Freshness Spidey!!!『スパイダーマン:ホームカミング』
https://eiga.com/movie/82383/gallery/12/
『スパイダーマン:ホームカミング』
("Spider-Man: Homecoming")
あらすじ
超人的な身体能力と、クモに似た特殊能力を持つ青年、ピーター・パーカー。普段は普通の高校生として過ごしながら、裏では自作のスーツを身に纏い自警活動を行っていた。
その活動の様子が写されていた映像を入手した「アイアンマン」ことトニー・スタークは、ピーターの能力を見込みスカウト。トニーによって設計されたスーツを着用し、「スパイダーマン」として空港におけるキャプテン・アメリカとの戦いに参加した。
その後、スーツを譲渡してもらったピーターは有頂天になり、学業を疎かにしてまでヒーロー活動に勤しんでいた。だが街は至って平和であり、加えてトニーからピーターのお目付役を任されたハッピー・ホーガンからは何の連絡もなく、もっとヒーローとして活躍したいピーターは鬱憤とした気持ちを抱えていた。
そんな中、ピーターは謎の武器を携行した強盗団を目撃する。そこでは何やら怪しい取引が行われており、ピーターは学校のパーティーを放り出して犯人たちを捕まえに向かう。
だがそこに現れたのは、巨大な機械の翼を携えた男・ヴァルチャー。ピーターは呆気なくヴァルチャーに捕まり、トニーの遠隔操作によって出動したアイアンマンスーツによって救出されるも、トニーは聞く耳を持っておらずピーターはさらに不満を募らせていった。
ヒーロー「スパイダーマン」としての功績を上げるため、またトニーからの信頼を得るため、ピーターはスーツを独自に改造しヴァルチャーの管轄する取引現場を直接抑えようとする。追跡の結果、一般人を乗せたフェリーに辿り着いたピーターは、ヴァルチャーを捕まえようと戦いを挑むが………
https://eiga.com/movie/82383/gallery/8/
作品概要
ソニー・ピクチャーズとマーベル・スタジオの協力によって遂に実現した、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)におけるスパイダーマン映画の第1作目。
監督には新たにジョン・ワッツが就任。新たなるピーター・パーカー/スパイダーマン役に抜擢されたのはトム・ホランド。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に引き続き同役で出演した。また後のシリーズで常連となるゼンデイヤやジェイコブ・バタロンも今作から出演している。
そして今作のヴィラン・ヴァルチャーことエイドリアン・トゥームスを演じたのはマイケル・キートン。ティム・バートン監督の『バットマン』、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の『バードマン』に引き続き、大きな翼が象徴的なキャラクターを演じることになった。
実写映画としては三代目となるトムホ版スパイダーマン。トビーやアンドリューが演じてきたスパイダーマンとは一味違うテイストのスパイダーマン像となっており、MCUならではの設定が盛り込まれている。
https://eiga.com/movie/82383/gallery/2/
その代表的な要素が、トニーによって設計されたスパイダーマンスーツである。500種類以上にも及ぶ性質の異なるウェブの切り替えや、レンズ・パラシュート・ドローンをはじめとする多種多様な装備、挙げ句の果てにはアイアンマンスーツのそれに勝るとも劣らない超高性能AIの搭載など、いかにもトニーが設計したような超ハイテク仕様となっている。
スーツのデザインに関しても、従来のカラーリングや模様を意識しつつもこれまたハイテク風にデザインされていたりと、他作品のスーツとはまた違った魅力を持つ。目に至っては某俺ちゃんよろしくピーターの表情に合わせて動くため、マスクに隠れていても感情表現がより明確になっている。
だがそんな近未来感満載なスーツとは反対に、ピーターお手製のスーツは少々お粗末なものになっている。赤いパーカーに青のパンツ、真っ赤な覆面にゴーグルをつけただけ(ウェブシューターは健在)など、スパイダーマンの雑なコスプレと見間違えてしまうほど。
ぱっと見「ダサい」という印象を受けるこのスーツだが、このスーツこそが今作で重要な意味を果たす要素でもある。それが最も真価を発揮する展開こそが、ピーターの若さ故の未熟さという部分だ。
https://eiga.com/movie/82383/gallery/11/
この時のピーターは15歳。未だ思春期真っ只中であり、承認欲求が高めなのも仕方のないこと。ましてやこの年からアイアンマンなどといったヒーローたちと肩を並べて戦ったとなると、一人前のヒーローとして認められたいと熱望するのも当然の流れだ。
だがこの衝動が、今作においてピーターを大いに苦しめることになる。学業を放り出す、想い人との約束を破る、日常生活を削ってまでヒーロー活動に勤しむ………なんてことは最早スパイダーマンの宿命とも呼べるが、そういった日常生活の描写が特に濃い今作となるとピーターの心情は痛いほど伝わってくるはずだ。
またさらに印象的なのが、自らの恩師であるトニーとの対話である。自らの慢心のせいで多くの人を命の危機に晒したピーターに対し、トニーはこう告げる………「スーツなしじゃダメなら、スーツを着る資格はない」と。
かつて一度スーツ依存症という深刻な状態に陥り、『アイアンマン3』でそれを克服したトニー。そんな彼が放つこの言葉は何よりも重く、ピーターにも重くのしかかることとなった。そうして意を決してピーターが再び手を伸ばしたのが、何の機能も備わっていない粗末なスーツである。
ヒーローの真髄とは、特別な技能や能力ではなく精神にこそある。こうしたテーマはこれまでのスパイダーマン映画で何度も描かれてきたものであり、従来のそれとは大きく異なる今作も最終的にはそこに帰結することになる。
「大いなる力には、大いなる責任が伴う」………駆け出しとはいえど、超人的な能力を手にし人々を助けたいと願う彼は、既に立派なヒーローの1人。そんな若きスパイダーマンの活躍は、まだまだ続く………
蜘蛛の糸、夏休み、そして鋼鉄の遺志。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
https://eiga.com/movie/89601/gallery/13/
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
("Spider-Man: Far From Home")
あらすじ
サノスとの最終決戦の8ヶ月後。サノスが行った「指パッチン」で消滅していた人々が帰還し、世界は失われた5年間を徐々に取り戻しつつあった。「スパイダーマン」として、トニーらと共にサノスとの戦いに参加したピーターもその内の1人だ。
そんな彼の通う高校では、2週間のヨーロッパ研修旅行が行われようとしていた。ピーターの目的とはただ一つ、スパイダーマンというヒーローとしての自分を忘れ、旅行を存分に満喫し、そして密かに想いを寄せているMJ(ミシェル・ジョーンズ)に告白すること。
だが旅行の最中、ヴェネツィアにて巨大な水の巨人が出現し、人々を襲い始めるという事件が発生する。メイおばさんが密かに忍ばせていたスパイダーマンスーツを宿に忘れてしまったピーターは苦戦するが、そこへ突如として奇妙な魔術を操る男が現れ、見事巨人の撃破に成功する。
男の名は「ミステリオ」ことクエンティン・ベック。彼は別次元からやってきたヒーローであり、自らの惑星を滅ぼした四大元素の怪物「エレメンタルズ」を倒すためにこの世界にやってきたという。
エレメンタルズの対処に向かっていたニック・フューリーは既にベックと接触を図っており、事態の収拾のためにピーターへ参戦を要請。トニーの正当なる後継者だとして「イーディス」という名のAIが搭載されたサングラスを手渡すも、ピーターは夏休みを満喫したいという理由でこれを拒否。
だが翌日、フューリーの回し者により旅行の日程が急遽変更に。フューリーから逃げることはできないことを悟ったピーターは協力することを決意し、ベックと共にエレメンタルズの撃破に向かう。
だが戦いの最中、ピーターは自分がトニーの後継者たりうる器なのかどうか自信を持てずにいた。そんな中、ベックにかつてのトニーの面影を見出したピーターは、彼にイーディスのサングラスを譲渡。「君こそがこれを持つに相応しい」と彼に告げる。
自分の中でようやく踏ん切りがつき、MJへの告白をいよいよ決行しようとした矢先、ピーターはベックの「真の計画」に気づくことになる………
https://eiga.com/movie/89601/gallery/4/
作品概要
MCU版『スパイダーマン』の第2作目。映画史に残る伝説となった『アベンジャーズ/エンドゲーム』の次に公開された作品であり、「フェーズ3」の最後を締めくくる作品でもある。
監督は引き続きジョン・ワッツ。トム・ホランド、ゼンデイヤ、ジェイコブ・バタロンは前作から続投し、ニック・フューリー役として長年MCU作品に出演し続けているサミュエル・L・ジャクソン、そしてミステリオ役としてジェイク・ギレンホールが出演した。
MCUにおけるフェーズ3、もとい約10年間続いた「インフィニティ・サーガ」の最終作である今作は重要な意味を持つ。またそれと同時に、スパイダーマン映画としても重要作に分類される。尤も、その真価を発揮するのはラストシーンだが………
前作におけるピーターが想いを寄せていた人物とはリズであり、MJは最後の最後になっての登場となったが、今作ではピーターがMJにゾッコン状態。2週間にも及ぶ旅行中において、どれだけ距離を縮めれるかといういかにも高校生らしいことを企んでいる。
トム・ホランド&ゼンデイヤという今ハリウッドで最もラブラブな夫婦も、この頃には既に交際を始めていたという噂も。そんな2人がそれぞれ演じるピーターとMJの初々しい馴れ初めもまた今作の見所と言えるだろう。
https://eiga.com/movie/89601/gallery/6/
だが今作において最も特筆すべきは「マルチバース」という設定だろう。あらすじにもあるように、ミステリオは別の次元からやってきたヒーローであり、こうしたキャラクターが登場するのはMCUでは初となる。
これの理由として、MCUのフェーズ1〜3が「インフィニティ・サーガ」であるのに対し、フェーズ4以降は「マルチバース・サーガ」と呼称されていることに由来する。今作におけるミステリオとは、そんな今後のMCUの展開を一足先に取り入れたキャラクターなのだ。
しかしながら原作コミックにおいて、ミステリオとはスパイダーマンのヴィランとして登場する。”今作では”味方のようだが、果たして………………?????
また、ピーターが恩師であるトニーの意志を継承していくというのも今作の重要なポイントである。ピーターにスーツを授けたのもトニー、ピーターにヒーローとは何たるかを叩き込んだのもトニー。この2人は、師弟という関係さえも超えたある種の親子のような関係性であったと言える。
そんなトニーがサノスとの戦いにおいて命を落とし、誰かがその意志を継ぐ必要があった。それに選ばれたのが、精神的には未熟でありながらも卓越した技術力とヒーローとしての高潔な精神を持ったピーターなのである。
故に今作ではピーターがかつてのトニーを彷彿とさせるシーンがいくつか存在し、まさに「世代交代」を意識したような作りとなっている。そういった描写を加味すると、10年間にも及ぶ壮大なサーガの真の幕引きを飾ったのが『〜エンドゲーム』ではなく今作なのも頷けるだろう。
大いなる力には大いなる責任が伴い、そしてそれは受け継がれる。たとえピーターが「世界からいなくなったとしても」、その意志は次世代のヒーローへと継承されていくことだろう。
次元を超えて、悪を”救え”!!『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
https://eiga.com/movie/94629/gallery/16/
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
("Spider-Man: No Way Home")
あらすじ
スパイダーマンを騙し、激闘を繰り広げたクエンティン・ベック/ミステリオが、死の間際に遺した「最悪の置き土産」………それは、スパイダーマンの正体がピーター・パーカーであるということ、そしてロンドンでの騒動はスパイダーマンが犯人、という偽の情報だった。
これをフリーキャスターのJ・ジョナ・ジェイムソンがインターネットで拡散し、結果としてピーターは世間から猛烈な批判を浴びることになる。自宅にはNY中の市民が押し寄せ、遂には裁判沙汰まで発展することに。
結果として裁判は盲目の凄腕弁護士マット・マードックの手によって無実で済んだものの、ピーターの親友であるネッド、恋人のMJもスパイダーマンの共犯者ということになり、大学受験も世間的なイメージから軒並み全滅。これに対し、ピーターは強い自責の念を抱いていた。
行き詰まったピーターは、かつてサノスとの戦いで共闘した魔術師、ドクター・ストレンジを頼ることに。ピーターは彼に、世界中の人々が自分をスパイダーマンだということを忘れる魔法がないか尋ねる。
ストレンジ曰く、そのような魔法は実際に存在するものの、世界の法則に触れる禁術であることをウォンに忠告される。早速2人は魔法の準備に取り掛かるも、メイおばさんやネッド、MJなど自分がスパイダーマンであることを忘れてしまったら困る身近な人々を思い出し、ストレンジに無理な注文を重ねてしまう。
結果として魔法は不安定になってしまい失敗。「ピーター・パーカーがスパイダーマンであること」を知る他次元の人々を、こちら側に呼び寄せてしまうという結果を招いてしまった。
そうしてNY各地に出現したのは、かつて他の世界でスパイダーマンと激闘を繰り広げた人物たち。4本の機械のアームを身に宿すドクター・オクトパス、超強力な電気を体内に宿すエレクトロ、全身を砂に変化させるサンドマンなど、多くの敵たちが一堂に会することになった。
この世界に本来はいてはならない者たちがいるとして、全員を元の世界に送り返そうとするストレンジ。しかしながら彼らは元の世界において、ほぼ全員がスパイダーマンとの戦いに敗れ死亡する運命にあった。それを知ったピーターは、誰もが予想し得なかった「ある提案」を思いつく………
https://eiga.com/movie/94629/gallery/
作品概要
MCU版『スパイダーマン』の第3作目。『〜ホームカミング』『〜ファー・フロム・ホーム』からなる「ホーム三部作」の最終作となる。
興行収入はこれまでの『スパイダーマン』映画の記録を大きく超え、全世界興行収入ランキングのTOP10に仲間入り。現在でも第9位の座に君臨し続けている。
前作及び前前作と同様ジョン・ワッツが監督を、トム・ホランドが主演を務めた。ジェイコブ・バタロン、ゼンデイヤ、マリサ・トメイに加え、ドクター・ストレンジ役であるベネディクト・カンバーバッチが出演した。また、サム・ライミ版『スパイダーマン』にてデイリー・ビューグルの編集長であるJ・ジョナ・ジェイムソンを演じたJ・K・シモンズが同役で出演。実に15年越しのカムバックとなった。
他の次元からのヒーロー………なんてものではなく、スターク社に由来する技術を用いて壮大な自作自演を行っていただけのミステリオことクエンティン・ベック。ドローンの誤射が命中し命を落とした彼は、死に際にとんでもない事実を世界へ発信した。
それは、世界を救った「アベンジャーズ」の一員として世界中に知れ渡っていたスパイダーマンの正体、即ちピーター・パーカーのことが世界中に知れ渡ってしまったのである。また一連の事件は、ミステリオではなくスパイダーマンの仕業によるものというデマまで拡散されてしまう。
正体を隠しヒーロー活動を行なっているピーターにとって、ミステリオの激白は大打撃そのもの。これまでの『スパイダーマン』映画では決して実現し得なかった展開であり、前作のポストクレジットシーンの時点でファンたちに凄まじい衝撃を与えることになった。
https://eiga.com/movie/94629/gallery/13/
………と、この時点で衝撃的なんて言葉じゃ言い表せないほどの超展開が繰り広げられているのだが、今作には世界中の『スパイダーマン』ファンが度肝を抜いたほどのサプライズが用意されていた。それこそがあらすじにもある、他作品からのヴィランの登場である。
今作、なんと2002年の『スパイダーマン』〜2014年の『アメスパ2』までに登場したほぼ全てのヴィランが一堂に会しているのである。しかも全員、当時と同じ俳優が演じているという徹底ぶり。
出演したのはグリーン・ゴブリン役のウィレム・デフォー、ドクター・オクトパス役のアルフレッド・モリーナ、サンドマン役のトーマス・ヘイデン・チャーチ(声のみ)、リザード役のリス・エヴァンス(声のみ)、エレクトロ役のジェイミー・フォックスの計5人。
なお同じくヴィランである、『3』でヴェノムを演じたトファー・グレイスやニュー・ゴブリン役のジェームズ・フランコ、『アメスパ2』のゴブリン役であるデイン・デハーンは出演していない。
フェーズ4以降からふんだんに取り入れられるようになった「マルチバース」という設定。一見するとなんでもあり(=これまで築いてきたMCUの緻密な世界観が崩れる可能性がある)のように思えるが、今作のようなサプライズが用意されていた以上、何も悪いところばかりであるとは言い難い。
ましてやヴィランのみならず、トビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールドが演じた2人のスパイダーマンまで出てきてしまったら、それはもう映画界を揺るがす大事件となるのは自明の理である………故にファンたちは予告編に意図的に仕組まれた違和感などを基準に考察を重ねていったが………
https://eiga.com/movie/97643/gallery/
なんと、それはファンたちの予想をどストレートで射抜く形で実現してしまった。サム・ライミ版『スパイダーマン』三部作に出演したトビー、『アメスパ』シリーズに出演したアンドリュー。2人のレジェンドまでもが、今作にて一堂に会してしまったのである。
これによりトビー・マグワイアとウィレム・デフォーの2人が「実写マーベル映画における同役を長期間演じた俳優たち」としてギネス世界記録に登録され、この記録は『デッドプール&ウルヴァリン』のヒュー・ジャックマンが記録を塗り替えるまで保持され続けた。
こうしてスクリーンにて現実となってしまった5人のヴィラン vs. 3人のスパイダーマンという構図。ファンたちが長年抱き続けていた理想が最高の形で実現した、人気が低迷気味だった当時のMCUを再起させた至極の作品であり、全世界が「スパイディ嵐」に熱狂した。
と、今までにないほどのお祭り映画となった今作だが、肝心の内容に関してはスパイダーマンの宿命たる「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉を再びピーターに問いかけるというシリアスなテーマが内包されている。
https://eiga.com/movie/94629/gallery/3/
思えば「ホーム三部作」において、ピーターは己の精神の未熟さ故に何度もハプニングを引き起こしてきた。『〜ホームカミング』では自分の力を過信するあまり逆に深刻な被害を出すことになり、『〜ファー・フロム・ホーム』では自信のなさから重大な選択を誤ってしまう。そして今作でも、ストレンジに無茶な要望を出し続けた結果、マルチバースの歪みという世界の存亡に関わる危機を引き起こしている。
ピーターもまだ20歳にすらなっていない「少年」であるため仕方ないという捉え方もできるが、ヒーローになるということは即ち自らに課せられた責任に向き合っていくこと。故に「ホーム三部作」とは、ありとあらゆる形でピーターにのしかかってくる責任に対する彼の向き合い方、及びそれに伴う成長を描いたシリーズと言えるだろう。
だが何度も言うように、「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉はスパイダーマンにとってある種の呪いになり得るほどの代物である。想像を絶する体験をする、どれだけ辛くても戦いに挑む、そして大切な誰かを失う………今作におけるピーターも、かつて2人のスパイダーマンたちが体験したような「苦痛」を味わうことになる。
その苦痛を乗り越えた先にあるものとは、誰も知り得ない。それは新たなる「責任」の始まりであったり、新たなる「苦痛」の幕開けであったり、はたまたピーターにとって「救い」となるものがもたらされるかもしれない。
「親愛なる隣人」スパイダーマンとして戦い続けるピーター。大切な人に託された「大いなる責任」を果たすため、彼が下した決断とは………詳しくは本編をご覧あれ。
新たなる日々、新たなる脅威、新たなる希望。『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』
https://eiga.com/movie/102846/gallery/14/
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』
("Spider-Man: Brand New Day")
あらすじ
マルチバースの侵食を食い止めるため、ストレンジが発動した「世界中の人々がピーター・パーカーのことを忘れる」魔法。これにより危機は去ったものの、ピーターの親友であるネッドや、恋人のMJも例外ではなく、ピーターのことを完全に忘れてしまった。
NYへ活動拠点を移してスーツを自作し、新たに「スパイダーマン」としてのヒーロー活動を始めてからおよそ5年が経過。スパイダーマンは警察らと連携を取りながら街の犯罪と戦い続けたことで、市民からは「親愛なる隣人」として愛されていた。
だが当のピーターは、記憶を失ったMJとネッドのことを忘れられずにいた。日々更新される2人のSNSを見ながら、ピーターは今日も孤独にスパイダーマンとして街を駆け回る。
そんなある日、ピーターは街中を暴走する重車両に出くわす。過激な行動で自警活動を行うパニッシャーことフランク・キャッスルを食い止め、重車両の暴走を止め犯人に相対するが、中にいたのはただの一般人の老婆………だが様子が少しおかしく、何者かに操られている様子だった。
いつも対峙する犯罪者たちとは異なる、妙な違和感を覚えるピーター。一抹の不安を胸に、ピーターは意を決してMJとネッドの家で行われていたパーティ会場へ向かうことに。
ネッドはかつて一度、スパイダーマンに助けられたことですっかり大ファンに。会場の一角はスパイダーマンの写真や記事で溢れ、さらにスパイダーマンの位置情報が分かるアプリまで独自に開発していた。
記憶を失っても変わらないネッドに安堵するピーターだったが、ここで彼の目に衝撃的な光景が目に映る………なんとMJにボーイフレンドができていたのだ。ピーターはショックに耐えきれず、パーティ会場を後にしてしまう。
放心状態のまま、街をスイングするピーター。そこから徐々に体調が悪化し始め、自宅に着くや否や失神。次の瞬間には全身が蜘蛛の糸に包まれており、元々備わっていた感知能力が過剰なまでに強化、さらにウェブシューターを使用せずとも手首から直接ウェブが出るようになっていた。
唐突な自身の変化に戸惑うピーターは、大学で教鞭を執るブルース・バナーのもとを訪れるなどして、解決策を探り始める。だが同時に、NYでは正体不明の敵が動き出そうとしていた………
https://eiga.com/movie/102846/gallery/7/
作品概要
全世界に衝撃を与えた『〜ノー・ウェイ・ホーム』から約4年後、ついに公開されたMCU版『スパイダーマン』の第4作目。これまでの『スパイダーマン』映画において史上初となるシリーズ4作目である一方、タイトル通り「再始動」的な意味合いも兼ね備えた作品にもなっている。
ホーム三部作を監督したジョン・ワッツに代わり、『シャン・チー』のデスティン・ダニエル・クレットンが新たに監督に就任。トム・ホランド、ゼンデイヤ、ジェイコブ・バタロンの「いつもの3人」は相変わらず出演しており、また長年ブルース・バナー/ハルクを演じてきたマーク・ラファロも出演している。
新キャストとして、通称「ディフェンダーズ・サーガ」と呼ばれるドラマシリーズの作品の一つ『パニッシャー』にてフランク・キャッスル/パニッシャーを演じたジョン・バーンサルが出演。また『〜ホームカミング』のポストクレジットで登場したマック・ガーガン/スコーピオンを演じたマイケル・マンドも、今作から本格的に出演した。
そしてNetflixドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス』で一躍有名となったセイディ・シンクや、『ブラック・ウィドウ』からエレーナ・ベロワ役として様々なMCU作品に出演し続けているフローレンス・ピューが出演。セイディが演じた役柄については、詳しくは劇場にて………
今年の7月31日に公開され、たった2ヶ月の間で全世界興行収入はまさかの24億ドル越え。全世界興行収入ランキングにおいて『アバター』『アベンジャーズ:エンドゲーム』に次ぐ第3位に君臨するという、誰もが予想し得なかった前代未聞の大ヒットを記録している。
今作に出演しているキャストのうちトム・ホランド、ジョン・バーンサル、ゼンデイヤはクリストファー・ノーラン監督作『オデュッセイア』にも出演しており、そんな『オデュッセイア』は全世界興行収入ランキングにおいて現在第12位。どちらも全世界で爆発的なヒットを記録しており、シーンによっては両作品のうちどちらかが妙にチラつくような時も………
https://eiga.com/movie/84139/gallery/2/
MCU版『スパイダーマン』の最大の特徴として挙げられるのが、アベンジャーズとの共闘による壮大なスケールの物語である。サム・ライミ版、マーク・ウェブ版があくまでもNYの平和を守るための物語であったのに対し、MCU版は『アベンジャーズ』での参戦も含めてスケールが非常に大きく、急に地球滅亡レベルの強敵と戦うなんてこともザラにあった。
こうした試みは今までの『スパイダーマン』映画では決して実現し得なかった展開であり、故にファンたちはアベンジャーズたちと肩を並べて戦うスパイダーマンに熱狂していた………しかしその一方で、トニーをはじめとするアベンジャーズとは全く関わらない、NYを守る「親愛なる隣人」としてのスパイダーマンの活躍を期待する人々も少なからずいた。
『〜ノー・ウェイ・ホーム』のラストシーンにて、新たなるスーツを身に纏い雪の降るNYを駆け出すスパイダーマンを見て、多くのファンたちが「次回作こそは「親愛なる隣人」としての戦いが見れるぞ!」と期待を募らせていた。そして見事その予想は的中し、今作では前作よりかはショートスケールでありつつも、より高密度な物語が繰り広げられることになった。
原作におけるスパイダーマンの宿敵の1人であるスコーピオンや、こぢんまりしたMCUの世界観を色濃く表現してきた「ディフェンダーズ・サーガ」の代表としてパニッシャーが登場しているのも、そういった作風の変遷の表れと言えるかもしれない。
https://eiga.com/movie/102846/gallery/8/
また今作で特筆すべきなのはアクションシーンである。疾走感のあるアクションに重きを置いた『スパイダーマン』映画というと『アメイジング・スパイダーマン2』が挙げられるが、今作はそれに匹敵する・或いはそれを超えるアクションの完成度を誇っていると言っても過言ではないかもしれない。
ウェブを巧みに使い分け、忙しなく動き回りながら敵を蹴散らしていくその様は、まるでゲーム『Marvel's Spider-Man』におけるスパイダーマンのよう。こうした変化は、MCUの中でも屈指の完成度を誇るアクション映画として名高い『シャン・チー』を監督したデスティン・ダニエル・クレットンの影響によるものである可能性が高い。
『シャン・チー』におけるスピーディなカンフーアクションと同様に、今作でも疾走感溢れる近接戦闘が多め。ジョン・ワッツによるシンプルながらも迫力のあるアクションを踏襲しつつ、デスティンによる目まぐるしいカメラワークからなるアクションが良い塩梅で合わさることにより、スパイダーマンらしいトリッキーな戦闘シーンの表現に成功しているのである。
そしてもう一つ特筆すべきは、「ホーム三部作」を経たピーターの成長である。『シビル・ウォー〜』の公開から10年、まだまだ幼かったあの頃のピーター(もといトム・ホランド)はどこへやら、筋肉質な身体に鋭い顔立ちと成長が伺える。
またホーム三部作で表現されていた若さゆえの過ちも今作では見る影もなく、親愛なる隣人・スパイダーマンとしての覚悟を決めたことでヒーローとして成熟した姿を拝むことができる。これもまた、MCUの要素をなるべく排除しスパイダーマンの物語に焦点を当てた結果成し得た展開と言えるかもしれない。
https://eiga.com/movie/102846/gallery/5/
だが大人になったからといって、スパイダーマンの抱える壮絶な運命から逃れられることはない。誰も自分のことを知らないことによる孤独感、急激な身体の変化による焦燥感、そして今までにない脅威………様々な苦難が、今作でもピーターを襲い続ける。
報われないと言われればそうかもしれない………だがあえて何度も言おう、苦難を乗り越え立ち上がる姿こそヒーローがヒーローたりうる最大の瞬間なのだと。今作も今までの作品に漏れず、自らに降りかかる火の粉を振り払い戦う姿が綿密かつ壮大に描かれている。
これぞファン全員が求めていた理想の『スパイダーマン』映画であり真骨頂。文字通り「一皮剥けた」スパイダーマンの戦いはまだまだ続く………
今後のシリーズ展開について
今後の続編について、様々な憶測が飛び交っているため私の為にも一度整理してみようと思う。
https://eiga.com/movie/1179/gallery/
まずは本記事でも触れたサム・ライミ版『スパイダーマン4』及びマーク・ウェブ版『アメイジング・スパイダーマン3』の可能性についてだが、関係者は比較的前向きな姿勢を見せているものの実現の可能性は著しく低い。ファンの間では実現が強く待ち望まれているが、ソニー・ピクチャーズにとってはMCU版に注力したいところだろう。
だがトビー・マグワイア扮するピーターと、アンドリュー・ガーフィールド扮するピーターが『〜ノー・ウェイ・ホーム』ぶりに出演する可能性はある。それが来年に公開予定とされている『アベンジャーズ/シークレット・ウォーズ』だ。マルチバース・サーガの終幕を飾る作品である以上、過去のマーベル映画に登場したレジェンドたちがカムバックする可能性は捨てきれない。
「ピーター1」「ピーター2」「ピーター3」が5年越しに再び肩を並べてスイングするシーンが実現すれば、世界は再びスパイディ嵐に巻き込まれることだろう………
https://eiga.com/movie/102846/gallery/2/
次にMCU版についてだが、つい最近『〜ブランド・ニュー・デイ』が公開されたばかりな為、情報は未だ解禁されていない。公開は2028年頃になると予想されており、デスティン監督が続投するかどうかの協議が行われている最中とのこと。
ファンとして気になるところとしては、今年12月公開の『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』の出演者リストにトム・ホランドの名前がないこと。MCUの本筋の物語とは完全に切り離し独立したシリーズとして描いていく予定なのか、はたまた『〜シークレット・ウォーズ』まで合流はお預けということなのか、それとも完全にシークレットで出演しているのか………果たして。
なお海外では、次回作のタイトルの副題が"Darkest Day"であること、ストーリー内容がヴェノムとの戦いになることなど、真偽不明の情報がネット上で出回っている。単なるファンメイドによる二次創作物なのか、それともリークにより判明した事実なのか………真相は未だ謎に包まれている。
だがソニー・ピクチャーズには『スパイダーマン』映画としてピリオドを打たねばならないシリーズが存在する。それがアニメ映画『スパイダーバース』シリーズの3作目にして最終作となる『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』である。
元々は2024年3月29日に全米公開予定だったが、アニメーターを中心とするスタッフによる過酷な制作スケジュールの告発、及び全米脚本家組合と全米映画俳優組合のストライキにより、公開日が大幅に延期。最終的な公開日は来年の6月18日と、本来のスケジュールからかなりの遅れが出てしまった。
壮大な伏線を散りばめ、世界中のファンの期待を一身に背負った状態で幕を閉じた『〜アクロス・ザ・スパイダーバース』。「スパイダーマンの運命を変える」と決意したマイルズの物語に、『〜ブランド・ニュー・デイ』以上の期待がのしかかっているのが現状だ。
SSU(ソニー・スパイダーマン・ユニバース)が終幕を迎えたことにより、ソニー・ピクチャーズはこれまで以上に作品制作に注力できるはず。来年を心待ちにしておくとしよう。
あとがき(まとめ)
マイペースすぎてまたもや投稿が遅れてしまいました。どうも水綿です。最新作が公開されてから2ヶ月後にこれをネットに放出するというアホなことをしておりますが、まぁもうこのブログの趣旨としましょう。話題性を犠牲にして日々の平穏を優先したということで………
さて実写映画版『スパイダーマン』ということなんですけども、前に少し触れたように私の人生において欠かせない存在なんですね。しかも本当に思わぬ方向から人生が変わったという。今思うと本当に数奇な運命を辿ってるなーって思います。
事の発端は『ヴェノム』から、さらに遡ると『ジュラシック・ワールド/炎の王国』から………って話は前にしてると思うので端折るとして。『ヴェノム』を観たからにゃ他のマーベル映画も触れておきたいなと思って、サム・ライミ版から『スパイダーマン』シリーズを観始めたという訳です。
んで順調に観ていってどれも面白くて、マーベル最高やなぁ〜スパイディ最高やなぁ〜とか思いつつ『アメイジング・スパイダーマン2』を観たのですよ。これがまぁ〜〜〜カッコ良すぎるかつ面白すぎて。数あるスパイディたちの中でもアンドリュースパイディの虜になってしまったのです。
当時高揚を抑えられなかった私はYouTubeやらで『アメスパ2』について色々調べて、そこで辿り着いたのがアメスパ2のMAD動画でした。そこで音楽に使われていたのが、 ONE OK ROCKの『Cry Out』という曲だったのです(動画は調べれば絶対出てくるはず)。
そのMADもまぁ〜カッコよくてですね。その頃は確か中学3年生の終わり頃ぐらいだったんだけども、その頃にBullet For My Valentineっていうメタルバンドを聴きまくるという英才教育を自主的に行なっていたのでヘビーなロックに特に抵抗もなく、その『Cry Out』も特に遜色なく聴くことができました。
そこで当時の私はこう思った訳です、「ONE OK ROCKってどんなバンドなんだろう」と。興味が湧いた私はついでにワンオクについても調べてみました。そしたらまたそこで「何コイツらカッケェ〜〜〜〜」ってなったんですね。世界的に活躍してるどデカいバンドだということもその頃に知りました。
それでどうなったかというとワンオクにも死ぬほどハマりました。ハマってしまった私は音楽を日々聴き漁るようになり、気づけば親父のベースを片手に高校の軽音部に入部してました。当然今でもワンオクは人生のバイブルと言っても差し支えないほどにLOVEですし、なんなら先日熊本の1CHANCE FESに行って今年初のワンオクを摂取して参りました。やはりいつ見てもカッコよかったです。
………要するに、映画好き(というよりはアメコミ映画好き)が高じて、結果的に音楽にもどハマりしてしまったのです。音楽知識ゼロの輩が軽音部に入るほどなんて、我ながら相当のめり込んでたんだなって思います。あ、ちなみにバンド活動も続けてますよ。相変わらずパートはベース一本ですが。
そんなわけで『スパイダーマン』映画は私の人生において決して欠いてはならない存在だったという訳です。『〜ノー・ウェイ・ホーム』を友達と観に行って、アンドリューがスクリーンに出てきた瞬間友達と手を握り合ったのも今となっては懐かしい………
権利問題やら何やらで一悶着や二悶着あったとはよく聞くけれど、よくぞここまで傑作を作ってくれたソニー・ピクチャーズよ。改めて敬意を表したい。
と、いうわけで今回はこの辺で。皆様も奇々怪々かつ愉快爽快な良い映画人生を。
https://eiga.com/movie/102846/gallery/
それではまた、次の映画にて。




















