MCUとは
アメリカン・コミック、通称「アメコミ」。その名の通りアメリカで刊行された、数々のコミック作品の総称を指す。
1938年、「Action Comics」第1号にて初登場した世界初のスーパーヒーロー『スーパーマン』を革切りに、世界中でアメコミが流行。
やがてスーパーマンはDCコミックスというアメコミ出版社出身のヒーローとして世に知れ渡る訳だが、そんなDCコミックスと双璧をなす出版社がマーベル・コミックスだ。
鋼鉄のスーツと多種多様な武器を用いて戦う「アイアンマン」、圧倒的な身体能力と手から糸を出す能力で戦う「スパイダーマン」、その他数多くのヒーローたちが生み出された。
そして、DCコミックスにおける1978年公開『スーパーマン』や1989年『バットマン』のように、コミック原作の実写映画が制作されるという流れにマーベルも乗じることに。
元々の作品の高い人気が相まって、DCコミックスと同等かそれ以上の人気を博すことになった。
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1998年にウェズリー・スナイプス主演『ブレイド』が公開され、2000年にはスーパーヒーロー・チーム「X-MEN」の活躍を描いた『X-メン』が公開。どちらも興行的に成功を収めた。
2002年にはサム・ライミ監督による『スパイダーマン』が公開され、世界的に大ヒット。公開当時における、アメコミを原作とする映画作品において最も成功した作品となった。
そして2008年公開『アイアンマン』を皮切りに、複数の作品が同一の世界観を有する「シェアード・ユニバース」方式をとったシリーズ「MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)」が始動。
その後の動きは………最早事細かに話す必要もないだろう。毎年最新作が発表され、その度に特大級のヒットを連発。
中には全世界映画興行収入ランキングを塗り替えたタイトルも。突如としてハリウッドの常識を塗り替えた、その名の通りの「衝撃」である。
また、こうした「シェアード・ユニバース」方式の制作方針がヒットを叩き出すや否や、他の製作会社もこれを真似するように。
ライバル社であるDCコミックスから「DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)」、レジェンダリーからは「モンスター・バース」などが登場。
あるシリーズは成功を奏し、あるシリーズは赤字を叩き出し、あるシリーズは打ち切りになり………と、アメコミのみならずハリウッド全体に多大な影響を及ぼした。
「フェーズ1」とは
20本をゆうに超える作品たち全ての世界観が繋がっており、今や世界最大の映画シリーズとして名を刻むこととなったMCU。
いちシリーズとして考えると大変恐ろしく聞こえるが………ましてや『007』みたく主人公が変わるごとにストーリーが変わるわけでもなく、全て同一の世界観を有しているのだから尚恐ろしい。
このため、MCUは何本かの作品をまとめて「フェーズ」として区切りをつけている。
現在までにフェーズ5までが制作されており、そこからさらに大きく括ってフェーズ1〜3を「インフィニティ・サーガ」、フェーズ4以降を「マルチバース・サーガ」と位置付けている。
今回紹介するフェーズ1を一言で言い表すならば、MCUの壮大な物語におけるプロローグといったところか。
アイアンマン、ハルク、ソー、キャプテン・アメリカ………MCUを代表するヒーローたちが初登場し、やがて宇宙最強のチーム「アベンジャーズ」へと集結する………
こうした流れは今後のフェーズにおいても共通しており、まさにMCUを象徴する制作方針と言えよう。
MCUをしっかりと楽しみたいのであれば、まずはこのフェーズ1から順番に観ていくことを強くオススメする。その方がストーリーをさらいやすいので。
身に纏え。『アイアンマン』
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『アイアンマン』
("Iron Man")
あらすじ
世界最大の軍需産業を誇る大企業、スターク・インダストリーズ。社長であるトニー・スタークは、新兵器「ジェリコ」のプレゼンをすべくアフガニスタンへ向かっていた。
だがその途中、テロ組織「テン・リングス」からの襲撃を受け、囚われの身となってしまう。そこで目にしたのは、自身が開発した数々の兵器たちだった。
世界平和のために兵器開発を続けていたはずが、その真逆でテロ組織の手に渡っていたことに驚愕するスターク。
さらに自分の心臓の近くには爆弾の破片が刺さっており、機械で破片を留めておかなれけば一週間で命を落としてしまうという絶体絶命の状況に。
意を決した彼は、同じく囚われの身となっていたインセンと共に、大量のエネルギーを放出すると共に生命の維持を可能とする、小型のアーク・リアクターを開発。
上手く見張りの目を誤魔化し、脱出計画を企てるトニーとインセン。やがてトニーは、ここから脱出するために必要なものの設計図を完成させる。
それは、鋼鉄の装甲と無数の武器を兼ね備えた、一つの巨大な「スーツ」だった………。
後に「アイアンマン」としてアメリカを、ひいては世界そのものを救う男の壮大なる誕生の物語が、今幕を開ける。
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作品解説
MCUを語る上で、やはりこの男は外せない………トニー・スターク/アイアンマンのオリジンを描いた、MCU伝説の一作目『アイアンマン』だ。
監督を務めるは、劇中におけるトニーの右腕、ハッピー・ホーガン役で知られるジョン・ファヴロー。
そしてトニー・スターク/アイアンマン役を務めるは、言わずもがなロバート・ダウニー・Jr。
10人中9人が「アイアンマン役を彼以外が演じることはあり得ない!!」と口を揃えて言うほどに、ものの見事に役柄とマッチしている。
プライベートでも「素でトニー・スタークなんじゃないか」と思ってしまうほどに、その一挙一動が彼そのもの。
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今作の製作にあたり、様々なストーリーが生み出されたのは有名な話。最もポピュラーなものでいうとやはり、ダウニーの起用に至るまでの過程だろう。
MCUという一大プロジェクトの先駆けとなる今作、下手に作ってコケてしまうのはマーベル側としても配給側としても避けたいところ。
特に、肝心の主演であるトニー役を誰にするかに関しては何度も論議が起こった模様。有名キャストを起用するとして、あのトム・クルーズの名が挙がった時もあったという。
だがファヴロー監督は「トニー役はコイツじゃなきゃダメなんだ!!!」と一点張り。そんな監督激推しの男こそが、ロバート・ダウニー・Jrだったのだ。
しかしながら、当時のダウニーは薬物所持で何度も刑務所に服役したことのある、いわば問題児。監督を除いた製作陣は「この男を起用することはない」と決めていたそう。
だが同時に、1992年公開『チャーリー』にて英国アカデミー賞の主演男優賞を受賞、アカデミー賞にもノミネートされるなど十分な実力を持つ俳優でもある。
そしてオーディション当日、他の役者たちを見事なまでに圧倒し、トニー役の座につくことに。そして作品が公開されるや否や大ヒットを記録し、同時にダウニーの演技も非常に高い評価を得ることに。
こうして俳優業に完全復活し、その後も様々なヒット作に出演。文字通り、ハリウッドの最前線を駆け抜けるヒットスターとなったのである。
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さて話を戻して『アイアンマン』、多種多様な兵器を用いて戦うということでアクションシーンはとにかくド派手。
掌からのエネルギー波、肩からの小型ミサイル、胸部のアーク・リアクターからのユニビーム。ハイテクノロジーで戦うその姿は、他のヒーローには見られない唯一無二のものだ。
そしてそれに加え、トニーがアイアンマンのスーツを装着していく、いわゆる「変身シーン」もまた魅力的。
ガチャガチャ、ガキィーン………と小気味いい金属音を立てながら、徐々にスーツを装着していく姿は何だか癖になる。
『トランスフォーマー』とかが好きな人はきっとハマるはず。
総じて「男のロマン」をこれでもかと詰め込んだヒーロー映画の傑作と言えよう。その面白さにぶっ飛ぶこと間違いなしである。
暴れろ。『インクレディブル・ハルク』
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『インクレディブル・ハルク』
("The Incredible Hulk")
あらすじ
天才物理学者であるブルース・バナーは、第二次世界大戦中に行われたという軍の極秘計画「スーパーソルジャー計画」にて使用された血清を自身の身体に与え、人体実験を行う。
実験が上手くいけば、ブルースは人智を超えた力を手にすることに。だがその思惑は大きく外れ、思わぬ方向へと傾き始める。
ものの見事に実験は失敗し、ブルースは巨大な全身緑色の理性なき怪物へと変貌。研究所を破壊し尽くし、その後行方をくらませてしまう。
かくして軍から追われる身となってしまったブルースは、ブラジルのリオデジャネイロに潜伏。自身の内に眠る「怪物」を鎮めるために、あらゆる方法を模索していく。
だがひょんなことから、ブルースの血液が工場の製品に入り込んでしまい、結果として軍に所在がバレてしまう事態に。
特殊部隊から徐々に追い詰められ「怪物」が再び目覚めるのを恐れるブルース。だがその思い虚しく、その「怪物」は覚醒してしまう。
緑色の大男、通称「ハルク」は、天高く雄叫びをあげ暴れ始める。その矛先は純然たる怒りか、或いは悲しみか………
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作品解説
MCUのセカンドバッターを務めるは、その巨躯で全てを破壊し尽くす大男「ハルク」。彼もまた、アイアンマンに並ぶマーベルを代表するヒーローだ。
………とはいえ「全てを破壊し尽くす」と聞いて、ハルクをヒーローだと思う人は決して多くはないだろう。どちらかというとヴィラン寄りの印象を持つはずだ。
しかしそんなハルクにも、人を思いやり、悪を誅する心があるのだ。時に暴走する時もあるが、容赦無く敵を打ちのめすその姿はヒーローそのものだ。
話を戻して『インクレディブル・ハルク』、『トランスポーター』や『グランド・イリュージョン』のルイ・レテリエが監督を務め、ブルース・バナーを『ファイト・クラブ』のエドワード・ノートンが演じた。
だがMCUにおけるブルース・バナー役と聞かれ、真っ先に思いつくのはエドワード………ではなくマーク・ラファロだろう。後述する『アベンジャーズ』を機に、キャスティングが変更となったのだ。
どうやら映画の編集段階でマーベルとの衝突があった模様。同じく『アイアンマン』に出演したローディ(後の「ウォーマシン」)役のテレンス・ハワードも、マーベルと対立し役を降りている。
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前作『アイアンマン』とは打って変わって、終始シリアスな雰囲気が続く今作。天下のMCUとは言えどまだまだ序盤なので、多少の方向性のブレは仕方ないが。
だが観客からの評価や興行的にはあまり芳しくなく、現在までに公開されてきたMCU作品の中で最も興行収入が低い作品とのこと。
内容のほとんどがMCUのストーリーにあまり関わっていないことから「MCUを追う上で『インクレディブル・ハルク』は観なくてもOK」とまで言われている始末。
しかしながら、ヒーローの中でも特段大きな巨躯とフィジカルを持つハルクが、対複数相手に暴れまくる様は痛快極まりない。
戦車を持ち上げ、地を抉り、銃弾を物ともしない、まさに文字通りの「無敵のヒーロー」すぎるハルク。
強すぎる代わりに知能が低い、という点が良くも悪くも唯一の救いというべきか。
履修不要の作品として無視するのは大変勿体ないので是非とも観ていただきたいところ。終始シリアスなMCUもまたある意味新鮮で面白いのでね。
立ち上がれ。『アイアンマン2』
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『アイアンマン2』
("Iron Man 2")
あらすじ
億万長者の実業家、トニー・スターク。軍需産業から撤退してはや半年、鋼鉄のスーツを身に纏い戦うヒーロー「アイアンマン」として大活躍を遂げていた。
しかしスタークは、ある重要な問題に直面していた。自身の命を繋げている胸の装置、アーク・リアクターから放出される毒素に身体を蝕まれているのだ。
加えてアメリカの政府からは、アイアンマンの強大な力をスタークのみが独断で使用することを恐れ、スーツを政府に渡すようにと強請られる始末。
さらにそんな最中、スタークに私怨を抱くロシアの科学者であるイワン・ヴァンコが、スターク同様自身の手でアーク・リアクターを開発。
強力な電流を鞭として放つヴィラン「ウィップラッシュ」として、スタークの元を襲撃してきたのだ。
かくしてスーパーヒーローであるはずの「アイアンマン」存続の危機に晒されることとなったスターク。立ちはだかる試練たちに、スタークが出した答えとは………
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作品解説
MCUの基礎を築いた『アイアンマン』、その続編。監督を引き続きジョン・ファヴロー、主役であるトニー・スターク/アイアンマンをロバート・ダウニー・Jr.が務める。
今作からは第二のアイアンマンともいうべきヒーローであるローディ/ウォーマシン(ドン・チードル)や、S.H.I.E.L.D.の長官であるニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)、
謎の女スパイことナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)など、後のタイトルでも活躍するキャラクターたちが数多く登場。
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男なら誰もが燃え上がるメカメカしいアイアンマンのスーツや、強力な兵器を使用した大迫力なアクションなど、1作目にしてMCUに大きな爪痕を残した『アイアンマン』。
今作『アイアンマン2』では、そんな『アイアンマン』の魅力をいいとこ取りし、さらにアップデート。新たに3種類の新たなアイアンマンスーツを拝むことができる。
特にスーツケースから展開されるマーク5は大人気。携帯可能な代わりに性能はあまり秀でていないという点もまたGood。
またそれに加え、前作以上にトニー・スタークの内面にフォーカスを当てているのも特徴的だ。
劇中にて様々なことが重なり、自暴自棄になってしまっているトニー。世間からは批判され、自身の命すら危うい状態で、そんな中で冷静さを保ちヒーローを続けていくなど到底無理な話だ。
例え億万長者のトニー・スタークであろうとも、例え無敵のヒーローであるアイアンマンであろうとも、綻びは必ず生じる。そんな彼の人間臭い一面を拝むことができるのもまた、今作の魅力だ。
ちなみに他のヒーローの単独映画はフェーズ2以降に続編を公開しているが、1フェーズ内に続編を公開しているのは『アイアンマン』だけ。やはり『インクレディブル・ハルク』の不評が大きかったのか………。
取り戻せ。『マイティ・ソー』
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『マイティ・ソー』
("Thor")
あらすじ
地球から遥か遠く彼方に位置する、神々が住まう国・アスガルド。
アスガルドを統治する神々の王であるオーディンは、雷を司る神であり息子であるソー・オーディンソンに、アスガルドの王位を継承する戴冠式を執り行っていた。
しかしその最中、現在停戦協約を結んでいるはずの敵国・ヨトゥンヘイムからの侵入を受けたとの報告が。
折角の戴冠式が中止を余儀なくされたこと、そしてヨトゥンヘイムが攻めてきたという事実に憤りを覚えるソー。
先手を打つべく、仲間を連れてヨトゥンヘイムへ攻め入るソー。だがそれは敵の罠であり、いくら無敵なソーとはいえど窮地に陥ってしまう。
だがすんでのところで、オーディンがヨトゥンヘイムに降臨。何とか難を逃れたものの、勝手な真似をし仲間の命を死に晒したソーに激怒するオーディン。
かくして両者は対立し、完全にソーを見限ったオーディンは、彼の武器であるムジョルニアなど一切の力を奪い、地球へ追放してしまう。
地球に追放されたソーは、たまたま出会った天才物理学者であるジェーン・フォスターと共に、己の力を取り戻すべく行動し始める。
しかしその一方でアスガルドでは、今回の騒動における「黒幕」の陰謀が静かに、静かに渦巻いていた………
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作品解説
鋼鉄のヒーローに大男のヒーロー、さて次なるヒーローとは誰なのかと思いきや、現れたのはまさかの「神様」。粗暴だけど根は良い奴な雷神・ソーの登場だ。
監督を担当したのは、のちに実写版『シンデレラ』にて監督を務めるケネス・ブラナー。
主人公であるソーをクリス・ヘムズワース、ソーの弟にして悪戯の神・ロキをトム・ヒドルストン、そしてジェーン・フォスターをナタリー・ポートマンが演じた。
S.H.I.E.L.Dのエージェント・コールソンも登場する他、アベンジャーズの初期メンバーとして知られるクリント・バートン/ホークアイが今作から初登場。
他にも浅野忠信やアンソニー・ホプキンス、イドリス・エルバにステラン・スカルスガルドなど、著名な俳優が集結している。
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『アイアンマン1・2』に『ハルク』と、現代の世界を舞台にストーリーが繰り広げられてきたMCU。
ところが今作『マイティ・ソー』の舞台はまさかの神々の世界。地球に留まっていたMCUの世界観は、一気に空想の領域にまで広がった。
だが劇中通してずっとアスガルドを舞台にしている訳ではなく、基本的には人間界に迷い込んだソーの活躍をメインに描かれている。
本来は交わらないハズの二つの世界が、ソーという主人公を通して繋がっていく展開はとても飲み込みやすく、何の違和感なく調和しているのだ。
そして何よりも、ハルクに匹敵する怪力と、圧倒的な破壊力を誇る雷の力、そして最強のハンマー・ムジョルニアを自在に扱う神様ヒーロー・ソーの登場は大きいと言える。
後の『アベンジャーズ』においても、チームの主力メンバーとして大活躍を見せているソー。アイアンマンなどに並ぶ、MCUを代表するヒーローの1人の降臨だ。
抗え。『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』
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『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』
("Captain America: The First Avenger")
あらすじ
第二次世界大戦中のアメリカ。ナチスに対抗すべく、日々数多くの若者が兵士に志願する中、1人だけ色んな意味で異彩を放っている男がいた。
男の名はスティーブ・ロジャース。病弱で背が低く、およそ兵士とは呼べぬほど貧弱な身体を持つ彼だが、その代わりに人一倍の愛国心、そして揺るぎない正義の心を持っていた。
そんなスティーブを見抜いたアースキン博士は、スティーブを即刻軍隊へ入隊させた後に、博士が主導する極秘プロジェクト………「スーパーソルジャー計画」の話を持ちかける。
特殊な血清を体内に打ち込み、身体の仕組みを急速かつ急激に変化させることで、文字通り「超人兵士」を作り上げようという計画。
ナチス、ひいてはアメリカに仇なす敵を討ち倒すため、スティーブは計画に賛同。かくしてアメリカの伝説の英雄として歴史に名を残す「キャプテン・アメリカ」が誕生したのだった。
だがそれと同時に、ナチスの将校であるシュミット、通称「レッドスカル」が主導する秘密組織・ヒドラの魔の手が、密かにアメリカへと忍び寄ろうとしていた。
祖国を守るため、戦争を終わらせ平和を取り戻すため、スティーブは終わりなき戦いへと身を投じる………星条旗を模った、全てを守り抜く「盾」と共に。
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作品解説
MCU5作品目に躍り出たのは、これまたMCUを代表するヒーローであり、アベンジャーズのリーダー的存在「キャプテン・アメリカ」だ。
『ジュマンジ』や『ジュラシック・パークⅢ』のジョー・ジョンストンが監督を務め、FOX製作のマーベル映画『ファンタスティック・フォー』にも出演したクリス・エヴァンスが主役を務めた。
『アイアンマン』などと同様現代を舞台にしてはいるものの、時代は第二次世界大戦の最中である1940年代。それ故に、ヒーロー映画では珍しい戦争色が強い作品となっている。
トニー・スターク/アイアンマンの父親であるハワード・スタークが主要人物として登場しているなど、他作品との繋がりも所々見受けられる。
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数多の兵器を自在に扱うアイアンマン。全てを破壊し尽くす怪力を持つハルク。天をも焼き尽くす雷の力を司るソー。今までMCUに登場してきたヒーローたちは、必ず何らかの特殊能力を持っていた。
ところがキャプテン・アメリカは、卓越した身体能力以外に特殊能力を持っていない。対人の戦闘においては申し分ない強さを誇るが、それでも他のヒーローとは若干見劣りしてしまう部分は否めない。
キャプテンの持つ盾は特殊な鉱物であるヴィヴラニウムを使用しており、防御以外にも投擲による攻撃も可能なため、一応特殊能力の一部と言えるかもしれない。
では何故、彼がアベンジャーズのリーダーとして抜擢されているのか。その最たる理由とは即ち、誰にも負けないほどの「不屈の精神」である。
どれだけ打ちのめされようとも、どれだけボロボロになろうとも、何度でも何度でも立ち上がる………己が信じる正義と、実現しなくてはならない平和のために。
ヒーローがヒーローたる最大の所以を、このキャプテン・アメリカはたった1人、その身で体現してみせているのだ。その姿はまさしくヒーローの中のヒーローである。
颯爽と地を駆け、敵を次々と薙ぎ倒していく姿は、他のヒーローたちとはまた違った魅力を持ち合わせていると言えるだろう。
集結せよ。『アベンジャーズ』
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『アベンジャーズ』
("Marvel's The Avengers")
あらすじ
異次元のエネルギーを持つ謎の物体、四次元キューブ。数十年前に回収されて以降、S.H.I.E.L.Dの管轄の元研究が進められていた。
しかし突如としてキューブが暴走し、謎のワームホールが出現。そこから現れたのは、アスガルドにて消息を絶ったハズの悪戯の神・ロキだった。
アスガルドの次は地球を征服することを企んだロキは、四次元キューブを手に入れるべく研究所を襲撃。エリック・セルヴィグ博士やクリント・バートン/ホークアイを洗脳した後、逃走を図る。
事態を重く受け止めたS.H.I.E.L.Dの長官、ニック・フューリーは、この未曾有の脅威に対抗すべく世界各地に散らばる超人たち、即ち「ヒーロー」たちを集結させることに。
かくして集ったのは、それぞれが特殊能力を持った5人のヒーローたち。
大富豪兼ヒーロー、トニー・スターク/アイアンマン。アスガルドの雷神、ソー。怒れる大男、ブルース・バナー/ハルク。
妖艶なる女スパイ、ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ。そして長き眠りから目覚めた英雄、スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ。
ロキの野望を止めるため、そして世界を救うために、世界最強のヒーローチーム「アベンジャーズ」が今、動き出す。
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作品解説
複数の作品が同一の世界観・世界線を持ち、最後に全ての作品たちが合流し一つの映画となる………MCUが世界を制した、その最たる理由こそが今作『アベンジャーズ』だ。
監督・脚本を務めたのはジョス・ウェドン。今までMCUとして公開されてきた作品たちにて主役を務めた、ロバート・ダウニー・Jr.、クリス・エヴァンス、クリス・ヘムズワース、他多数のキャストが集結した。
『インクレディブル・ハルク』のブルース・バナー/ハルク役のエドワード・ノートンは降板し、代わりに今作からマーク・ラファロが新たにキャスティングされた。
2012年に公開され、批評的にも興行的にも大成功を収めた今作。『アバター』『タイタニック』に次いで、当時の世界興行収入ランキングにて3位を記録し、現在も11位と高水準を保っている。
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ヒーローたちが集結し、力を合わせて敵を倒す………在り来たりな展開ではあるが、凄まじく胸熱なのはいうまでもない。
死力を尽くして悪を倒してきた、そんな百戦錬磨のヒーローたちが今度はチームで大暴れ。果たして彼らに敵う敵など存在するのかと思わざるを得ない、文字通り最強のチームだ。
………とはいえど、最初から仲良しこよしなチームではないのもまた「アベンジャーズ」。時には意見が割れ、仲間同士で衝突してしまうことも(大体はトニーの発言のせいだが)。
今すぐ結束して戦わないとマズいのに何をやっているんだ、と少し苛立ちを覚える部分ももしかするとあるかもしれない。
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しかしだからこそ、遂に全員が力を合わせ戦う時の胸熱っぷりが際立つのである。今やMCUのテーマ曲となった『アベンジャーズのテーマ』をはじめ、とにかく興奮が永遠に冷めない瞬間の連続。
アイアンマンのレーザーをキャプテンの盾で反射させ敵を薙ぎ払う、などさっきまでの仲の悪さが嘘に見えるほどの連携プレイもまた非常に魅力的。
2008年に『アイアンマン』が公開され4年、MCUは早々にハリウッドの歴史にその名を永遠に刻むことになった。
だが周知の通り、MCUの快進撃はこの程度じゃまだまだ終わらない。これまでもこれからも、MCUは絶えず進化し続けていくのである。
あとがき(まとめ)
どんな検索エンジンでも「MCU」と検索して、まず出てくる候補が「MCU 時系列」や「MCU 見る順番」などなど。
まぁ要するに何かと需要が高いMCUな訳ですが、逆を言えばやり尽くされている手でもある訳で。現にDisney+もそういう系の記事を出してるし。
しかし私はそれでも尚書くのです。何故かってただ書きたいからね。やっぱり私は、いつでも「映画について文章を書きたい」という欲求を大事にしていきたい訳ですよ。
そんなこったで今後はちょくちょくMCUの解説記事を書いていくと思いますが何卒。これからも暇つぶし程度に読める記事作りを続けて参ります。
と、変な宣誓をしたところで今回はこの辺で。
https://eiga.com/movie/53456/gallery/26/
それではまた、次の映画にて。