シリーズ解説

エンジンを響かせろ、この「MAD」な世界で。『マッドマックス』シリーズを一挙解説!!

2024年6月12日

『マッドマックス』シリーズとは

核戦争により荒廃した世界。人々は水と食糧と「ガソリン」を求め、奪い合う………

滅びた世界で死闘を繰り広げる、SFディストピア×カーアクション映画、それが『マッドマックス』シリーズだ。

後に続くシリーズ全作品にて監督を務めたジョージ・ミラーと、主演を務めたメル・ギブソンによって始動した。

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『マトリックス』『エイリアン』『ブレードランナー』と、後世の作品に多大なる影響を与えたSF映画は山ほどある。

この『マッドマックス』も、そんな偉大なるSF映画のうち一つ。絵に描いたようなディストピア的な世界観は、あの『北斗の拳』にも影響を大きく与えたという。

また世界観以外にも特筆すべきは、『ワイルド・スピード』にも劣らないとにかくド派手なカーアクション。

主人公のマックスは、自身の愛車(通称”インターセプター”)を乗り回す元警察官。容赦ないカーチェイスで敵を地の果てにまで追い詰める非情な男だ。

そしてそんなマックスに立ち向かう敵たちもまた、破滅的な世界観に相応しい異形の改造車を乗り回すヤベー奴ら。

映画の歴史に毅然と名を刻む、最高にクレイジーかつ歪な「SF × カー」アクション映画シリーズ、その大いなる伝説を、共に走り抜けよう。

イカれた世界に燻る、復讐の狼煙。『マッドマックス』

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『マッドマックス』

("Mad Max")

あらすじ

暴走族が跋扈する、荒廃した近未来の世界。マックス・ロカタンスキーは、そんな暴走族を取り締まる敏腕の特殊警察官だ。

ある日、警官殺しの凶悪犯であるナイトライダーを、改造パトカーにして自身の愛車である「V8インターセプター」に搭乗したマックスが追跡。

追い詰められたナイトライダーは、猛スピードのまま運転を誤りそのまま事故死。これにより暴走族は、マックスへ報復することに。

次々と警察を襲撃し、逆にマックスを追い詰めていく暴走族たち。その底知れぬ復讐は止まることを知らず、次第にマックスの仲間たち、そして最愛の家族さえも手にかけてしまう。

数日のうちに自身の全てを失ってしまったマックスは、暴走族へ復讐することを決意。静かなる怒りと共に、インターセプターのエンジンが鳴り響く………

作品概要

ジョージ・ミラー、そしてメル・ギブソンの出世作となったシリーズ第一弾。

今となってはハリウッドを代表する2人だが、1979年当時は全くの無名。その為、今作は低予算で制作された背景がある。

しかし公開されるや否や、空前の大ヒットを記録。「制作費と興行収入の差が最も大きい映画」(当時)としてギネスブックに登録されたほどだ。

またカーアクション映画ということで、現場では多くのアクションシーンが撮影された………それもかな〜〜〜り危険な方法で。

車に突き飛ばされる、バイクに轢かれる、爆発に巻き込まれる………などなど、アクション映画らしいシーンが盛り沢山。スタントマンの心労や如何に………

https://eiga.com/movie/49674/

荒廃した近未来の世界観………ということで、ボロボロな建造物が立ち並ぶディストピアな世界を想像するかもしれないが、それは次回作からの話。

低予算で制作されたということで、撮影はオーストラリアの田舎道を利用して行われた。スクリーンに映る建物も極力排除したとのこと。

………つまり一部の人には、ただの田舎道で暴走族と警察がカーチェイスするだけの映画に映ってしまうのである。どうもその「荒廃した世界観」が見当たらないのだ。

だがそんな「ディストピアなSF」が不足してしまった人たちはどうか安心して欲しい。次回作以降からはしっかりとセットを作り込んでいらっしゃるので。

狂った世界で、生き残れ。『マッドマックス2』

https://eiga.com/movie/49675/photo/

『マッドマックス2』

("Mad Max 2")

あらすじ

元・特殊警察官、マックス・ロカタンスキーの壮絶なる復讐劇から数年後。

大国間での戦争が激化し、地球全体を巻き込んだ世界大戦により、遂に人類の文明は崩壊

人々は地球に残された稀有な資源である石油を巡り、血で血を洗う過酷な日々を過ごしていた。

しかしその一方で、マックスは愛する家族を目の前で失ってしまったことで、心にを抱えたまま世界を放浪していた………自身の愛車、V8インターセプターと共に。

そんな中、マックスは暴走族からの襲撃に遭った直後に一機のオートジャイロを発見する。そのパイロットを問い詰めたところ、付近に石油精製所がありそこを目指しているとのことだった。

だがその石油精製所は、暴走族の集団により独裁的な支配を受けていた。付近に住む住民は、マックスに助けを乞う。

そんな彼らの願いを他所に「ガソリンだけ持って帰る」と言い張るマックス。だがその胸の内には、かつて家族を一身に守っていた優しいマックスが眠っていた。

このイカれた世界に、優しさはあるのか。葛藤するマックスが、最終的に取った決断とは………

作品概要

シリーズ第2作目。前作に引き続き、ジョージ・ミラーが監督を、メル・ギブソンが主演を務める。

前作の直後、戦争の激化により世界は滅亡。故に世界観は前作の倍以上に荒廃しており、それに伴い登場人物たちの服装もより荒々しいものとなっている。

だがこうしたディストピアチックな世界観は、『北斗の拳』や多くのSF作品、そして後に続くシリーズタイトルに多大なる影響を与えることになった。

https://eiga.com/movie/49675/

また、前作では正義感の強い熱血漢だったマックスが、今作では完全に心を閉ざし冷酷な男に。

漆黒のジャケットを身に纏い、ショットガン片手にジリジリとこちらへ歩み寄る姿はどんな暴走族よりも威圧的だ。

前作では己の復讐、即ち「己の為」だけに壮絶な戦いへ身を投じたマックス。変わって今作は、心を閉ざしたはずのマックスが「他者の為」に戦いへ挑むことになる。

どれだけ冷酷になろうとも、既に捨て去ったはずの他者への心を未だ捨て切れずにいるマックス。

壮絶な復讐を遂げた主人公のその後として、まさに理想的な続編と言えるだろう。

駆け抜けろ、稲妻の如し。『マッドマックス/サンダードーム』

https://eiga.com/movie/49676/photo/

『マッドマックス/サンダードーム』

("Mad Max Beyond Thunderdome")

あらすじ

荒野を彷徨う男、マックス・ロカタンスキー。数々の過酷な戦いを乗り越えてきた彼だったが、油断した隙に自身の荷物を全て奪われてしまう。

仕方なく徒歩で砂漠を彷徨ううちに、マックスは「バータータウン」なる大型の都市に辿り着く。そこは「略奪」でなく、対等な「物々交換」を掟とする街だった。

街の統治者であるアウンティに腕を買われたマックスは、荷物の返却を条件に街の象徴である闘技場、サンダードームでの決闘を言い渡される。

渋々承諾したマックスの前に立ちはだかったのは、街の裏の支配者ことマスター・ブラスター

街の住民の熱狂が鳴り響く中、辛くも勝利を収めたマックスだったが、命を奪うことはないとトドメを刺すことを躊躇ってしまう。

サンダードームの中において、定められた規則は絶対。そんな規則を破ってしまったマックスは、砂漠に1人追放されることになってしまう。

砂漠に1人、意識を失ってしまうマックス。目を覚ますと、そこには自然の溢れるオアシスが広がっていた。

オアシスの中、謎の部族に囲まれ困惑するマックス。やがて部族の人々は、マックスを「救世主」として崇め始めて………?

作品概要

シリーズ3作目。1・2作目同様ジョージ・ミラーが監督を、メル・ギブソンが主演をそれぞれ務めるのに加え、

「ロックン・ロールの女王」ことティナ・ターナーが主要人物として出演している。

従来の作品においてシリーズの醍醐味であったカーチェイスアクションは控えめに、タイトルにもあるようにサンダードームでの戦いがメインテーマとなっている。

ただし、そのカーチェイスも「控えめ」ってだけで、終盤ではしっかりとMADなカーチェイスをお披露目してくれるので安心されたし。

https://eiga.com/movie/49676/

シリーズそれぞれのタイトルのメインテーマを、1作目を「復讐」、2作目を「葛藤」とするならば、3作目である今作は「冒険」といったところか。

今までは荒れ果てた砂漠と建物しか拝むことができなかった『マッドマックス』シリーズだが、今作では巨大な都市にオアシスと目新しい舞台が数々登場。

加えて、核戦争により崩壊した都市群(通称「トゥモロー・ランド」)の登場も今作が初。

今までは核戦争による文明の崩壊と聞いてもあまりピンと来なかったが、崩壊したNYの光景が、その現実味をより強調している。

そして周知の通り、今作にてメル・ギブソンを主演とする『マッドマックス』シリーズはこれにて終了

哀愁渋みを携えた、メルギブ版マックス・ロカタンスキーもこれにて見納めである。

寂しい気もするが、少なくとも私はもう一度メルギブ版『マッドマックス』を拝むことができると信じている。頼みましたよ、監督………

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