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【最新映画レビュー】「破壊」の継承とトランスフォーム。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』レビュー&感想

https://eiga.com/movie/95267/gallery/17/

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』

"Transformers: Rise of the Beasts"

作品概要

車やジェット機がロボットに変形!!タカラトミー発、世界的な人気を誇る『トランスフォーマー』(以下『TF』)の最新映画が遂に登場だ。

知っての通り『TF』の映画化はこれが初めてではない。2007年『アルマゲドン』マイケル・ベイが監督を務め、2017年『〜最後の騎士王』までシリーズは続いた。

しかしながらその人気はシリーズを追うごとに低迷していってしまい『〜最後の騎士王』を最後にシリーズ打ち切りに。伏線回収もしきれないまま、ベイ監督にとっては実に不服な終わり方となってしまった。

一方、2018年公開の『TF』の人気キャラ・バンブルビースピンオフ『バンブルビー』が大ヒットを記録。かつてベイ監督が手がけたシリーズの興行収入を大きく上回る結果となった。

そして今作『〜ビースト覚醒』はこの『バンブルビー』から地続きの作品となる。作中のトランスフォーマーたちの姿も映画オリジナルのデザインではなく玩具のデザインに準じている。

今作の目玉となるのは、車などの乗り物がロボットへと変形する「オートボット」とは異なり、動物がロボットへと変形する「マキシマル」

ゴリラを模したオプティマス・プライマル、鷹を模したエアレイザーなどが映画で初登場。

そんなマクシマルたちは、TVアニメシリーズ『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』からの登場。かつて「声優無法地帯」としてアニメ界に名を轟かせた名作(?)である。

いつも通り、オートボット側の主人公であるオプティマス・プライムの声優はピーター・カレンが続投。しかしながら、前作『バンブルビー』にて人間の主要キャラを演じたヘイリー・スタインフェルドジョン・シナは今作では登場しない模様。

新たなる機械戦士たちを迎え、『TF』は誰もが経験したことのない境地へ。

彼らと共に、戦いの渦中へ飛び込む勇気はあるか?いざ、出撃だ。

https://eiga.com/movie/95267/gallery/6/

あらすじ

惑星一つ分の巨体を誇るトランスフォーマー「ユニクロン」惑星そのものを喰らい自らの糧とする彼は、長年飢えに苛まれてきた。

地球を次の餌として選んだユニクロンは、最も忠実な部下「スカージ」を送り込む。

故郷であるサイバトロンに帰るべく地球に潜伏していた正義のトランスフォーマー「オートボット」たち、そのリーダーであるオプティマス・プライムは仲間たちを招集。

その一方で、家計が厳しく車の盗難を試みる人間の青年ノアは、不幸にもオートボットが変形した車に乗り合わせてしまう。

おちゃらけた性格のオートボット・ミラージュの計らいによって、ノアもオートボットの計画に意図せず参加するのだった。

しかしながら、地球に出現したスカージの力は強力。苦戦を強いられるオートボットたちのもとに現れたのは、同じく機械生命体であり動物の姿に変形する「マキシマル」だった。

マクシマルの故郷はかつてスカージとユニクロンに滅ぼされ、このままでは地球もその二の舞に。それを阻止すべく、オプティマスたちは戦いに立ち上がる。

オートボット&マクシマル VS スカージ&ユニクロン………シリーズ最高峰のスケールで繰り広げられる大決戦果たして地球の命運や如何に。

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見所解説①これを無くして『TF』は語れない!!男の浪漫迸る「変形バトル」

『TF』が『TF』たる理由として欠かせないのが、やはり変形《トランスフォーム》の存在。車がガチャガチャと音を立てながら変形していく様に、私含め数多くの男の子諸君の心が奪われたことだろう。

映画『TF』のトランスフォーマーたちのメカメカしさは凄まじく、特にベイ監督の『トランスフォーマー』におけるCGのクオリティは2007年当時の技術とは到底思えないほどに緻密だ。

その一方で、今作や『バンブルビー』におけるトランスフォーマーの変形は(一部を除いて)かなりシンプルなものとなっている。ガチャガチャ音などのメカニックな要素は控えめに、比較的あっさりとした変形が特徴的だ。

だがそれでも尚かっこよさが引き立つのが『TF』唯一無二の特徴。そしてその真髄は「変形しながら戦う」という点にある。

車に変形し運転しながら攻撃、そこからロボットに変形して突進、或いはロボットの状態から身体の一部を変形させつつ攻撃………その方法は実に多岐にわたる。

https://eiga.com/movie/95267/gallery/9/

「そういう方法があったか!!」と気づきを与えてくれると共に「男の浪漫」擽るその様に心を震わされる………。

車とロボットに都度変形しながらの戦闘、そこから生まれるギミック疾走感。これこそが『TF』の真骨頂と言えよう。

見所解説②「ハリウッドの破壊王」が築いたものの「継承」

超危険な撮影を行うことから、ローランド・エメリッヒと並び「ハリウッドの破壊王」と称されるマイケル・ベイ監督。

https://eiga.com/movie/53181/gallery/25/

2007年、スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮に迎え『トランスフォーマー』を制作。

そこから『〜リベンジ』『〜ダークサイド・ムーン』『〜ロストエイジ』『〜最後の騎士王』と、代々シリーズを手掛けてきた。

そんなマイケル・ベイ、今作では製作として参加。『TF』シリーズとは切っても切れない関係にあるベイ監督、人気の低迷によりシリーズ打ち切りとなってしまった彼は今、『TF』にどんな思いを馳せているのだろうか。

監督が違うので当然だが、やはり今作の『TF』は今までのと大分雰囲気が異なる。先述した変形シーンも含め、今作はとてもあっさりとした印象を受ける。

思えば、今までの『TF』はベイ監督の作風………所謂「ベイ節」との親和性が高かったのではないかと思われる。

ギラギラとした車体が、瞬く間に巨大なロボットへと変形し、爆風と塵が舞う戦場にて死闘を繰り広げるその様。

ベイ監督がカーチェイスシーンの撮影を得意としていたのも含め、『TF』とベイ監督は相性抜群だったと言えるだろう。今作がイマイチ話題にならない理由は、もしかするとそこにあるのかもしれない。

………がしかし、いくら濃厚な豚骨ラーメンが美味しくても、いつかは胃もたれして飽きが来てしまうもの。事実、ベイ版『TF』は無念にも終わりを告げてしまった。

故に今作は、胃もたれした『TF』に「味変」をもたらしてくれるもの、という見方もできる。さしずめ『TF』は後世まで語り継がれる超人気店舗、そう簡単にファンが離れる訳でもない。

これから順次制作・公開されていくであろうシリーズで、果たしてどんな斬新な味を我々観客に提供してくれるのか………是非とも期待していきたい。

個人的な感想

と、ここまでベイ版『TF』と今作との相違点を語ってきた訳だが、私自身はどう思っているのかここでハッキリとしておこう………簡潔に言うと「私はやはりマイケル・ベイを忘れられない」だろうか。

『TF』が私の性癖にブッ刺さった、その主な理由は言うまでもなくトランスフォーマーが変形することによって生まれる「男の浪漫」だ。

だがひとえに「変形」と言えども、その様子はやはりベイ版と今作とでは大きく異なる。機械のガチャガチャスタイリッシュさ、そのどちらを重視するかで感想は大分違ってくる。

先述したように、『TF』の醍醐味とは「変形しながら戦う」という点にある。しかしながら、今作にはそういった描写はあまり見受けられない。

https://eiga.com/movie/95267/gallery/11/

また『TF』には人間の存在も欠かせない。ベイ版においても、シャイア・ラブーフ演じるサム・ウィットウィッキーの存在は非常に印象深い。

今作でもノアという名の人間が登場するのだが………どうしても影の薄さを感じざるを得ない。

さらに言えば、途中で繰り広げられる『インディ・ジョーンズ』もどきの遺跡を探検するシーンも、正直必要性を感じられなかった。

私は今作の鑑賞を通して、前者………すなわちマイケル・ベイが作り出す『TF』が好きだったんだなぁと再確認。

故に今作を鑑賞した後に、若干肩透かしを喰らってしまったような感覚に襲われたのである。

ベイ監督の作品にはある種の「泥臭さ」があり、それが刺さる人には深く刺さる。私もその例に漏れず、心の臓へと突き刺さってしまったのだ。

では何故『バンブルビー』は大ヒットしたのか、それはズバリ「スピンオフだから」だろうか。しかしその立ち位置に甘えず、『TF』の1作品としても十分な完成度を誇っていた点はしっかりと評価したい。

とはいえど、決して今作が「面白くなかった」訳ではない。マクシマルの登場、シリーズ最大の敵ユニクロンの降臨、そして前代未聞の「人間が変形《トランスフォーム》する」という展開。

今までのような独特な雰囲気は薄れていってしまっているものの、純粋な娯楽作としては十分に面白い………そこはさすが『TF』だというべきだろう。

今後どんな展開が繰り広げられるのか、今からでも楽しみだ。

まとめ(あとがき)

今後『〜ビースト覚醒』を軸に『TF』のシリーズ展開が為されていくだろうが、次回作はどうなるのだろうか。

個人的にはメガトロンスタースクリームあたりのディセプティコンが出てきて欲しかったり。私がスタスクが一番好きなのも含め。

にしても、またもや1ヶ月遅れの投稿………やばいなぁ。ボヤッとしてるとあっという間に時間が経ってしまう。

というわけで、今回はこの辺で。8月の公開作品、まだまだ書けていないので頑張らねば。

https://eiga.com/movie/95267/gallery/7/

それではまた、次の映画にて。

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