
「フェーズ3」とは
フェーズ1、フェーズ2と続いてきたMCUの伝説を締めくくる、「インフィニティ・サーガ」の終幕を飾りしフェーズ3。
フェーズ2と同様新たなるヒーローが多数登場するほか、BIG 3(アイアンマン、キャップ、ソー)をはじめとする常連のヒーローたちも勿論登場。
皆大好き「親愛なる隣人」の帰還や、アメコミ映画史上初のアカデミー作品賞ノミネート、そして映画史に名を残す大団円など、見所が盛り沢山。
MCUの長い歴史、そして作中に登場するヒーローたちにとって、間違いなく大きな転機となったであろう今フェーズ。壮大なる伝説の最高潮を、共に振り返っていくとしよう。
《フェーズ1の記事はこちら》
《フェーズ2の記事はこちら》
Rupture. 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
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『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
("Captain America: Civil War")
あらすじ
今まで幾度となく世界を救ってきた、最強のヒーローチーム「アベンジャーズ」。だかそんな彼らに、大きな亀裂が走ることとなる………
ウルトロンとの戦いによって壊滅状態に陥ったソコヴィア。アベンジャーズは確かに世界を救ったが、ソコヴィアでは戦いの二次災害による多くの死傷者が出ていた。
「アベンジャーズとは、ただのヒーローを自称した自警団に過ぎない」と、世界中から批判を浴びるアベンジャーズ。この事態を収束するため、サディアス・ロスは「ある提案」を彼らに持ちかける。
アベンジャーズを国連の支配下に置き、国際法の元活動することを規定とする「ソコヴィア協定」を持ちかけられたアベンジャーズは、これに賛成するか否かで大いに悩まされることとなる。
苦悩の末にソコヴィア協定に署名することにしたアベンジャーズ。だが署名式が執り行われる筈だったウィーンの会場にて、大規模なテロ事件が発生してしまう。
テロの犯人は、かつてスティーブと死闘を繰り広げたバッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー。彼は再び洗脳を受けており、スティーブはそんな彼を救おうと奔走していた。
ワカンダの国王であるテイ・チャカの死、国際指名手配犯となってしまったバッキー、そしてスティーブの協定からの離反………様々なことが重なり、アベンジャーズは遂に内部で分裂してしまう。
互いの正義がぶつかり合う、宿命の戦いが今始まる。
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作品概要
『〜ザ・ファースト・アベンジャー』『〜ウィンター・ソルジャー』に続く、『キャプテン・アメリカ』シリーズ3作目。
スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカとバッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャーのストーリーが続く他、"Civil War"(内戦)のタイトル通りアベンジャーズの内部分裂が描かれる。
アンソニー・ルッソとジョー・ルッソのルッソ兄弟が監督を続投。『〜ウィンター・ソルジャー』に続き、またもMCUの歴史に名を轟かせることとなった。
アベンジャーズのメンバーが登場するということで、クリス・エヴァンスやセバスチャン・スタン以外にもロバート・ダウニー・Jr.やジェレミー・レナーなど大勢が出演した。
尚、アベンジャーズのスタメンであるソー(クリス・ヘムズワース)やブルース・バナー/ハルク(マーク・ラファロ)は今作では登場していない。
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世界に仇なすヴィランと戦うアベンジャーズ、しかしその傍で数々の一般人が戦いに巻き込まれていく。そんな彼らを顧みようともしない彼らは、果たして本当に「ヒーロー」なのか………
アメコミ映画、ひいてはアメコミという存在そのものにおいて当たり前の存在である「ヒーロー」の是非を問う、文字通りの「衝撃作」だ。
だがそれよりも印象的、かつ今作に更なる悲壮感を漂わせているのはやはり「アベンジャーズの分裂」。国連の提示した「ソコヴィア協定」により、アベンジャーズは内部で対立が生まれてしまう。
共に肩を並べて戦ってきたはずの仲間同士が、互いの信じる「正義」の相違により戦わなければならないという展開は、胸熱な部分もありつつやはりもの悲しさを覚えてしまう。
トニー・スターク/アイアンマン、スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ………分裂後、大きく対立することとなったのはよりによってリーダー格のこの2人。果たしてどちらを応援すれば良いのか………
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さてそんな穏やかじゃない今作、原作でも大人気な新たなるヒーローが満を持して登場している………しかも2人。
まず1人目はテイ・チャラ/ブラックパンサーだ。超文明大国ワカンダの国王であり、ヴィヴラニウム(キャップの盾と同じ金属)製の漆黒のスーツを身に纏い戦うヒーローである。
演じたのはチャドウィック・ボーズマン、ジャッキー・ロビンソンの自伝映画である『42 〜世界を変えた男〜』にて主演を務め、大きく評価を得た俳優だ。
父であるテイ・チャカを、ウィーンにて執り行われたソコヴィア協定の署名式にて勃発したテロにより喪い、その復讐のために今回の戦いへ参戦。トニーの陣営へと加勢した。
王としての毅然とした姿や、特殊な武器を用いず己の体術のみを駆使して戦う姿は非常に印象的であり、初登場の時点で大きく存在感を醸し出していた。
その好評さもあってか、2018年には単独映画が制作されている。
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そしてもう1人………我らが愛する「親愛なる隣人」こと、ピーター・パーカー/スパイダーマンが遂にMCUに参戦。演じたのはトム・ホランド。
スパイダーマンといえば、トビー・マグワイア主演の『スパイダーマン』やアンドリュー・ガーフィールド主演の『アメイジング・スパイダーマン』など、過去の映画作品の中でも特段高い人気を博していることで有名だ。
SONYとの権利問題でMARVELとモメる(詳細はここでは割愛)など紆余曲折を経て、ここにようやくMCUへの参戦が決定。
公開前も、予告編のラストにて登場し世界中が熱狂。2017年には単独映画が公開されるなど、スパイディへの熱は未だ冷めることを知らない。
「正義」と「正義」が衝突し、遂に分たれてしまったアベンジャーズ。ここから、彼らの運命は大きく動き出していくことになる………
Illusion.『ドクター・ストレンジ』
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『ドクター・ストレンジ』
("Doctor Strange")
あらすじ
ドクター・スティーヴン・ストレンジは高慢なる天才外科医だ。その技術とセンスはピカイチであり、他の追随を許さないほどの輝かしいキャリアを積み重ねていた。
しかしながら、そんな栄光の日々は一瞬にして崩れ去ってしまう………交通事故に遭ってしまったストレンジは両手を大きく怪我し、治療後も手に麻痺が残ってしまうようになる。
このまま手が完全に治らなければ、彼は天才外科医としてのキャリアを失ってしまう………恋人のクリスティーンから見限られ立ち去られようとも、彼は必死に手の治療法を模索し始めた。
だが世界中を探し回っても尚、治療法は見つからないまま………途方に暮れるストレンジは、修行によって下半身不随を治したという男の情報を頼りに、ネパールのカトマンズにある「カーマ・タージ」という場所を訪れる。
カーマ・タージは仏教系の修行場………に見せかけた、魔術師を育成する施設だった。「魔術など存在しない」と一蹴するストレンジに、「至高の魔術師」の称号を持つエンシェント・ワンは、彼を「魔術の世界」へ誘う。
無限の可能性、そして大いなる力を秘めた摩訶不思議なる「魔術」。後に偉大なる魔術師としてその才能を開花させることとなるストレンジは、深淵より来る闇の力に対抗すべく修行を積んでいくことになる。
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作品概要
MCUにおいて初となる「魔術師」のヒーロー、ドクター・ストレンジが主役の映画。
『フッテージ』などホラー映画の監督を務めたスコット・デリクソンがメガホンを取り、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』のベネディクト・カンバーバッチが主演を務めた。
他にもレイチェル・マクアダムスやマッツ・ミケルセン、ティルダ・スウィントンなど著名な俳優が出演している。
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フェーズ1では『マイティ・ソー』が、フェーズ2では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が、それぞれMCUの世界観の広がりを見せてくれた。
輝かしい神々の世界、壮大にして広大なる宇宙の世界に続き、今作『ドクター・ストレンジ』にて眼前に広がるは摩訶不思議なる魔術の世界だ。
『インセプション』よろしくビルが収縮するような描写、その他奇想天外なる「魔術」の描写が非常に象徴的。
さらに今作の魔術の力は「多元宇宙」から得ているものであり、フェーズ3以降のMCUにおける重要な設定も随所に見受けられる。
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兎にも角にも映像の迫力で(良い意味で)ゴリ押してくる今作。映画館で鑑賞すれば、それはそれは目が凄いことになっていたことだろう。
そしてドクター・ストレンジの存在は、言わずもが
なMCUにとって非常に重要。彼なしでは成し得なかったことも、今後の作品において多々存在する。
神秘的にして、時として人を深淵へと引き摺り込む「魔術」の世界………くれぐれも病みつき注意だ。
Unity.『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
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『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
("Guardians of the Galaxy Vol.2")
あらすじ
ロナンの野望を阻止し、結果として銀河中に名を馳せることとなったガーディアンズ・オブ・ギャラクシー。
破天荒なアウトロー・チームに課せられた次のミッションは、ソヴリン星の重要な施設であるアニュラクス・バッテリーを怪獣から守ること。
ガーディアンズの見事な(?)連携により怪獣を打ち倒し、ソヴリン星の女王アイリーンから報酬を貰う一同。
だがそこで、メンバーの1人であるロケットが、ソヴリン星からアニュラクス・バッテリーを盗み出してしまう。このことはソヴリン星に筒抜けであり、ソヴリン星の艦隊がガーディアンズ一行を襲撃。
惑星ザンダーのノバ軍に勝るとも劣らない、圧倒的な軍事力を持つソヴリン軍に苦戦する一同。絶体絶命の危機に、突如として謎の宇宙船がガーディアンズの助太刀に入る。
不時着した惑星にて宇宙船から出てきたのは、自らを「エゴ」と名乗る男。なんと彼は「スター・ロード」ことピーター・クイルの父親なのだという。
再会を祝して、自分の星に一同を招待するエゴ。ピーターたちは半信半疑になりながらも、エゴの住む星に向かうが………
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作品概要
あのガーディアンズが帰ってきた。監督は前作に引き続きジェームズ・ガン、クリス・プラットやゾーイ・サルダナ、ブラッドリー・クーパーらが続投。
今回新たなキャストとして、カート・ラッセルやエリザベス・デビッキ、シルヴェスター・スタローンが出演した。
その怒涛の宇宙ドッグファイトはまさしくMCU版『スター・ウォーズ』、そこにおちゃらけた雰囲気が加わり独特のSFアクションとなった『GOTG』。
続編である今作もその雰囲気は健在であり、ゴキゲンなオープニングをはじめとする多くの部分が進化を遂げている。
他のMCU作品との繋がりは薄いものの、だからこそ生まれる作品単体としての面白さは他とは一線を画する。
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『GOTG』におけるテーマはタイトルによって様々だが、今作におけるテーマとは「家族」であろう。
ピーターにとって「本当の」父親であるエゴは、自分を攫った張本人であるヨンドゥに育てられた彼にとって衝撃的なものだ。
しかし親の愛を子に捧げることができず、更に自分の妻までも手にかけたエゴは、果たしてピーターの「真の父親」たりうるのか。
本当の「家族」、本当の「父親」とは、実はピーターのすぐ側にいたのである。その「温かさ」は、他の何物にも代え難い。
果たして今までのヒーロー映画において、ここまで心温まる作品はあっただろうか。そう思わざるを得ないほどにハートフルな、「仲間」にして「家族」であるガーディアンズの絆を感じ取れた作品だった。
Flesh.『スパイダーマン:ホームカミング』
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『スパイダーマン:ホームカミング』
("Spider-Man: Homecoming")
あらすじ
ピーター・パーカーはクイーンズに住む普通の高校生。しかしその正体は、クモの力を手に入れたヒーロー「スパイダーマン」。
トニーにスカウトされ、キャプテン・アメリカたちと戦いを繰り広げた後、彼はトニーが開発したスーツを着て毎日ヒーロー活動に勤しんでいた。
しかしトニーにとって、彼はまだまだ子供。アベンジャーズの一員としてではなく「親愛なる隣人」として、慎ましく近所の人々を助けてやれと言う。
自分の力をもっと発揮し、いつかトニーに認めてもらいたいと願うピーター。そんな中、彼はパトロール中に「ある事件」を嗅ぎ付ける。
人知れず、こそこそと「謎の兵器」を取引している集団を見つけたピーター。取引現場を阻止しようとするものの、今度は大きな機械の翼をもつ男「ヴァルチャー」からの妨害を食らってしまう。
このことを受けてピーターは事件の深刻性をトニーに訴えるが、トニーは聞く耳持たず。仕方なく彼は、許可を得ずに単独で事件の解決に臨むが………
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作品概要
『~シビル・ウォー』にて初登場を果たした、トム・ホランド演じるピーター・パーカー/スパイダーマンが、単独映画として満を持して登場。
監督は今後公開されるMCU版『スパイダーマン』三部作でも監督を務めるジョン・ワッツ。トム・ホランドの他にもゼンデイヤ、マイケル・キートンなどが出演した。
『~シビル・ウォー』の紹介でも少しだけ言及したが、スパイダーマンは他のヒーローと違い簡単には映画に出演できない複雑な事情を持つヒーロー。
過去にSONYのもとで制作された作品があったということもあり、MCUへの参戦は長らくお預けとなっていたが………ここにようやく、MCUでの『スパイダーマン』単独映画が実現したのだ。
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従来のスパイダーマン映画では「ピーターがクモに噛まれる→スパイダーマンとしてヴィランと戦う」というお決まりの流れが存在する。
しかしながら今作では「ピーターがクモに噛まれる」という流れを省略。こうすることでスピーディーにスパイダーマンとしての活躍をお目にかかれることができる。
またピーターは、これまでの作品では丁度高校生から大学生になる時期を中心に物語が展開されているが、今作(及び次回作)では未だにフレッシュな高校生。
まだまだピーターも「大人」とは程遠い存在であり、その若さゆえに作中では目を瞑りたくなるようなことを色々とやらかしてしまう。
しかしながらこうした「未熟なスパイダーマン」は従来のタイトルではあまりフォーカスされてこなかった部分であり、故に新鮮さが強く際立っているのだ。
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『スパイダーマン』にとって最も重要なテーマ、それはかつてベンおじさんがピーターに送った言葉………という名の「呪い」に等しい「大いなる力には大いなる責任が伴う」。
どれだけピーターが未熟であろうとも、スパイダーマンとしての力や使命はいつだってついて回る。それが例え、直視し難いほどの苦しみを伴おうとも。
あまりにもフレッシュすぎるピーターであるがゆえに、こうした決断を「子供」に下させるのは非常に酷な話であると気づかされる。
サム・ライミ版とも、マーク・ウェブ版とも異なる、今までにないような『スパイダーマン』映画にして、新たなる「親愛なる隣人」の物語の幕開けである。
Rebuild.『マイティ・ソー バトルロイヤル』
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『マイティ・ソー バトルロイヤル』
("Thor: Ragnarok")
あらすじ
自由奔放な、アスガルドの「雷神」ソー・オーディンソン。ウルトロンとの戦いの後、一人アベンジャーズを離れ、宇宙の彼方に散らばる「インフィニティ・ストーン」を探し求めていた。
旅のついでに、アスガルドを滅ぼすとされる炎の化身・スルトを打ち倒した彼はアスガルドに帰還。しかしそこには、アスガルドの主神オーディン………
に化けた、死んだと思われていたソーの弟・ロキがいた。ソーがロキを問い詰めたところ、オーディンは今地球に身を置いているという。
現「至高の魔術師」であるドクター・ストレンジの手を借り、遂にオーディンの所在を突き止める二人。だがそこには余命僅かの、かつての主神の力を失いつつあるオーディンがいた。
オーディンは二人に告げる………「死の女神」ヘラが復活すると。オーディンはそう言って消滅し、突如として異次元空間から「死の女神」にしてソーの姉であるヘラが降臨する。
彼女の力は圧倒的であり、ソーの武器であるムジョルニアを用いても無傷。それどころか、ムジョルニアを片手で受け止めそのまま握り潰してしまった。
成す術なしの二人はビフレストで間一髪逃れるが、ヘラの追撃によりソーは別の空間へと飛ばされてしまう。ヘラはアスガルドへと足を運び、アスガルドのみならず九つの世界全てを支配せんと動き出す。
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作品概要
キャップ、アイアンマンと並ぶ「BIG3」の一角、マイティ・ソーからも3作目が登場。
監督は後に『ジョジョ・ラビット』などを手掛けるタイカ・ワイティティ。クリス・ヘムズワースなど大勢が続投し、今作のヴィランであるヘラ役としてケイト・ブランシェットが出演した。
前作『~ダーク・ワールド』が若干不評だったせいか、今作から作風がガラリと一変。ソーの破天荒な性格に合わさるように、コメディ調が増したかのような作風へと進化した。
この試みは見事に成功し、『マイティ・ソー』前二作と比べ格段に評価が上がっている。
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さて、今作の原題は『Thor: Ragnarok』。何故か邦題では『~バトルロイヤル』となっているが、「ラグナロク」とは北欧神話において非常に重要なワードである。
ラグナロクとは即ち「世界の終末」。神々が壮絶なる戦いを繰り広げ、最終的には炎の化身スルトが世界を完全に破壊し、朽ちた世界は再び生まれ変わる………というもの。
(もうここで半ばネタバレとなってしまうが)今作ではアスガルドが滅びの危機に瀕してしまう。あの美しき神々の国・アスガルドが灰燼と化してしまうのだ。
しかしだからこそ、今作は『マイティ・ソー』シリーズにおいて重要な意味を持つ。主神オーディンの亡き今、その血と遺志を受け継いだソーは、アスガルドの新たなる王としてどんな選択をするのか。
今まではやりたい放題やっていたソーが、ここにきてアスガルドを導く者としての決断を迫られるのである………
と、内容的にはシリアス極まりないが、先述したように今作の作風は非常にファンキー。神も国もいないのなら好き勝手やってやろうじゃないか!!という気概に満ち溢れた作品だ。
鑑賞後、しばらくはレッド・ツェッペリンの『移民の歌』が頭から離れなくなることだろう。
Will.『ブラックパンサー』
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『ブラックパンサー』
("Black Panther")
あらすじ
超文明大国ワカンダは、「ヴィブラニウム」と呼ばれる、大昔に落ちてきた隕石に含まれていた特殊な鉱石をもとに、密かに発展を遂げてきた。
ワカンダ王国の王子にして、漆黒のスーツを身に纏うヒーロー「ブラックパンサー」であるテイ・チャラは、亡き父テイ・チャカの王位を継ぎ、ワカンダの国王となった。
王を迎え、歓喜に沸くワカンダ。だがそこへ、新たなる脅威がワカンダを訪れる。
「死の商人」の仇名を持つ「キルモンガー」ことエリックは、テイ・チャカがかつてその手で屠った弟・ウンジョブの息子だった。テイ・チャラと同じく王位継承権を持つエリックは、テイ・チャラに挑戦を申し込む。
元アメリカの工作員である傭兵のエリックはテイ・チャラを圧倒し、勝利。かくしてワカンダに再び新たなる王が生まれた。
しかし、エリックの真の目的とはワカンダの発展した技術により製造された武器を世界中に流出させ、アフリカ系民族を差別や迫害から解放させることだった。
世界のありとあらゆる「闇の部分」から、文字通り身を隠すことで沈黙を保ってきたワカンダ。未だかつてない「転機」に、テイ・チャラが出した答えとは………。
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作品概要
スパイダーマンと同じく『~シビル・ウォー』にて初登場したテイ・チャラ/ブラックパンサーの単独映画が登場。
チャドウィック・ボーズマンが主演として登場し、ヴィランであるエリック・キルモンガー役としてマイケル・B・ジョーダンが出演した。
監督は『ロッキー』シリーズの続編『クリード チャンプを継ぐ男』で監督を務めたライアン・クーグラー。
今作はブラックパンサーの単独映画………であるのと同時に、アメコミ映画史ひいては映画史そのものにおいて大きく名を残したタイトルである。
公開当時は『アベンジャーズ』の全世界興行収入を一瞬で塗り替え、当時の全世界興行収入記録において9位を獲得した。
それだけではない。なんとアカデミー賞をノミネート・受賞するまでに至り、これはアメコミ映画において史上初の出来事となる。
作品賞でノミネートされ、作曲賞・美術賞・衣装デザイン賞の三部門を受賞した。まさに「快挙」と呼ぶに相応しい偉業である。
またキャストや製作陣に至るまでほとんどが黒人で構成されており、最早MCUという枠組みを超えた、異例中の異例の作品であると言える。
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話を戻して、今作におけるヒーロー「ブラックパンサー」は、『~シビル・ウォー』の時から更に強化された状態で登場する。
ヴィブラニウムで作られた軽量かつ非常に頑丈な漆黒のスーツと、鋼鉄をも切り裂く鋭利な爪に加え、「ダメージを吸収し衝撃波として放つ」という新たな機能が追加された。
颯爽と戦場を駆け抜け、お得意の接近戦で敵をなぎ倒し、カウンターの衝撃波で一掃する………その姿は漆黒のスーツと相まって非常にかっこいい。
そして今作のヴィラン、キルモンガーもまた、テイ・チャラと同じくスーツを着用して戦いに臨む。
このキルモンガーというヴィランが、実は歴代のMCUのヴィランたちの中でかなりの人気を博しているのである。
あらすじにある通り、キルモンガーがワカンダの国王となった理由はただ一つ「全てのアフリカ系民族を差別と迫害から救うこと」。
そのまま世界征服を企もうとしたことは確かに悪役らしいが、「差別と迫害を無くしたい」という理由自体ははどうも「悪」とは言い難い。
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ワカンダは、他国を大きく圧倒するほどの技術力を自国内での発展に留め、その姿を世界に表すことはなかった。
その軍事力をもってすれば、世界中の国全てを支配することなど容易い。ましてや貧困や紛争に喘ぐ国を救うことなど造作もないことだ。
それほどの力を持ちつつも、何故ワカンダはそうした国に手を差し伸べず、常に沈黙を保ち続けてきたのか。この他にも様々な理由を抱え、キルモンガーはワカンダへ怒りをむき出しにしているのである。
長らくワカンダを支えてきたテイ・チャカ亡き今、ワカンダの運命を握るは現国王のテイ・チャラ。
「変化」の瀬戸際に立たされたワカンダに、テイ・チャラはどういった決断を下すのか………そうした葛藤もまた、今作の醍醐味の一つであると言えるだろう。
Silent.『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
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『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
("Avengers: Infinity War")
あらすじ
「ラグナロク」が訪れ滅びゆくアスガルドから、命からがら逃げてきたソー、ロキ、そしてアスガルドの全ての民たち。
新たなる王のもと、新生アスガルドにて平和に暮らして行けると思われた矢先、またもや悲劇に襲われる。
突如として民たちの乗る宇宙船を襲撃してきたのは、タイタン人「サノス」率いる巨大な軍隊。その力は絶大で、アスガルドの民はあっという間にほぼ壊滅状態となってしまう。
サノスの目的とは即ち、宇宙に散らばる六つの「インフィニティ・ストーン」を全て集め、「大いなる野望」を成し遂げることだった。
ソーの力を以てしてでも敵わず、ハルクの怪力もサノスには到底及ばない。絶体絶命の状況の中、ブルース・バナー/ハルクだけはビフレストで地球に送り返すことに成功する。
そうして地球に送り返されたブルースは、ドクター・ストレンジとトニー・スターク/アイアンマンに警告する………「サノスが来る」と。
そうこうしているうちに、サノスの手先がストレンジの持つ「タイム・ストーン」を奪取すべく地球に襲来。
かくして地球の、いや宇宙の命運をかけた、全てのヒーローたちを巻き込んでの「無限の戦い」が、幕を開けるのだった。
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作品概要
それぞれのフェーズを締めくくる、MCU最大の醍醐味と言っても過言ではない究極の大団円こと『アベンジャーズ』。
フェーズ3までに登場した、数えきれないほどのヒーローたちが一堂に会し、壮大な物語と戦いが繰り広げられる。
フェーズ3ではドクター・ストレンジやスパイダーマン、ブラックパンサーなどが初登場し、またガーディアンズも今作で初の他ヒーローとの合流を果たした。
今作における、ヒーローとヴィランを含めたキャラクターたちは恐らく30名以上、下手すると40名以上にものぼる。
恐ろしいのは、ここまで膨れ上がったストーリーやキャラクターたちを、ものの2時間強ですっぽりと収めてしまっていることだ。
こうしたストーリーテリングの誠実さや丁寧さもまた、MCUの圧倒的な人気を象徴する要素の一つと言えるだろう。
監督は『~ウィンター・ソルジャー』や『~シビル・ウォー』で監督を務めたアンソニー・ルッソとジョー・ルッソの「ルッソ兄弟」。
全世界興行収入でも高い順位を獲得し、2025年現在では歴代6位となっている。
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さて今作、そんなMCU最大規模の豪華さに加え、ヴィランもまた歴代最強と呼ぶに相応しい強さとなっている。
今作のヴィラン「サノス」は、原作においても比類なき強さを誇る最強の敵。演じるのはジョシュ・ブローリン。
宇宙の星々に散らばった6つのインフィニティ・ストーン全てを集めることを企んでおり、物語開始時点では既に「パワー・ストーン」を手に入れた状態で登場する。
その強さは歴代のどのヴィランをも凌駕しており、加えてストーンを手に入れていくたびに彼は段々と強くなっていく。その圧倒的な力を前に、ヒーローたちが成す術もなくやられていく姿は文字通り「絶望」だ。
しかも、ストーンの力を使わずともハルクよりも強い怪力の持ち主というチートっぷり。
『GOTG』のポストクレジットシーンで初登場し、その後『~エイジ・オブ・ウルトロン』のラストで地球へ攻め入ることを仄めかしていた。
無数の艦隊を連れて宇宙中を探し回る、サノスの真の目的とはつまり「全宇宙の生命体の数を半分に減らすこと」。
戦争や飢餓といった「苦しみ」は全て有象無象の生命体たちに起因すると考えており、事実、彼は過去にある星の全生命体の半分を虐殺し、その結果平和と安寧が訪れたという。
己の虐殺行為を以てして、宇宙に真の平和をもたらす………などという、今までのヴィランとは比べ物にならないほどの歪んだ思想を持つサノスだが、その信念に一切の狂いはない。
数々のものを犠牲にし、それでも「平和」という大いなる目的のために突き進むサノス。その過程は到底許されるべきものではないが、その様はどこかヒーローと同じようなものを感じ取れる。
故に今作における主人公は「ヒーローたち」ではなく「サノス」だという意見も多い。ヴィランが主人公という、前例が一切ない異色の映画だ。
smallest.『アントマン&ワスプ』
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『アントマン&ワスプ』
("Ant-Man and the Wasp")
あらすじ
ソコヴィア協定を巡るアベンジャーズ同士の戦いにおいて、キャプテン・アメリカに加担したことの罪で逮捕されていた「アントマン」ことスコット・ラング。
釈放されたのち、2年間自宅で軟禁生活を送っていた彼は、ある時奇妙な夢を見る………それは初代アントマンことハンク・ピム、彼の妻であるジャネットが、量子世界から発信していたメッセージだった。
量子世界に一人、迷い込んだことで死亡したとされていたジャネットが生きているかもしれないという可能性を伝えるべく、スコットは早速ハンクとホープに連絡する。
二人はスコットの救出に向かうが、二人はスコットの国家反逆罪で巻き添えを食らい、2年間もの間FBIに身を追われ続けていた。
私情で勝手にアントマンのスーツを持ち出した挙句、国に背を向けるような行為をしでかしたスコットに恨みを募らせる二人。だがジャネットの救出のため、やむを得ずスコットに協力することに。
ヴァネッサを助け出すには、こちらも量子世界に突入し、彼女を連れて現実世界に帰還する他ない。理論上不可能とされてきたが、実際に量子世界から帰還したスコットが何よりの証拠だった。
善は急げと、早速量子トンネルの制作に取り掛かる一同。だがそこへ、身体が量子化した謎の女、通称「ゴースト」が現れる。
ゴーストの襲撃に、スコットは再びアントマンに、そしてホープはかつてジャネットが着用していたスーツを着て「ワスプ」となり、「最小」の戦いへと再び身を投じることとなる。
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作品概要
フェーズ2のトリを飾った、史上「最小」のヒーロー・アントマンの続編が登場。
監督は前作に引き続きペイトン・リード。ポール・ラッドやマイケル・ダグラスなどが続投し、新たなキャストとしてハナ・ジョン=カーメンやローレンス・フィッシュバーンが出演した。
さて今作、タイトルにもあるようにアントマンに加え、同じく史上最小のヒーローである「ワスプ」が登場。名前通り「蜂」のようにすばしっこく飛び回り、刺すように敵をなぎ倒す。
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前作『アントマン』の最大の魅力とはズバリ、「映像では大迫力だけど現実ではめちゃくちゃ小さいスケール」的バトルにある。
電車が爆速で突っ込んできた!!かと思いきやただのオモチャの電車。レーザーが飛んできた!!かと思いきや実はただの火花。
そんな「種明かし」から生まれるシュールさは、MCU作品という枠組みを超えて唯一無二と言える。そしてそんな前作における「魂」は、見事今作にも受け継がれている。
さらに今作は、アントマンに加えてワスプというバディ付き。世界最小のヒーローコンビが大暴れ………もとい「小暴れ」している。
また今作のヴィランである「ゴースト」ことエイヴァも非常に魅力的なキャラクター。彼女は量子と化した自身の身体を治すためにハンクの開発した量子トンネルを奪おうと、何度もハンクたちのもとを襲撃する。
しかし彼女の身体を治療するには、量子世界に一人取り残されているヴァネッサの命を犠牲にしなければならない。当のヴァネッサは治療方法を知っているが、身体の限界が近いエイヴァには時間がない。
エイヴァも決して、根っからの悪人ではない。圧倒的なパワーを持ちつつ、死にたくないという一心で焦燥感をあらわにする彼女も、スコットやホープと同じく今作を引き立てているキャラクターと言えるだろう。
そんなエイヴァは、今年5月に公開される『サンダーボルツ』で参戦決定。悪から正義へとパワーの矛先を変えた彼女の活躍に期待大だ。
Further.『キャプテン・マーベル』
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『キャプテン・マーベル』
("Captain Marvel")
あらすじ
クリー帝国の首都たる惑星・ハラ所属の先鋭部隊のメンバーであるヴァースは、他のメンバーにはない秘めたる「力」を有していたが、未だにそれをコントロールできずにいた。
ある日彼女は部隊と共に、クリー人と敵対関係にあるスクラル人に捕らわれた捕虜を救出するべく任務に赴くが、スクラル人の罠にまんまとハマってしまう。
しかしスクラル人は、彼女を殺そうとはせず、彼女の「記憶」をのぞき見しようと試みる。その時ヴァースが見たのは、自分の記憶にはない様々な自分の姿だった。
間一髪のところで彼女は自力で脱出するが、自身が乗り込んだ宇宙船が撃墜され辺境の星に墜落してしまう。
そうして地球にたどり着いた彼女のもとへ、後にS.H.I.E.L.D.の長官となるニック・フューリーが現れる。
とても地球人のものとは思えない発言を繰り返す彼女を逮捕しようと試みるが、その瞬間に同じく地球にたどり着いたスクラル人の襲撃に遭う。
ヴァースは仕方なく、スクラル人の行方と地球からの脱出方法、そして失われた自分の記憶を追い求め、ニックと共に行動を開始するが………
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作品概要
『~インフィニティ・ウォー』の衝撃的なラストを経て、突如としてフェーズ3に新たなるヒーローが登場。
まばゆい光と圧倒的な破壊力を秘めた力を秘めた女性ヒーロー「キャプテン・マーベル」の降臨だ。
そんな勇ましい彼女を演じたのは、『ルーム』でアカデミー主演女優賞を受賞した経歴を持つブリー・ラーソン。
他にもジュード・ロウや、デジタル技術を駆使して25年前に若返りしたサミュエル・L・ジャクソンとクラーク・グレッグ(エージェント・コールソン)も出演。
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さてこの「キャプテン・マーベル」というヒーロー、実はMCUはおろかMARVELのヒーローたちの中でも最強クラスの実力を持つキャラクターなのである。
彼女の持つ力、通称「フォトンブラスト」はどんなものも瞬時に破壊する威力を秘めており、またそれを手足から放出することで超高速の飛行も可能である。
いわばアイアンマンの飛行能力と、ソーの戦闘能力を組み合わせたようなもの。そのチートっぷりがおわかりいただけただろうか。
実際に彼女の力が最大限に発揮される場面は終盤なのだが、どんな敵が襲い掛かろうとも彼女は無敵状態。超巨大な艦隊も一瞬で撃破してしまう。
またそれに至るまでの展開も非常に胸熱であり、失われた記憶を取り戻して本来の自分へと覚醒していく様は興奮必至だ。
それにしても、ここに来てMARVEL最強格のヒーローを出してくるMCUの大胆さには脱帽せざるを得ない。これこそが、来る「最後の戦い」への布石なのだろうか………
Assemble.『アベンジャーズ/エンドゲーム』
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『アベンジャーズ/エンドゲーム』
("Avengers: Endgame")
あらすじ
六つのインフィニティ・ストーンを集めたサノスによる「指パッチン」により、宇宙の全生命体の半分が消滅した世界。
人々はそれぞれ大切な人を失い、最強のヒーローチーム・アベンジャーズもまた、この事態に果てしない喪失感を抱いていた。
そんな中、サノスとの戦いの後、ネビュラと共に宇宙を放浪していたトニーは、偶然そこを通りかかった「キャプテン・マーベル」ことキャロル・ダンヴァースに救出され、地球への帰還を果たす。
その後一同は、サノスの使用したインフィニティ・ストーンの力の痕跡を辿り、戦いの後遠くの惑星で隠居生活を送っていたサノスを発見。
しかしながら、もうインフィニティ・ストーンは力を使い果たしたことで消滅しており、失われた生命たちが戻る希望は絶たれてしまう。
最終的にソーがストームブレイカーを振り下ろし、サノスの首を刎ね戦いの決着はついたが、やはり世界には大きい喪失感が残されたままだった。
そこから5年後………「ある男」が突如として現代に帰還する。量子世界に潜っていた「アントマン」ことスコット・ラングだ。
現実世界での5年間は、量子世界におけるたった3時間に相当する。戻るや否や変わり果てた世界に驚愕するスコットだったが、まずはあの「空港での戦い」のツテを頼りにアベンジャーズのもとを訪ねる。
ハンクと共に量子世界のことを研究していたスコットは、メンバーたちに量子トンネルを使用した「タイムトラベル」作戦を提案する。
メンバーそれぞれが様々な時代に赴いてインフィニティ・ストーンの奪取に向かい、それを現代の時間軸に持ち帰り再び「指パッチン」を行うことで、消え去った生命たちを取り戻すというものだ。
計画に賛同した一同は、バラバラになってしまったアベンジャーズのメンバーを取り戻しに行く。果てしない喪失と、それに伴う戦いへの「恐怖」すらも感じていたクリント、ソー、そしてトニー。
しかしこれが終われば、永遠に失ったと思われていたものを取り戻せるかもしれない。そんな小さな希望に、アベンジャーズは再び集結する。
この作戦を「何があっても」成功させると固く決意した彼らは、文字通り「最後の戦い」へと身を投じる………今度こそ、世界を救うために。
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作品概要
マーベル・シネマティック・ユニバース、通称「MCU」。全ての作品が同一の時間軸を共有しているという「シェアード・ユニバース」方式の世界観を構築し、その結果全世界を熱狂の嵐に包み込んだシリーズ。
数々のキャラクターを映画作品で出しつつ、物語内で別作品との繋がりを示唆し、最終的に『アベンジャーズ』で集結させる。
全世界興行収入の記録を大幅に塗り替え、またこうした方式は競合社であるDCコミックスや、他様々なフランチャイズにも大きく影響を与えた。
今作『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、文字通りこれまで10年間以上も続いてきた、MCUの伝説を一区切りさせる「最後」の『アベンジャーズ』だ。
監督は『~インフィニティ・ウォー』に引き続きルッソ兄弟。ロバート・ダウニー・Jr、クリス・エヴァンス、クリス・ヘムズワース、他数多くのMCUにおけるメインキャストが全員集合。
興行収入に関しては、文句なしのMCU最高記録を更新。かの『アバター』を追い抜き、全世界興行収入第1位に輝いた。
現在は『アバター』が、2021年に行われた中国での再上映により第1位の座を奪還し、今作は第2位となっている。
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MCUにおける全ての作品、映画史に名を刻んだ伝説、その帰結。最早MCUというシリーズはこのためにあったのではないかとさえ思うほどの、とてつもないスケールを持つ今作。
『アベンジャーズ』における醍醐味とは即ち「アッセンブル」。多くのヒーローが肩を並べ、共に戦う姿はいつだって我々を興奮させてきた。
今作でも当然、アッセンブルを経て敵に立ち向かうシーンがあるのだが、その規模は言わずもがな最大規模。MCUにおける「全てのヒーロー」が集結し、未だかつてないほど強大な敵に立ち向かう。
「映画」という媒体において、ここまでの規模で、これほどまでの偉業を達成することができたのは、無論今までにないことだ。
今作における「アッセンブル」からは、「これを実際に成し遂げてしまった」ことの、ある種の恐怖感さえ覚えてしまうのである。興奮も一周回れば恐怖へと転じる、ということだろうか。
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そして何よりも、今作がMCUの最高傑作のひとつと称されている理由が「徹底的なファンサービス」にある。
10年間にも及ぶMCUの歴史において、様々な出来事が作中において起こった。中には10年来回収されてこなかったネタなんかも………
それを今作『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、見事に回収しきってみせているのである。第1作目『アイアンマン』からシリーズを追い続けている人にとって、これほど喜びに満ちたことはないだろう。
まさにMCUの「総締め」に相応しい、最後にして最大の戦い。鑑賞する際はできるだけ、できるだけ多くの過去の作品を観てから臨むことを強くお勧めする。
Inherit.『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
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『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
("Spider-Man: Far From Home")
あらすじ
サノスとの最終決戦の末、消え去った生命たちが戻り平和がもたらされた世界。
ピーター・パーカー/スパイダーマンは「アベンジャーズ」の一員、ひいては「親愛なる隣人」としてヒーロー活動に勤しんでいた。
しかし師として慕っていたトニーはもうこの世におらず、世間はピーターに問う………「次のアイアンマン」は誰なのかと。そんな現状に、ピーターは思い悩んでいた。
だが来る夏、ピーターには彼の人生における特大イベントが残されていた。それがイタリアへの研修旅行である。
彼が恋焦がれる女の子、ミシェル・ジョーンズ、通称「MJ」。彼女に想いを伝えるべく、一旦スパイダーマンとしての使命は忘れ、親友のネッドと共に計画を練っていた。
和気藹々とイタリアでの研修旅行を楽しむピーター………だがそこに現れたのは、アベンジャーズの創立者的存在であるニック・フューリー。
なんでも世界各地で「エレメンタルズ」なる四大元素で構成されたモンスターたちが暴れまわっており、アベンジャーズのほとんどがいない今、頼みの綱はピーターだけだという。
エレメンタルズを追い、多元宇宙からやってきたとされるヒーロー、クエンティン・ベック/ミステリオと共に手を組み、エレメンタルズを倒せと命令するフューリー。
だがもしここでスパイダーマンとしての立場を優先してしまえば、彼の「夏休み」はあっという間に台無しになってしまう。
若人の青春か、ヒーローの使命か………「親愛なる隣人」が下す決断とは。
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作品概要
『アベンジャーズ/エンドゲーム』で究極の終幕を迎えたフェーズ3。これで「インフィニティ・サーガ」は終了………
かと思いきや、本当の終幕を飾るのはまさかの我らがスパイディ。アベンジャーズのいない世界で、最高に贅沢なエピローグが飾られる。
監督は前作『~ホームカミング』に引き続きジョン・ワッツ。トム・ホランドやゼンデイヤらが続投し、新たなキャストとしてこれまた大御所であるジェイク・ギレンホールが出演した。
思わずニヤけてしまうほどの、圧倒的なまでの「フレッシュさ」を感じ取ることができるMCU版スパイダーマン。前作を「学園編」とするならば、今作は言うなれば「修学旅行編」だ。
引き続きスパイダーマンの正体を隠しつつ、どうやって研修旅行を楽しむか、どうやってMJに想いを伝えるか………などアレコレ試行錯誤するピーターの姿は、サノスとの戦いを経ても尚フレッシュ極まりない。
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そして新たなるヒーロー「ミステリオ」は、別次元の時間軸、所謂「マルチバース」からやってきた。
MCUではフェーズ1~3を「インフィニティ・サーガ」と呼称するが、フェーズ4以降は「マルチバース・サーガ」と呼ばれている。その名の通り、多元宇宙を舞台とした物語が繰り広げられるのだ。
フェーズ3、ひいてはインフィニティ・サーガの終わりは「次なるフェーズ」への橋渡し役を担っている。こうした設定の登場は、新たなる物語の幕開けを感じられてとてもワクワクする。
しかしながら、原作におけるミステリオとは、グリーン・ゴブリンやドクター・オクトパスと同様スパイダーマンのヴィラン。今作ではヒーローとして登場するとされているが、果たして………?
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といった風に、様々な要素が入り乱れる今作だが、その真のテーマとはやはりピーターが「鉄の意志」を受け継いでいく様だろう。
トニーは文字通り世界を救い、英雄となった。スティーブもキャプテン・アメリカとしての使命を全うし、余生を穏やかに過ごすことを決めた。
だが世界は今も尚ヒーローを、「アベンジャーズ」を求めている。トニーの息子同然のような存在だったピーターは、そこでヒーローとしての責任を求められてしまうのだ。
さらにそこに現れるニック・フューリー、エレメンタルズ、そしてミステリオ………折角青春を楽しもうとしていたのにこの仕打ちとは、ピーターも中々報われないやつである。
世界を救うための戦いに挑んだとはいえ、ピーターはまだまだ育ち盛りな高校生。ヒーローとしての重圧を背負うには、まだまだ若すぎたのかもしれない。
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しかしそれでもピーターは「スパイダーマン」として戦うことを選ぶ。自らをヒーロー、本当の意味での「スパイダーマン」にしてくれた、トニーに報いるために。
アベンジャーズのいない世界において、ピーターが第二のアイアンマンになれるのかどうかはわからない………だが彼の遺した「鉄の意志」は、数々のヒーローたちの間で受け継がれてゆくことだろう。
物語の真の幕引きにして、真の幕開けとなる今作。まさに締めくくりに最も適した作品と言えるだろう。
あとがき(まとめ)
長かった。とにかく長かった。それがこの記事を書いた上での第1の感想でございます。
フェーズ1と2の記事では紹介した作品は6作品程度でしたが、フェーズ3に至っては驚異の11作品。
一瞬前編と後編で分けようかなぁとも思いましたが、それでは中途半端になってしまうかなぁと思い1記事内で全て書き上げることと致しました。
やりつくされたネタにありつつあるMCUの作品紹介ですが、前々からずっと書きたかったものであるため後悔はしておりませぬ。
それに次のフェーズ4は映画作品に加えてドラマシリーズも登場してくると来た。合計して数えると少なくとも15作品以上はあるわけで………相変わらずスローペースではありますが順次執筆にとりかかろうかなと。
そしてもう一つ、お知らせと言っちゃなんですがここいらでYouTubeをまた始めようかなと。
確か随分前に映画についてダラダラと語るラジオチャンネル的なのを始めると言い出し、確かに一本は編集して投稿したのですが如何せんやり応えがなく蒸発してしまいました。
では次は何に手を出すのかと言いますと、このブログと同様に映画に関する紹介動画的なのを作ろうかなと。編集もなるべくしっかりとしたもので。
しかしそこで課題となってくるのが動画のトピックを何にするかなんですよね。以前に書いた記事の動画版として作るのか、あるいはブログとは別のテイストのものを作るべきなのか………
とりあえず今はちょくちょく編集中でございます。出来上がり次第報告しようかなと………そうなるとXのアカウントとかも作った方がいいかもね。
あとがきなのに長々と話してしまいました、というわけで今回はこの辺で。
https://eiga.com/movie/84951/gallery/7/
それではまた、次の映画にて。