮するアクアマンが主役の映画が、満を持して登場。
監督には『ワイルド・スピード SKY MISSION』のジェームズ・ワンが就任。『死霊館』シリーズを手がけるなど、ホラー界隈の監督としても名高い多才な監督だ。
キャストにはジェイソン・モモアの他、アンバー・ハードやウィレム・デフォー、パトリック・ウィルソンなどが出演。
『アス』や『マトリックス レザレクションズ』、『アンビュランス』で最近引っ張りだこなヤヒヤ・アブドゥル=マティーン2世も出演している。
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『ジャスティス・リーグ』が興行的に大失敗を遂げ、いよいよ打ち切りの危機を迎えつつあったDCEU。
このままではマズいと判断したDCEU及びワーナー・ブラザースは、MCUのように他作品とのクロスオーバーを意識し作品制作を行うという方針から、
まずは一作品一作品を丁寧に作っていくという方針へ転換。なぜ最初からそうしなかったのかとツッコむのはとりあえずやめておこう。
そんな新生・DCEUの先陣を切ったのがこの『アクアマン』だ。従来の作品との繋がりはほぼ全くなく、れっきとした単独作として成立している。
今作はとにかく海中アクションが凄まじい………その一言に尽きる。四方八方に飛び回り、大暴れするアクアマンは実に爽快にして豪快だ。
『ワイスピ』特有のハチャメチャなアクションを監督したジェームズ・ワンだからこそできた、まさしく荒技とも言えるかもしれない。
それに加えて、アクアマンことアーサー・カリーと王女メラの2人が繰り広げる冒険譚もまた魅力的だ。
超美麗なアトランティスから和やかな港町、砂海王国と銘打たれる大砂漠からホラー映画よろしく化け物たちの潜む深海まで、
様々な場所を巡っていくアドベンチャーモノとしても十分に楽しめる作りとなっている。
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そんなエンタメ要素てんこ盛りな『アクアマン』、肝心の興行的には如何だったのだろうかというと………大成功だ。
新たに生まれ変わったDCEUの、新たなるヒーローの誕生が、見事なまでにDCEUを救ってみせたのである。
筆者的には映画にハマりたてだった頃に劇場にて鑑賞し、そりゃもう大興奮だったのを鮮明に覚えている。公開から数年経った今でも大好きな作品だ。
⑦ヒーローになりたくば、その名を叫べ………『シャザム!』
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『シャザム!』
(”Shazam!”)
あらすじ
幼い頃に母と離れ離れになってしまったビリー・バットソンは、養子家庭を転々とした後、バスケス夫妻が経営するグループホームへ入居する。
バスケス夫妻と、同じくグループホームに入居しているメンバーたちはビリーを暖かく迎え入れるが、
どうしても母に会いたいと願うビリーは新しい家族に馴染まず、何度も家出を繰り返していた。
そんなある日、いつも通り電車に乗るビリーだったが、車内の様子はだんだんとおかしくなっていき、やがて薄暗い洞窟へと辿り着く。
「永遠の岩」と呼ばれる洞窟の宮殿に座していたのは、偉大なる魔法使い・シャザム。ビリーの勇敢なる心を見抜いた魔術師は、ビリーに「大いなる力」を授ける。
それは六柱の神々の名を模った超人の力。ビリーは魔術師の名「シャザム」と唱えるだけで、大人の姿をしたスーパーヒーローへと変身する力を手に入れたのだ。
しかしながらビリーはまだまだ子供。ビリーはフレディと共に、その大いなる力を正義のためではなく単なる悪戯のために使っていた。
そんなシャザムのスーパーパワーを付け狙う、怪しげな影が迫っているとも知らずに………
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作品解説
一般人がスーパーヒーローに「変身」するというのは、アメコミのみならずヒーローを主役に据える作品では最早当たり前のことだ。
クラーク・ケントがスーツを脱いで「スーパーマン」になるように、或いはブルース・ウェインがマスクを被って「バットマン」になるように、
ヒーローの「変身」する姿は実にアイコニックである。そんなヒーローの変身という要素を全面的に押し出したのが、今作『シャザム!』だ。
監督には『ライト/オフ』や『アナベル 死霊人形の誕生』のデヴィッド・F・サンドバーグが就任した。
前作『アクアマン』のジェームズ・ワン同様、ホラーの監督がヒーロー映画を撮ることに。
キャストには、MCUの『マイティ・ソー』シリーズにも出演したザッカリー・リーヴァイや、ジャイモン・フンスーらが出演。
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前作『アクアマン』が大ヒットを記録したことで、DCEUの路線変更作戦は大成功。故に今作も「これぞヒーロー映画!!」と言わんばかりの明るい雰囲気に満ち満ちている。
設定も「スーパーパワーを手に入れた少年が、ヒーローに変身して街を救う!!」というごくシンプルなもの。DCEUを知らない人でも、とてもとっつきやすい作品となっている。
今作もまた、従来のDCEUの作品通りヒーローアクションモノを模っているものの、どちらかというと「家族の絆」をメインとしたドラマパートが多い印象(大部分はコメディだが………)。
しかしながら魅せるところはしっかりと魅せる、純然たるヒーロー映画としてかなり完成されている一本でもある。
もし『MoS』がこういう作風だったら、DCEUの風向きも変わっていたのかな………と思ったりして。どうしようもないタラレバだけれど。
⑧Movie of the Harley, for the Harley, by the Harley.『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
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『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
(”Birds of Prey(and the Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn)")
あらすじ
かつて「スーサイド・スクワッド」に所属し、犯罪者と共に世界を救ってみせたハーレイ・クイン(本名:ハーレーン・クインゼル)。
元々は精神病院に勤める精神科医だったが、バットマンの宿敵ことジョーカーに唆され、イカれた犯罪者となってしまった彼女。
世の中の出来事全てを喜劇として愉しみ、そのためには如何なる手段も問わない2人は、ゴッサムで恐れられていた。
そんな彼女にとって、ジョーカーとは自身の人生を180度一変させてくれた存在。2人は永遠の愛に結ばれていた………
かと思いきや、突然の破局。独り身となり解放されたハーレイ・クインは、自由奔放な生活を送っていた。
しかしそんな安息も束の間、ジョーカーという抑止力がなくなったことによりハーレイの命を狙う犯罪者たちが急増。
彼女がジョーカーと共になした悪行の数は、まさしく星の数に及ぶ。そんな積年の恨みを、ハーレイは一身に背負うこととなってしまったのである。
頭のネジが外れた彼女の、最高にハッピーかつクレイジーな逃避行。そんな彼女の行動が、思いもよらぬ事態へと発展してゆき………!?
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作品解説
『スーサイド・スクワッド』にて世界中で一躍人気を博した、あのハーレイ・クインがまさかの単独映画で再登場。
ハーレイ・クインを演じたマーゴット・ロビーは当然の如く続投するほか、『スター・ウォーズ』シリーズのオビ=ワン役で知られるユアン・マクレガーがヴィラン役で出演している。
今作の監督を務めたキャシー・ヤンは、『ワンダーウーマン』のパティ・ジェンキンスに次ぐ、史上2人目のヒーロー映画を監督した女性監督となった(アジア系では世界初となる)。
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天真爛漫にして狂瀾怒濤、アメコミ界最狂の女ことハーレイ・クイン。コミックでも絶大な人気を誇る彼女だが、DCEUでの実写映画の公開に伴い不動の地位を確立したと言える。
そんな大人気キャラクターである彼女がスピンオフ映画の主役を担うとなると、その影響力は言わずもがな絶大だ。
そして今作の制作は、監督からプロデューサー、撮影から音楽に至るまで、撮影スタッフ全員が女性という異例のスタイルが取られている。
それに伴って、映画に登場する主要人物たち(ヴィランは除く)もまた全員女性であり、内容も若干ではあるがフェミニズム的なテイストとなっている。
しかしだからといって小難しい構成というわけでもなく、しっかりとハーレイ・クインを魅せる作りとなっているので初見の人でも安心。
ノリとしては『スーサイド・スクワッド』と同様かな〜りユルめなので、軽く鑑賞に臨めるのもポイントかも。
ハーレイ・クインのハーレイ・クインによるハーレイ・クインの、ひいては世知辛い世の中を生きる強き女性の強き女性による強き女性の為の映画。
こんなにも自由奔放なエネルギーに満ち溢れた映画は、アメコミ映画でなくとも史上初なのではなかろうか。
《後編》へつづく………(軽めのあとがき)
大変お久しぶりでございます。水綿でございます。
実に1ヶ月ぶりの更新………流石にこれはサボりすぎたね。まぁあれもこれも全てポケモンが楽しすぎるのが悪いということで………
先月『アクアマン/失われた王国』が公開され、DCEUが遂にその幕を閉じたということで今回執筆に至ったわけですけれども。
いやぁやはり長いねDCEU。直近で書いたシリーズ解説モノだと『ロッキー』シリーズだけれど、あれもゆーて6作品ぐらいだからねぇ。
こっちなんか16作品よ16作品。前編と後編で分けなきゃやってられませんて。
そんなわけで後編の方ものんび〜りと書いていこうかなと。マイペースにやってきますので何卒。
それでも1ヶ月投稿が空くなんてことはできるだけないようにはしますが………笑
と、いうわけで今回はこの辺で。
それではまた、次の映画にて。