.jpg)
はじめに
サヨナラ2024、はじめまして2025。
というわけでやってまいりました、2024年下半期公開映画のランキングでございます。
毎度、ベタに「2024年ランキングBEST 10」でよくない??とも思うが、上半期と下半期に分けた方がより多くの映画を取り上げられるのでね。
相変わらず私の主観によるランキングですので悪しからず。この映画が入ってないのはおかしい!!なんてのはよしてくださいね。
下半期も大変豊作、というか上半期を超える豪華絢爛っぷりで個人的にビックリ仰天でございます。
それではどうぞ〜〜〜
《上半期のランキングはこちら》
10位
https://eiga.com/movie/101640/gallery/7/
『トランスフォーマー/ONE』
("Transformers One")
様々な乗り物に変身することができる金属生命体、通称「トランスフォーマー」たちの戦いを描いた『トランスフォーマー』シリーズ。
今作では、正義のトランスフォーマー・オートボットたちのリーダーであるオプティマス・プライムと、悪のトランスフォーマー・ディセプティコンたちのリーダーであるメガトロンの若き頃が描かれる。
ハリウッドにおいてはマイケル・ベイの手により実写映画化されてきたが、今作はシリーズ初となる3DCGアニメーション作品となる。
監督はディズニーピクサー作品にてアニメーターを務めるジョシュ・クーリー、声優としてクリス・ヘムズワースやスカーレット・ヨハンソンらが出演した。
https://eiga.com/movie/101640/gallery/3/
元々はアニメーション作品としてシリーズが展開されていた『トランスフォーマー』、現代における発達したアニメーションとの相乗効果は言うまでもない。
実写映画シリーズにおけるCGによる「変身」も無論素晴らしいが、アニメーションによって更にスピーディかつギミックに富んだ変身を拝むことができる。
そして今作は、『トランスフォーマー』の物語を語る上で非常に重要な意味を持つ。
オプティマス・プライムとメガトロン………正義と悪の指導者同士であり、数々の作品にて不倶戴天の宿敵として、幾度となく戦いを繰り広げてきた。
しかし今作では、2人はかけがえのない友人同士の関係。今作は2人が対立する前の時代、即ち『トランスフォーマー』シリーズの前日譚となるのである。
かつて「兄弟」同然だった2人に何が起こり、互いが互いに相容れぬ存在となってしまったのか………シリーズを語る上で欠かせない2人だからこそ、ファンにとって非常に大きな意味を持つ作品なのである。
9位
https://eiga.com/movie/101564/gallery/10/
『モンキーマン』
("Monkey Man")
『スラムドッグ$ミリオネア』『グリーンナイト』のデヴ・パテルが主演を務めると共に、初の監督作デビューを果たしたアクション映画。
キアヌ・リーブス主演『ジョン・ウィック』シリーズの製作陣が集結し、それに加えて『NOPE/ノープ』『ゲット・アウト』のジョーダン・ピールが製作を務めた。
元々は『第9地区』『グランツーリスモ』のニール・ブロムカンプが監督を務める予定だったらしいが、彼の推薦でデヴ・パテルが監督に就任した。
https://eiga.com/movie/101564/gallery/
舞台は格差社会が強く広がる現代のインド。歌って踊る、和気藹々としたボリウッドのインドではなく、ジメジメとした雰囲気が漂う「闇のインド」だ。
主人公のキッドはそんなインドの地下のファイトクラブで「殴られ屋」として働く、社会の最下層で生きている人間。そんな彼が、自らの母を殺めた男に復讐を誓う物語である。
『モンキーマン』というタイトルの通り、キッドは猿の仮面を被り戦いに臨む。その戦い方は非常に野生的であり、己の身体のみを最大限に駆使して敵を徹底的に倒していく。
その獣のような戦い様は、まさに「猿」そのもの。描写もバイオレンス極まりなく、R-15指定となっている。
またキッドのアクションだけでなく、カメラワークも獣の如く忙しなく動き続ける。主人公のみならず、観客の視点も「獣」と化すのである。
華麗にではなく泥臭く、血みどろになりながら戦い続ける、インドの最暗部を根底から覆すが如き壮絶なる「復讐劇」。
総じて今までにない「リベンジ・アクション・ムービー」に仕上がっていると言えるだろう。
8位
https://eiga.com/movie/100466/gallery/23/
『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』
("Baby Assassins: Nice Days")
阪元裕吾監督のもと、『ある用務員』で共演した高石あかりと伊澤彩織が、高校生の殺し屋コンビとして再演した『ベイビーわるきゅーれ』シリーズ。
今作はシリーズ3作目となっており、二人の主人公・杉本ちさとと深川まひろに相対する最強の殺し屋「冬村かえで」として、『シン・仮面ライダー』で主演を務めた池松壮亮が出演した。
https://eiga.com/movie/100466/gallery/4/
2021年に『ベイビーわるきゅーれ』、2023年に『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビーず』が公開され、いずれも批評的・興行的に成功。
ふわふわとしたコメディパートと、手汗握る死闘を繰り広げるアクションパートが混在する、独特の作風が人気を呼んだ本シリーズ、最新作である今作でもその作風は健在だ。
しかし今作はよりシリアスに、より壮大な物語が展開される。中でも、狂気と悲哀を携えた最強の殺し屋、冬村かえでの存在感は筆舌に尽くし難い。
https://eiga.com/movie/100466/gallery/3/
………今までのストーリーにおいて、ちさととまひろは、まさに「親友」をも超えた一連托生の存在同士。時に衝突しながらも、いつだって2人の友情は輝き続けていた。
一方、かえでは殺し屋として圧倒的なまでの技術と実績を持ち合わせながらも、共に戦う仲間すらいない、果てしない「孤独感」を抱えていた。
ちさととまひろにはあって、かえでには決して手に入らないもの、それは「友情」。誰かとくだらないことで笑い合うこと、誰かと背中を預けて戦うこと………
作中において、かえでは2人の対照的な人物として描かれているのと同時に、2人の性格などを合体させたかのようなキャラクター性を持ち合わせている。
20歳を迎えた2人の、これからも続いていくであろう友情と、それを試すように現れた最強の敵。さながらシリーズ最終作のような緊張感を抱えた超大作だ。
7位
https://eiga.com/movie/102038/gallery/28/
『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』
("Gladiator Ⅱ")
2000年、リドリー・スコット監督、ラッセル・クロウ主演で制作された映画『グラディエーター』。アカデミー賞で数々の部門を受賞した今作の続編が、公開から24年もの時を経てついに登場。
再びリドリー・スコットがメガホンを取った他、主演として『aftersun/アフターサン』のポール・メスカルが出演。他にもペドロ・パスカルやデンゼル・ワシントンなど豪華キャストが集結した。
前作にてルッシラ王妃を務めたコニー・ニールセンは、今作でも続投している。
https://eiga.com/movie/102038/gallery/2/
『ツイスターズ』に『ビートルジュース ビートルジュース』と数々の続編が公開された2024年、今作もまたその一つに数えられる。
主人公であるルシアスは、前作における悪役である皇帝コモドゥスの甥。かつてはただの幼い子供だった彼が、剣闘士としてマキシマスと同じコロセウムの舞台に立つことに。
血で血を洗うが如し殺伐とした空気と、熱狂する貴族や市民の喝采による「熱」に満ちたコロセウムの戦いは、絶賛を浴びた前作に勝るとも劣らない。
その熱量やアクションの質は、24年もの歳月を経たことでより迫力のあるものへと進化している。正統派な進化を遂げた、まさに究極の「続編」だ。
コロセウムの戦いのバリエーションも、陸上戦だけでなくコロセウムに水を入れて船を浮かべ海上戦を再現するなど、スケールがより増している。
https://eiga.com/movie/102038/gallery/26/
また作中における登場人物も、一癖も二癖もあるヤツらばかり。かつてのマキシマスを思わせる、圧倒的な「強さ」を併せ持つルシアスの勇ましさは言わずもがな、
将軍として一貫して「正義」を重んじるアカシウス、かつてのコモドゥスを思わせる外道っぷりを見せつけるゲタ&カタカタ帝、そして作中を通して凄まじい威圧感を放つマクリヌス(デンゼル・ワシントン)など、
まさに『グラディエーター』から溢れ出す「重厚感」をそのまま体現したかのようなメンツが揃い踏み。改めて断言しよう、今作こそがどんな続編映画にも勝る、究極の「続編」であると。
6位
https://eiga.com/movie/101614/gallery/31/
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』
("Civil War")
内戦が勃発し、民間軍と連邦政府が対立した近未来のアメリカを舞台に描かれる戦争映画。
『エクス・マキナ』のアレックス・ガーランドが監督を務め、サム・ライミ監督『スパイダーマン』のヒロインで知られるキルスティン・ダンストが主演を務めた。
ハリウッドにて数々の話題枠を手がけている映画制作会社・A24の最高興行収入を記録した超大作。
https://eiga.com/movie/101614/gallery/9/
「戦争映画」といえば『プライベート・ライアン』などをはじめとする有名な作品が挙がるが、今作は歴代のどの戦争映画にも当てはまらない、全く新しいものとなっている。
タイトルにもあるように、今作における「戦争」とはつまり「内戦」。自由の国アメリカが、大統領の暴走をキッカケに地獄絵図と化す。
今作ではそんな滅びゆくアメリカを、戦場カメラマンという「視点」で切り取っていく………そこに感情などはなく、銃のようにただ冷淡かつ冷徹に。
「なぜこうなってしまったのか」「元の生活に戻りたい」「家族に会いたい」などという心情描写は一切なく、登場人物はただただその現状を受け入れている。
https://eiga.com/movie/101614/gallery/5/
しかしだからといって、作中における登場人物が善人ばかりという訳では「決して」ない。中には戦争の影響を受けて、世にも悍ましい「狂人」と化してしまった人もいる。
ジェシー・プレモンス扮する「赤いサングラスの男」が登場するシーンは、アメリカのみならず全世界を恐怖のドン底に叩き落とした。共演者も恐怖のあまり泣き出してしまったそう………
今までになく冷たい、冷め切った視点で「アメリカ合衆国」を切り取る、今年最大級の傑作にして問題作だ。
5位
https://eiga.com/movie/102346/gallery/28/
『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』
("Sonic the Hedgehog 3")
SEGA発の「史上最速のハリネズミ」こと「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」がハリウッドを駆け抜ける、人気シリーズの第3作目。
ベン・シュワルツにジム・キャリーなど前作からのキャストが大勢続投している他、あのキアヌ・リーヴスも声優として参戦。
東京が舞台として登場し、また原作で非常に人気のあるキャラクターであるシャドウ・ザ・ヘッジホッグも登場。
この豪華仕様に国内外で多大なる人気を博し、あの『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』にも迫る勢いを見せている。
https://eiga.com/movie/102346/gallery/16/
こうしたゲームを原作とする作品において肝心となるのが、初心者にも嚙み砕きやすい内容であることに加えて、原作ファンへのファンサービス。
先述した『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』も、原作をよく知らなくても十分楽しめる上、ファンにとっては堪らない演出も盛り沢山。
その点、今作は「初見向け」「ファン向け」の双方における需要を十分に満たしていると言える。
当然続編であるため前2作の鑑賞は欠かせないが、原作ゲームは全く知らなくてもOK。その激熱な展開に胸を打たれること間違いなしだ。
更にその上で、物語の大まかな流れは原作のゲームを基準にしているなど、ファンへの手厚いサービスも数多く見受けられた。
もしここに『ソニック』ファンがいれば、是非とも劇中で流れるBGMに耳を傾けていただきたい………
他にもコメディチックなパートやジム・キャリーの怪演、世界的ロックバンド・ONE OK ROCKの楽曲が流れるなど、見どころがたっぷり。
是非とも、シリーズ「最大」にして「最速」の戦いを、その目で目撃して頂きたいところだ。
≪併せてこちらもどうぞ≫
4位
https://eiga.com/movie/101242/gallery/19/
『デッドプール&ウルヴァリン』
("Deadpool & Wolverine")
『X-MEN』出身、前代未聞すぎるR指定ヒーロー『デッドプール』最新作が登場。監督は『フリー・ガイ』で世界的ヒットを記録したショーン・レヴィ。
主演はもちろんライアン・レイノルズ………なのだが、今作にはもう一人、MARVEL映画界のレジェンドというべきキャストが主演として出演している。
そう、タイトルにもある通り、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンが、『LOGAN/ローガン』ぶりに復帰したのだ。
しかも原作通り黄色いコスチュームで参戦。まさかすぎるサプライズに、現場では感極まって涙を流した人もいたとかいなかったとか………
https://eiga.com/movie/101242/gallery/
さて今作、『デッドプール』『デッドプール2』に続くシリーズ3作目であるが、同時に『デッドプール』がまさかのMCU入りを果たしたという衝撃作でもある。
マルチバースという設定の登場により可能となった、奇跡のコラボレーション。低迷期に入りつつあったMCUの危機を救うために現れた、まさにMARVELの救世主である。
しかし『デッドプール』シリーズはご存じの通り、下ネタ・グロ満載な今までになさすぎるヒーロー映画シリーズ。
Disneyが関わっているMCUにおいて、いつものデップーの暴走が見られないのではないか………と一時期は危ぶまれていた。
ところがどっこい、蓋を開けてみればそこにはいつものデップーが。ウルヴァリンという名のお友達(?)を連れて、今日も今日とてスクリーンにて超暴れ。
公開されるや否や大ヒットを記録し、歴代におけるR指定映画の最高興行収入を記録するに至った。
https://eiga.com/movie/101242/gallery/3/
またウルヴァリンがマルチバースによって登場するということで、当然ながら他のキャラクターもマルチバース繋がりで登場している。
今作におけるウルヴァリンも『LOGAN/ローガン』の時系列における彼ではなく、別次元からやってきた別人。コスチュームが異なるのもそのため。
予告編において象徴的な「崩壊した20世紀フォックスのロゴ」にあるように(詳しくは言えないが)懐かしのキャラクターたちが多数登場。
MCU作品、あるいはそれ以外の意味においても、兎にも角にも豪華すぎる最新作だ。
3位
https://eiga.com/movie/100899/gallery/14/
『キングダム 大将軍の帰還』
("Kingdom 4: Return of the Great General")
原泰久原作、週刊ヤングジャンプにて今も尚連載中の漫画『キングダム』の実写映画版。
2019年に佐藤信介監督、山崎賢人主演で第1作が公開され、国内で大ヒットを記録。その後第2作、第3作と着々と続編が公開され、そのどれもが高い興行収入を記録している。
今作は3作目『~運命の炎』から地続きのストーリーとなっているため、前3作品の鑑賞が推奨される。
https://eiga.com/movie/100899/gallery/8/
邦画において、「漫画が原作の実写映画化」は最もオーソドックスな商業映画のジャンルであるのと同時に、最もピンキリな映画ジャンルでもある。
『るろうに剣心』など原作を忠実に再現できている作品は高い評価を得ているものの、中にはアレンジ等を試みた結果興行的にも批評的にも大爆死した事例が数多く存在する。
主演の山崎賢人も、過去に『ジョジョの奇妙な冒険』や『ヲタクに恋は難しい』などで主演を務めたことがあるが、どれもあまり芳しくない結果に終わってしまっていた。
https://eiga.com/movie/100899/gallery/2/
しかしながら、本シリーズにおける山崎賢人演じる「信」は、まさに原作そのままの再現度を誇っており人気を博した。
これに伴ってかシリーズも多大なる人気を獲得し、やがて日本アカデミー賞を席巻するほどの超人気作へと成長を遂げたのである。
そんな人気急上昇中の『キングダム』シリーズ4作目となる今作は、まさに最大級のスケールを誇るタイトルだ。
キャストとしても、吉沢亮や橋本環奈、大沢たかおなど大勢が続投しているのに加え、小栗旬など豪華俳優陣も出演。
ストーリーとしても、原作『キングダム』において節目となる部分であり、映画のみならず原作ファンからも高い期待が寄せられていた。
一作目の時点で既に高い完成度を誇っていた、100をも超える兵士たちが入り乱れる戦場でのアクションシーンは今作でも圧巻の一言。
数の多さをものともせず、剣を片手に敵陣へ突っ込んでいく信たちの姿は何よりも勇ましい。その熱量は、我々観客も思わず声を上げそうになってしまうほどだ。
https://eiga.com/movie/100899/gallery/7/
これはあくまでも個人的な推察に過ぎないが、『キングダム』とは即ち、自分や誰かが抱いた夢を大切な人に「託す」、いわば継承の物語。
信の抱く「天下の大将軍になる」という夢もまた、漂という信の大切な人によって託されたもの。ただ二人の少年が抱いた小さな「夢」が、戦場の人々全てを巻き込んでゆく様は中々に感慨深い。
たとえ命が潰えようとも、たとえ夢が途切れようとも、誰かに託したその「夢」は、決して絶えることなく煌々と輝き続けるのである。
大勢の夢、野望、そして願いを背負って、信はこれからも戦場を駆け抜けていく。次回作にも期待大だ。
2位
https://eiga.com/movie/100886/gallery/13/
『侍タイムスリッパー』
("A Samurai in Time")
農家・兼・映画監督である安田淳一による時代劇×コメディ映画。
低予算での撮影、及び監督が複数の役職を兼任し制作され、一般公開されるや否や国内外で異例の大ヒット。
その怒涛の勢いは、かつての『カメラを止めるな!』のよう。界隈では「カメ止めの再来」とまで騒がれているとのこと。
https://eiga.com/movie/100886/gallery/7/
大昔の侍が現代にタイムスリップし、そこで時代劇の「斬られ役」として生きていく、という良い意味で実にインディーズらしいストーリー。
コメディとあるように劇中に仕込まれたネタも面白おかしく、いっぱしの侍が現代社会で生きていく姿はもう絵面から面白い。
映画館でも笑い声が顕著に飛び交っておりました。たまにはこういうのも良いですね(筆者談)
………だが、今作はただの時代劇コメディだけに収まらない。そしてそれこそが、記録的大ヒットの所以でもある。
https://eiga.com/movie/100886/gallery/10/
邦画の長い歴史における「時代劇」とは、昔こそは大人気のジャンルであったものの、現代ではその勢いが廃れつつある。
それもそのはず、遥か昔の時代を描くのだから美術や衣装にはコストがかかるし、それなりの規模の撮影となれば当然予算は潤沢でなければならない。
最近でいうと『室町無頼』や『十一人の賊軍』などがヒットしているが、逆を言えばそれなりの完成度を保っていなければ制作すらされないのが現実だ。
そして今作の主人公が現代へタイムスリップしたのちに就く「斬られ役」とは、その影響をモロに受けてしまっているのである。
時代劇が忘れ去られつつある時代、それは即ち「侍」の矜持や誇りが失われつつある時代。そんな時代に突如としてやって来た侍は、己の刀を握りしめ果たして何を思うのか。
コメディとしてただ観客を笑わせてくれるだけでなく、そういった寂寥感までも感じさせてくる………これこそ、今作の真に恐ろしい部分と言えるだろう。
1位
https://eiga.com/movie/101684/gallery/8/
『エイリアン:ロムルス』
("Alien: Romulus")
栄えある第一位はズバリ、SFホラーの金字塔と称される大人気シリーズ、『エイリアン』シリーズの最新作『エイリアン:ロムルス』だ。
監督は『ドント・ブリーズ』で一世を風靡したフェデ・アルバレス。シリーズの生みの親であるリドリー・スコットは製作総指揮として参加している。
https://eiga.com/movie/101684/gallery/5/
寄生し、宿主の胸を突き破って誕生し、成長するや否や見かけたもの全てを殺し尽くす恐怖の生命体、「ゼノモーフ」もとい「エイリアン」。
1979年に第1作目『エイリアン』が公開され大ヒット、その後数多くの続編が制作された本シリーズだが、今作はいわば「原点回帰」的作品となっている。
狭い宇宙船の中で、ゼノモーフがダクトの中を動き回り、次々とクルーを殺していく………非常にシンプルな作品構成だが、これまでの続編では中々そうした作品が現れなかった。
某宇宙最強のハンターと戦ったり、或いはゼノモーフの起源を辿っていく内に神話のようなものへ足を突っ込んでいたり………など、1作目からはとても想像できないような作りへと変遷を遂げていった。
しかし今作『ロムルス』は、公式も大々的に宣伝するほどの「原点復帰」。暗く狭い宇宙船の中で、ゼノモーフが再びクルーたちを恐怖のどん底へと叩き落すのだ。
https://eiga.com/movie/101684/gallery/3/
一方今作、ただの1作目の焼き直しではなく、続編として大幅なアップデートが施されている。
シリーズ全体の物語における時系列として、今作は1作目と2作目『エイリアン2』の間の話となる。
知っての通り『エイリアン2』は、1作目と同様のSFホラー映画………というより、どちらかというとアクション映画の側面が強い。
SFホラーの1作目と、SFアクションの2作目の間の話、これとは即ち1作目と2作目の「融合」とも言えるのではなかろうか。
ゼノモーフという「恐怖」に怯えながらも、ただひたすら生き残るために必死に戦う主人公たち。今までどっちつかずだった両方の要素を見事なまでに組み合わせているのだ。
https://eiga.com/movie/101684/gallery/
そして何よりも特筆すべきはゼノモーフの造形である。一見ただの歪な化け物に見えるゼノモーフだが、よく見るとそのフォルムは兎にも角にも美しい。
加えて今作、なんとほとんどのゼノモーフの登場シーンは、CGでなくアニマトロニクスを用いて撮影したのだという。
つまり言うなれば、スクリーンに映るゼノモーフたちは皆「実在している」のだ。それを踏まえて改めて観てみると、その美しさにより磨きがかかっているように見える。
暗闇を這いよる姿、標的を殺害し血に塗れる姿、この世に生まれ「堕ちる」姿………どこを切り取っても美しすぎる。
総じて心臓が飛び出そうになるほどのドキドキ感と、美麗なるゼノモーフをスクリーンにて目撃することができた、最高の映像体験だった。機会があれば、また映画館で鑑賞に臨みたいものだ。
≪併せてこちらもどうぞ≫
あとがき
2024年が終わりを迎え、新たに2025年が始まり、時の流れは速いもので既に1か月が経過した。
私のほうも大学の期末であるため、課題やら補講やらで割と忙しめ。それを言い訳にするつもりはないが、今更この時期に2024年下半期のランキングを出すという誠に意味不明なことをしでかしてしまっている。
このまま続けていくと8月とかに2025年上半期のランキングを出す、なんてこともあり得るのではないかと思ってしまう。何とかして頻度を上げねば………
さて2024年は言うまでもなく豊作でしたね。はじめに書いたように、上半期を大きく超えるほどの錚々たるメンツだったと思っております。
しかしながら、2025年も負けじとかなり期待値高め。2024年ではデップーだけだったMCUの映画作品が、2025年ではなんと3作品も公開。
加えて第97回アカデミー賞のノミネート作品が発表され、『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』や『ウィキッド ふたりの魔女』など話題作が多数公開される。
他にもジェームズ・ガン版『スーパーマン』や『ミッション:インポッシブル』最新作など、ラインナップがとにかく厳つい。
これはまた、2024年に続いて激動の一年となりそうである。今からとっても楽しみで仕方ない………と、いうわけで今回はこの辺で。

それではまた、次の映画にて。